[レンジブログ 前回のあらすじ]

レンジはその女性達の一人マリーとBOX席で二人っきりに。フィリピーナのマリーと初対面ながらもなんとかディスコ内で会話し始める。しかし、少し雲行きが怪しくなってきたようだが、果たして。

前回の記事
【レンジブログ34】フィリピーナのマリーと会話スタート。マラテのディスコ EXKLUSIVE にて

 

レンジブログを始めから読んで頂けると幸いですm(__)m
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

 

 

【レンジブログ35】フィリピーナが会話中に大号泣。マラテのディスコ EXKLUSIVE にて

 

あれっ、マリーは私の「Why are you here now!?」という言葉が聞き取れなかったのだろうか。今度は発音を丁寧に意識しながら聞いてみる。

 

私「Why are you here now!?」(なぜ今あなたはここにいるの!?)

 

マリー「What!?」(なに!?)

 

私「I think you should not be here now!!」(私はあなたは今ここにいるべきじゃないと思う!!)

 

マリー「Why!?」(なんで!?)

 

私「It’s very late time now. You had better to go home!!」(今は遅い時間だから、もう帰った方がいいよ!!)

 

マリー「Haah!?」(はあぁ!?)

 

私は、こんな遅くに若い女性がナイトクラブで遊ぶ事はあまりお勧めできません、と伝えたかった。

しかし、発言をすぐに回想するととんでもなく失礼なことを言っていたことに気付く。

「君はなんでこんなところにいるの?早く帰りなよ。」と伝えてしまっていた。

彼女はもう大人だ、子どもの年齢ではない。

 

彼女なりにディスコを楽しんでいるところを、初対面の男にこのようなことを言われれば、「はあぁ!?」となるのも自然だ。

 

マラテのディスコ エクスクルーシヴ EXKLUSIVE 店内の様子
[マラテのディスコ エクスクルーシヴ EXKLUSIVE 店内の様子]

 

少し表情がキレ気味のマリー。その意志が強そうな感じもよかった。

それでも彼女をこれ以上怒らせまいと私は、出来る限りのフォローを、私の真意を英語でマリーに伝えようとした。

 

私「You’re female! Here isn’t safety! It’s night club here! I think young woman should not be like here! So I mean I just want you to take care of yourself!」
(和訳)「あなたは女性です! ここは安全ではありません! ここはナイトクラブです! 私は若い女性がこのような場所にいるべきではないと思います! つまり私が言いたいのは、私はただあなた自身を大事にしてほしいだけということです!」

 

マリー「Ah… I see!!」(あー、わかった!!)

 

私「Please take care of yourself always!!」(あなた自身をいつも大事にしてね!!)

 

マリー「Thank you. You’re so kind!!」(ありがとう。あなたはとても優しいのね!!)

 

何となく伝わったようである。

マリーは「ありがとう、あなたこそ大事にしてね」と返事をしてくれた。

とりあえずよかった。私の失言により、凍りかけた場の雰囲気が少し緩んだ。

 

また、これも後で知ることになるが、マニラの都会の学生達、若者達は週末になるとディスコやクラブでパーティーをすることは一般的なようである。

日本文化では、そのような場所は普通敬遠されることがある。

ここフィリピンでは欧米の文化に似ており、クラブミュージックで皆とワイワイということは普通のことである。

おそらくそのような背景も知らなかったための失言だったとご容赦願いたい。

 

しかし、とうとう私は彼女の「地雷」を踏んでしまう。

 

私「I think that your family in Mindanao miss you so much!! You also!! And… 」
(和訳)「わたしは、ミンダナオにいるあなたの家族があなたのことをとても恋しがっていると思います!! あなたも同じだと思います!! そして…」

 

私はこれに続けて、さらに彼女にある言葉をかけた。すると、マリーの表情は一気に固まり、目が潤んでいくのがわかった。

 

この感じ、ヤバいかも…

 

マリー「…(cry)」

 

突然、マリーは大粒の涙を流し泣き始めてしまった。

号泣だった。

私の一言が引き金になったのか、いやそれしかない。

初対面の女性を泣かせてしまった、どうすれば!

 

[マリーの似顔絵のあるページはこちら。綺麗なアーモンドアイで整った顔立ち。巻き髪ヘアースタイルが似合っていた。この頃はまだ清楚なフィリピーナだった。]

 

何とかしなければ、若い女性を泣かしてしまった。何とかしなければ!

私は隣でただただ謝り、彼女の背中を撫り、頭をなでなでし続けた。

あまりにも周囲とのギャップがありすぎたシチュエーションだった。

しかし、私は何とかマリーに泣き止んでもらおうととにかく必死だった。

 

私「I’m very sorry!! Marry, I already know that you’re so kind, you do your best always in Manila. Everything gonna be alright!! Please don’t cry anymore. Marry, please, please! If you cry, your family feel sad. Please smile always..」
(和訳)「本当に申し訳ありません!! マリー、私はあなたがとても優しくて、マニラでいつもベストを尽くしていることをわかっています!! 全ては大丈夫だよ!! どうかこれ以上泣かないでください。マリー、どうかどうかお願いです! もしあなたが泣くと、あなたの家族は悲しむよ。どうかいつも笑っていてください…」

 

とにかく、知っている英作文を必死に組み立てて、慰めようとした。

 

しかし、全く逆効果だった。マリーはさらに泣き出し、吐きそうなほどエズいていた。過呼吸になるのではと本気で心配するほど、泣いていた。

私はもう彼女の頭をなで、手の甲をなで、背中をさすることしかできなかった。

 

やってしまったー、一人の若い女性を泣かしてしまった。発言をもう少し気をつければよかったのだが、もう遅い。

皆がステージから戻ってくる前に早く泣き止んでくれー!

 

ステージを見ると、武本さん達の姿が目に入った。依然踊っている。よし、こちらには気づいていないようだ。しばらく、マリーの様子を見てこちらが落ち着こう。

 

それにしても、彼女はどれだけ重いものを背負っているのか。どれだけの苦悩を抱えているのだろうか。

マリーが強く泣く姿を見るととても胸が痛くなった。こちらも彼女ほどでは到底ないだろうが、本当に辛かった。

 

気まずい時間はかなり長く感じた。そして、マリーは号泣のピークを超え、次第に落ち着きを取り戻して行った。

 

よしよし。何とかホッとでき…

 

『ギュッ!』

 

マリーが私に抱きついて来た。

 

マリー「Sorry!! I’m very sorry. Thank YOUUUUU!! Rangeeeee, Ahhh…」
(和訳)「ごめんなさい!! 本当にごめんなさい。ありがとーーー!! レンジーーー、あぁぁ…」

 

マリーは私の首元に顔を埋め、再び大号泣を始めた。感情のジェットコースター、もう勘弁してよと思ったが、マリーの素敵な髪の香りと現地女性が初めて本音を見せてくれているようで心地よかったのを覚えている。

 




 

彼女の涙か鼻水が私の首筋を伝わっていくのがわかった。

 

もう彼女が落ち着くのを待とう。私も彼女を軽く抱き締め返し、右手で背中を撫り、左手で彼女の後頭部を撫で続けた。大丈夫だよ、大丈夫だよと日本語で喋りながら。

 

店内の爆音四つ打ちビート、ファットなシンセのブザー、思いがままに踊るステージ上の観客達。皆は今楽しそうに見えるが、本当はそれぞれに人生があり、彼女と同じようにこの場で号泣する程の苦悩を抱えているのだろうか。フィリピンの人々、各国の人々へ色々な思いが頭を巡る。

 

私はマリーの頭に頬を乗せ、より強く抱き締め返し続けた。そして、しばらく。マリーのエヅきも次第に大人しくなっていった。

 

私とマリーだけが、その空間で静かだった。この女性を守りたい、そう本気で考え始めるには十分なシーンだった。私も目を瞑り、お互い抱きしめ続けた。

 

 

 

武本「ヘイヘイヘーイ!! レンジさん、お熱いねー!! イエー!!」

[武本さんの似顔絵のある記事はこちらから 武本さんは有名グルメリポーターが痩せた感じに似ている。しかし、彼のファンになった私は、後にフィリピンの”兄さん”と呼ぶようになる]

 

ステージに疲れ、ハイテンションの武本さん達がステージから帰って来た。

 

マリーはその雰囲気を察知したのか、泣いていたことを悟られまいと素早く私から離れる。その時、明らかに感じたのだが、マリーは自分の目元、口元を明らかに私の首筋で”拭いた”。

粘度のある湿り気が私の首筋に残る。彼女が不幸そうな美人でなければムカッとしたところだったろうが、マリーなら許せた。

 

武本「何、何、何!? 二人はもう良い感じな関係!?  レンジさん、早過ぎでしょ、どんな手を使ったのよ!!」

 

私「いやー、そんなつもりはなくて…」

 

テンションの高い武本さん、こちらの光景を目撃したその気持ちは十分にわかる。ノリが何だか古いのも、彼の青春時代を思い出しているのだと理解できる。ただ、その時だけは少しウザかった。

 

マリーがその様子を感じ取って、気不味いことにならなければいいのだが。

 

マリーは戻って来た女友達と、タガログ語で話している。その目はこの暗い照明の中でも、泣いていたことが分かるほど充血していた。

 

おそらく、マリーが一生懸命場を取り繕っているような雰囲気は伝わって来た。目と鼻の下が赤いのも、何だか愛らしかった。

 

四人で各自反省会が始まったようだった。そして、ステージから降りる人が多くなっていた。満員だった場所は徐々に閑散としていく。時刻はもう午前5時くらいだっただろうか。

 

 

[次回タイトル]
フィリピーナがトイレへエスコートを求める。マラテのディスコ EXKLUSIVE にて

[次回あらすじ]
泣きやんだマリーが一緒にトイレへ行こうと誘ってくる。レンジはどう対応したらいいのかわからず困る。彼女の行動はどのような意味があったのか。

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

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