[レンジブログ 前回のあらすじ]

友人の日本人、フィリピーナのカップルが長年の交際を終える。その後、彼女の心の隙間をレンジが埋める。

[前回の記事]
【レンジブログ97】長年連れ添ったフィリピーナとの別れ方とその後。

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

 

レンジブログを始め(序章)から読んで頂けると幸いですm(__)m
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

レンジブログ第一章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ

レンジブログ第二章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る

レンジブログ第三章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。

 

また、オノケン(現在の話)とレンジ(過去の話)のブログは交互にストーリー展開します。登場人物も共通する人が出てくるので、始めから読んで頂けるとより記事の内容が分かりやすいと思います。オノケンブログもチェックしていただければ幸いですm(__)m

オノケンブログの一覧はこちらから

 

 

【レンジブログ98】彼女がゴーゴーバーで働く? プロポーズで説得

 

 

2月上旬の滞在、二日目の朝。

パーリーとともにホテルを出る。

 

彼女はホテル前で、タクシーを拾う。一旦家に帰ってから、マカティの職場へ向かうのだと言う。

 

私たちは、お互いに昨夜の出来事はこれっきりにしようと話した。関係を持ったことは、誰にも言わないと約束した。

私の方は、やはり田原さんへの恩義を感じていたし、パーリーは私のビジネスパートナーであるナオミの実のお姉さんでもある。ナオミに対しても何だか罪悪感を抱いてしまう。

パーリーも私のことは男性として魅力を感じていないようだった。彼女の彼氏になるには、私ではルックス、経済力、社会的地位、人間性全てで不足が多いのだろう。

 

一度だけ。それがお互い一番良い。

 


[リヴィエラマンションホテル前]

 

パーリー「またね、レンジさん!」

 

彼女の方はタクシーに乗り込む。女性も子を持ち30歳にもなれば、さっぱりしたものである。

 

彼女よりも私の方が余程乙女ではないだろうか。次回、彼女に合わせる顔もわからない。

 

一夜の過ち。と表現すれば悲しい。10年の交際を終えた女性の気持ちの整理。それに私が一役買ったのだろうか。

 

さて、ネチネチと考えず、職場へ向かおう。

歩きながらスマホをチェックする。

 

交際中のマリーからは、昨夜遅くから「レンジ! どこにいるんだ!? 早く来い!!」とメッセージが入っていた。

その後は彼女から多数の不在着信。私は、「熱があって、部屋で休みます。ごめんなさい。」とだけ返信していた。

今夜、彼女に会いにお店へ行こうとは思う。しかし、どのように迎えられるかは想像がつく。私はいつものように激昂され、酒の席で凌辱されるのだ。

 

私は「Good morning. I’m okay today. Have a nice day, Marry.」(おはよう。今日は大丈夫です。良い一日を、マリー。)と返信しておいた。

 

また、ザリやアケミ、その他のフィリピーナ達へも同様のメッセージを送っておいた。

 

私は、今朝までパーリーと会っていたばかりだが、今宵のブスな代表召集レターを懲りずに送る。マリー最優先ではあるが、その他の試合にも興味があるのは間違いないからだ。まだまだ多くのゴールを決めたい。

 


[マラテ午前中の街並み]

 

そして、オフィスに到着すると、

ナオミ「Good morning, Sir!」(おはよう、ダンナ!)

 

今朝、彼女の変な夢で目覚めたことを思い出す。ナオミ姉妹に対して、申し訳ない気持ちが根底にあったからだろうか。

それとも、マニラという地に居るがために、私の思考が狂っているからだろうか。

 

私「Good morning, everyone!」(おはよう、みんな!)

 

私は気持ちを切り替えて業務に取り掛かる。

 

そして、この日もほとんど休憩を取ることなく、午後8時。業務時間を終えた。

私は今回、短期の滞在であったため、スタッフ達が帰宅した後も、オフィスに残り仕事を続ける。

 

時刻は午後10時を過ぎた頃だった。

 

そろそろホテルに戻ろうと、片づけをしていると、一通のメッセージが入ってきた。

 

「I have problem.」(困ったことが。)

 

と、挨拶もなしにそのフレーズだけが入ってきた。

 

ザリからだった。

 


[ザリ似顔絵。マラテのKTVで働く19歳フィリピーナ。]

 

嫌な予感がした。私はすぐに彼女に電話を掛けた。

 

「どうしたの?」と聞くと、彼女は「メッセージや電話ではなく直接会ってから話したい。」という。そして、彼女は、今日は仕事が休みだと言う。

 

私が「この後オフィスからホテルに戻るけど?」と言うと、彼女は「これからホテルに行っていい?」と言う。

 

おそらくお金の話だろう。

 

彼女から今までお金の工面のお願いなどは一度もなかった。彼女はKTV内でも商売っ気はなく、お金に頓着がない女性。出会ったフィリピーナの中でも最も金銭トラブルとは縁遠い女性だと思っていた。

 

私は、彼女の相談がきっとお金の話だと思い、電話を切った後も多少ショックを受けていた。

ザリ、やはりあなたもか。

 

私はホテルに到着。玄関前のスタッフに、「これから友人が部屋に来るので、彼女を通してください。」と、私の部屋番号とともに伝える。

 


[ホテルエントランス、エレベーター乗り場]

 

そして、部屋に戻り、ザリがやって来るのを待つ。

 

昨夜はパーリーと、今夜はザリとか。私は、部屋のソファに腰をかけ、タバコを吸う。

 

マリーへ必死に言い訳のメールを打つ。「今夜も都合が悪くなった」とアリバイメールだ。

しかし、彼女からの返信は怒気に満ちており、私は恐怖に震える。

やばい。今夜会えなければ「フラれる」もしくは「殺される」。彼女の反応はそれほどの狂気を含んでいた。

 

今夜こそマリーのところへ行かなければ。なんとかザリを早めに帰し、一刻も早く。

 

30分ほど待っていると、ドアがノックされる。

 

 

[今回も下衆な記事になります。下衆な話題が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。カモン下衆! という方のみどうぞ。]

 

 

 

 

 

 

私はザリを部屋に通す。

 

挨拶を交わしながら彼女と共に、ソファに腰を下ろす。

 


[ホテル室内ソファスペース]

 

私「What’s happened?」(どうしたの?)

 

ザリは私の問いに、無言のままだった。

元気そうではあるが、何か重要な決断を迫られているようだった。

 

私「Are you okay?」(大丈夫?)

 

私の声かけに、彼女は重そうに口を開く。

ザリ「I may change my work soon.」(もうすぐ仕事を変えるかもしれない。)

 

ん? お金の工面ではないのか。

 

私「I see. Where?」(わかりました。何処に?)

 

彼女は少し躊躇い、小さな声で呟く。

ザリ「Go Go Bar.」(ゴーゴーバー)

 

 

ぶふぇっ、いやっ、はっ、はぁーっ!?

 

ザリ、何ということを考えているのだ! その職場は、どんなところか知っているのか!?

私はショックを受けると同時に、彼女が抱える問題が到底理解できないところにあると知った。

 

彼女は当然、どんな職場か、どんな仕事か知っていると言う。

 

ザリ「And I’m virgin.」(そして、私はバージンです。)

私「Yeah, I know. What mean?」(はい、知っています。何が言いたいの?)

 

彼女が説明するには、彼女には「価値」があるのだと言う。

えっ、どういうこと!?

 




 

彼女の説明をさらに聞くと、徐々に意味がわかってきた。その詳細はここで記述できないが、要はそれを、彼女の家族のために役立てたいと言うことだった。

 

私は眩暈を覚えるほどのショックを受けた。そんな現実があるとは。私が知ったかぶりをしていた貧困問題とは全く表面上のものでしかなかったのだ。

フィリピンの闇はここまで深かったのか。

 

当然、私は「絶対にダメだ!」と彼女に伝える。

しかし、彼女にも意見があるようだった。

 

フィリピンの貧しい家庭では珍しくないことで、給与も今より上がるかもしれない、家族へのサポートももっとできる、だから仕事を変えるかもしれないと言う。

 

わかる。言い分は分かる。それでも、私は「絶対にダメだ!」を繰り返す。

私は、初試合は愛する人とするべきだと諭す。そして、初めてかどうかも関係ないだろと。

彼女もそれは同意見だった。

それにお互い、彼女の思想も「結婚後に祝福を受けるべき」であることを知っている。

 

しかし、彼女は「男はパルパロだから結局意味がない、家族のサポートに繋がる方が良いのでは?」と言う。

 

おっ、おう。

それについては何も言い返せない。彼女の境遇は、全てが私達日本人とは異なる。

 

しかし、ザリ、少なくとも私は、それは間違っていると信じる。

私「I never agree with you. Never!」(絶対に賛成しません、絶対に!)

 

私の説得は一時間以上続いた。

 

そして、徐々に彼女の態度が軟化していった。

結局は、彼女も私にそう言われると思っていたようだ。

 

ザリはようやく思い留まったようだった。

 


[テーブルの上の写真]

 

そして、血走った私は、無責任極まりない言葉を口にしてしまう。

 

私「Zalih, I want you to be my wife someday.」(ザリ、いつか、奥さんになってください。)

ザリ「What!? Really!?」(何っ!? 本当に!?)

私「Yes. I love you. Will you marry me?」(はい。愛しています。結婚してくれませんか?)

 

ぶふぇっ!

何と、このタイミングで彼女にプロポーズしてしまった。

私は自分自身を疑う。一体、どの面下げてそのようなセリフを口にしているのか。

 

わかっていたが、ザリを説得するトドメとして、このフレーズしか思いつかなかったのだ。

 

ザリ「Aah, I’m so happy to hear that. Thank you so much, Range.」(あー、とても嬉しいです。本当にありがとう、レンジ。)

私「Yes. So please remain your virgin until then.」(はい。だから、それまでバージンで居てください。)

ザリ「Haha, Okay. I understand. Haha!」(ははっ、大丈夫。理解しました。ははっ!)

私「Yes. Haha.」(はい。ははっ。)

 

私は今生で最もブスな笑顔だったと思う。

それでもザリの笑顔が嬉しかった。

 

私「Anyway, what will you do tonight?」(ところで、今夜の予定は?)

ザリ「Nothing.」(何もないよ。)

私「Do you stay here tonight?」(今夜泊る?)

ザリ「Yes. I wanna stay with you.」(はい。一緒に居たいです。)

 

この夜、彼女の相談を聞いた、そして、彼女が本気と受け取ったかどうかはわからないが、私はプロポーズをした。にも関わらず、彼女を帰してまでマリーに会いに行くことはできなかった。

 

マリー、今夜もごめん!

私は、コンビニへ走り、追加の軽食と飲み物を買ってくる。

 

そして、ザリと二人で食事をし、その後はベッドでいちゃつく。

 


[ホテルベッドルームの写真]

 

ザリとは今回で何度目かのゴールチャンスだった。この日も彼女のゴールマウスは強靭なディフェンスで守られているのだろうと思っていた。

 

私はいつもの練習試合のつもりだった。

 

しかし、彼女の態度は変わっていた。私がプロポーズのような言葉を発したからだろうか。それともそれをずっと待っていたからだろうか。

 

彼女はこの日、私を受け入れた。

 

彼女の初試合に、二人で感動する。

 

試合が終わると、彼女は多少辛そうにしていたが、すぐに寝入った。私は、しばらく彼女の頭を撫で続けた。

 

これって、私とザリ、結婚する方向? 破局したらどうなるの? 殺されるのか?

 

私のフィリピン恋愛は、どこまで行くのだろう。そろそろ覚悟を決めるしかないのだろうかと、彼女の寝顔を見る。最高に可愛い寝顔に心が揺らぐ。

 

 

時刻は、午前1時を過ぎた頃だった。

 

午前1時5分。

 

午前1時6分。

 

午前1時7分。

 

 

 

「レンジーっ! ごらぁっ!」

 

 

悪魔の叫びが聞こえてきた。幻聴だった。

 

やっぱり、マリーっ!

 

ザリ、ごめん、少し寝てて!

私は彼女を起こさないよう、ベッドを静かに抜ける。

 

音を立てないよう、服を着て、外出準備。

そっとドアを閉め、部屋の外へ。

 

急げっ!

私は、マリーの勤めるKTVへ走った。

 

 

息を切らしながら店内に入り、VIPルームへ。

すぐに、鬼が怯むほどの表情でマリーは入ってきた。

 

私は「体調が本当に悪くてホテルで休んでいました。」と説明する。

 

しかし、彼女は全く聞く耳を持たない。

 

マリー「I don’t know! Anyway, here we go!」(知るかっ! とにかく飲めっ!)

 

そしてその夜、私は彼女からこの二日分のアルコールハラスメントを受け、パンツ一枚で土下座をさせられ、営業時間終了まで彼女の高笑いを聞かされ続けた。

 

もちろん、アフターの韓国焼肉もセット。

この時は二人っきりで長時間にならず助かったが、終わりはマリーの自宅へ。

 

アフター時に、「まだ体調悪いからホテルで寝ます。」と伝えていた。

彼女との試合が終わり、「本当にごめんね。」と言うと嫌な顔はされたが、彼女の寝付く前に自宅を脱出することができた。

年始とほぼ同じパターンになりそうなところ、何とか回避。

 

そして、朝方。

ホテルに戻り、ザリの寝息が聞こえるベッドへ忍び戻った。

 

ふーっ、私は近々死ぬ。

 

[次回あらすじ]
滞在中は常にモゲているレンジ。今度もまた懲りずに、別のフィリピーナとデートへ。

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

2 コメント

  1. 何故でしょう。。
    これだけゴール量産しているストライカーのハッピーエンドの絵が想像できません。
    ご自愛下さい!

  2. しゅんたろさん、いつもコメントありがとうございます!
    そうですね、どう足掻いてもハッピーエンドにはならなさそうです。

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