コンコン・・・・コンコン・・・・コンコン・・・・
レンジさんの連続ノックは5分ほど続いた。
私(心の中)「レンジさんの執念と持続性すげえな」
その5分の間、私は足音が近づく度に筋肉を膨らませ、同じフロアの住民に襲われないように最善を尽くしていた。
不審者以外の何者でもない。
レンジさんが戻ってきた。
レンジ「だめだ。完全に寝てる。マリーが寝ていても一階部分の部屋にはメイドがいて、出てきてくれるんだけどな」
私「残念ですね。もう諦めましょうか」
レンジ「そうだね。一回帰ろうか」
結局、マリー・リョウコとのボーリング同伴の約束は果たされることなく、私たちはホテルへと向かった。
レンジ「んー、残念だけど、よくあることだよ。
でもこういう時に、女の子を叱ったり、責めたりしすぎるのはよくないから覚えておいてね」
私「どういうことです?」
レンジ「もちろん約束を破ったのは向こうだから、ある程度は言っても構わないんだけど、それも国民性だから、ぐちぐちとしつこく言うと心が狭いって思われるからね。だいたいのことは
“Never mind(゚ー゚☆キラッ”
くらいの心の広さを見せとかないとね」
私「なるほど、勉強になります」
レンジ「さて、夜までまだ少し時間があるね。俺はちょっと会社でやらなきゃいけないことがあるから、その間、ケンさんは俺のおすすめのマッサージ店でも行っとく?」
私「いいですね!マンション待機の時に全身に力を入れすぎて疲れました」
レンジさんのおすすめマッサージ店はリビィエラマンションホテルから徒歩1分程度の非常に近いところにあった。
今後、私はこのマッサージ店にフィリピンに行く度に2回はお世話になることとなる。
60分で450ペソなので日本の半額くらいだろうか。非常に安い値段で、全身をマッサージしてくれる。しかも24時間営業である。
フィリピンには多くのマッサージ店があるが、コスパを考えるとここが一番良いとのことだ。
今では私はこのお店の店員に顔を覚えられており、
“スーパーマン”
と呼ばれている。
おそらく私の体つきと、スーパーマンと名付けたおばちゃんにマッサージをしてもらったときの私のパンツがスーパーマンの柄だったことから名づけられたのだろう。
名付けられたその日、マッサージを受けるために上着を脱ぐと
おばちゃん「Amazing!!!」(なんちゅう体してんねん!!!)
と叫んでいた。それがおばちゃんだとしても悪い気はしない。とりあえず
私「Muscle is justice」(筋肉は正義だよマダム)
とだけポーズを決めながら言っておいた。
次回 フィリピン・マラテのゴーゴーバー“タイタンズTITANZ”人生初ストリップ