マニラ空港 第三ターミナル 出発ロビー

レンジさんが部屋から降りてきたのはそれから5分ほど。
チェックアウトは、マリーがするとのことで、グラブをすぐに呼んだ。

入国時の空港では、なかなか捕まらず、ガソリン高や観光客の減少でグラブタクシー自体が減っているかもしれないと危惧したが、入れ食いレベルですぐに捕まったから助かった。

 

ハナとの別れ際。
彼女があるものを手渡してくれた。“私の名前入りボールペン”だ。しかもえらくちゃんとしたボールペンだ。

別れが寂しいのと、そのプレゼントが嬉しくて普通に泣きそうになった。
年齢を考えてグッと堪えたが、本当に泣きそうになった。
もちろん、そのボールペンは今も大切に使わせてもらっている。

 

さて、タクシー内のレンジさんはと言うと、酔っているからというのはあるんだろうが、先程は私の言動にかなりカチンときていたようだが、タクシーの中では普通に会話していた。

そして空港着。
危惧していた入り口での長蛇の列も、チェックインカウンター、出国審査、手荷物検査の混雑もなく、スムーズに終え、あとは飛行機に乗り込むのみとなった。

 

「ちょっと時間あるから飯食わない?」
「そうですね、僕も少しお腹空きました。今が6時10分なので、あまり時間があるわけでもありません(7時離陸)が、パパッと は食べられるでしょう」
「じゃああそこ?」

 

レンジさんが指差したのは、ステーキレストランのようなところ。
2軒レストランが並んでいたが、その左のレストランはフィリピン料理系で、ディスプレイから既にあまり美味しくないだろうという雰囲気が出ていた。

 

少なくともそのステーキレストランは、値段はそれなりにするものの、ディスプレイは美味しそうに見えた。が、所詮は空港内のレストラン。リピーターなどほとんどいないため、味は美味しくないだろうと思っていた。

 

が、違った。
普通にだいぶうまかった。
二人ともスペアリブセットを注文したが、フォークとナイフだけで綺麗に食べられるほどに肉が柔らかく、ホロホロ崩れる。
朝から食べるには重いものだが、とにかくうまい。

 

しかし、料理が提供されるまでに10分以上は待ったし、いかんせん量が多いので、サクサク食べないとゲートに行くのが遅れそうだ。

 

だが…レンジさんの様子がおかしい。

完全に以前、ポットさんに会いに行った名古屋の最終日状態だ。目が逝ってる。

 

あの時も最悪だった。
昼ごはんの時、まるでコミュニケーションがとれないほどに脈絡のない話を勝手に展開し、手を止めてばかりで、ご飯を食べるのが遅い。
その辺の昆虫の方がワンチャン早く食べられるのではと思うほどに食べるスピードが遅い。

 

とにかく食べる手を止めてしゃべるのだ。
まさに今はその状態。

私は時間を見ながら早めに食べたので、6時30分ごろには食べ終わった。
もうゲートに向かう時間だ。

 




 

しかし、レンジさんはまだ半分も食べていない。
手を止めてばかりで一向に食は進んでおらず、今のペースだと一体どれくらい時間がかかるんだといった様子。

 

「早く食べてください。飛行機乗り口の場所もここから遠いですし、もう時間がないです」

 

そう言われても食べるのは一口だけ。
それからまたすぐに喋り出す。
さっきレンジさんがキレるところを久しぶりに見た私は、それなりに怯んでいた。今日のレンジさんの酔い方は、刺激するとキレるやつだと理解した私は、苛立ちを抑えながらも同じことを何度も言った。

 

 

何度も

 

 

何度も

 

 

何度も

 

 

何度も

 

 

6時40分。今だに3分の1くらい残っている。

 

「流石にいい加減にしてください。もう行きましょう」
「お、おうおう、行こう行こう」

 

レンジさんが立ち上がるのを確認して、リュックを背負い、出口へ。
ふと振り返ると、立ったままスープのようなものをすすっている。

時間がないのだ。
この気持ち&苛立ちがわかりますか読者の皆さん。
時間がないんです。

 

ようやく搭乗口に向かい出したのは6時43分。☜焦っていたので詳細な時間も覚えている。
それでもなお

 

「ちょっと飛行機に乗る前に一服する?なーに、時間は大丈夫よ」
「無理に決まっているでしょう。吸うなら僕は、流石に先に行きます」

 

…さっきのご飯の時点でそうしておくんだった…

搭乗口に着いて、チケットを見せると、その瞬間に飛行機内へと続く通路のドアが閉められた。

 

「今までどこに行っていたのですか?何度もアナウンスしたのに…もうあなた方は飛行機には乗れません」
「え?いやいや、冗談でしょ?」

 

「いえ、冗談ではありません。乗れません。もうゲートは閉め切りました。」
「え、いやいやお願いします。乗せてください。日本帰りたいんです」

「遅れてきたあなたたちが悪いんです。無理です」

 

嘘だろおい。

 

 

…おい

 

 

…豚。ゴラァ。とりあえず一発殴らせろや。

 

 

あと残り3話で終了です。

残り少なくなりましたが、次の登場は当分後になるので、残り少ない駄文にもう少しお付き合いください。

 

ブログランキングリンク-ボトム
ブログランキングのトップを目指しています。
応援よろしくお願いしますm(_ _)m

 

 

 

スピンオフ小説『クレイジーマニラ』電子書籍、単行本出版決定!Amazonで販売中↓ フィリピン 小説 マニラ

 

オノケンシーズン2 第三章前の記事
オノケンシーズン2 第三章次の記事

 

オノケン
オノケンは日本で働く普通の30代サラリーマン。先輩レンジの誘いから、マニラ旅行へ。それ以来、マニラに通うように。趣味はフィットネスで筋肉こそ正義だと思っている。海外旅行はリアルドラクエのため筋トレでレベル上げをしている。 オノケンブログでは、マニラ旅行記やフィリピーナとの恋愛をメインに、英会話の上達方法などを記事としてアップしていきます。

10 コメント

  1. はははははは😂
    いやはやお二人らしいというか、レンジさんらしいというか、どこから湧いているのかわからない自信に満ち溢れた感がきっとレンジさんの魅力なんでしょうね。風天の寅さんじゃないですが、身も心も風まかせ?到底わたしには出来ない芸当といいますか、ある意味憧れでありその心の余裕は持ちたいなといつも思います。まあ、付き合わされる人にはたまったもんじゃないでしょうが苦笑。お疲れ様でしたねケンさん。

  2. えぇえぇぇぇっ!!
    チェックイン後ですよね?
    🤣🤣🤣
    コレは笑わずにはいられない🤣🎉🤣🎉
    どうしてそうなるんですか?😅

  3. ( ゚∀゚)・∵ブハッ!!
    閉められるなんてあるんですねΣ(゚д゚;)
    ケンさんの気持ちは分かりました(笑)
    後日レンジさんのその時の気持ちが掲載されたら改めて読み返してひと笑いします✨

  4. うわー!
    その昔、似たような経験アルアルな私。
    でもクレマニだから、もしかして奇跡が起こってたりして・・。

    ほんと、LCCって一度閉めたら二度と開かないですよね、、
    あぁ世界の◯性も同じか・・・

    しかしさすがケンさんレンジさん(笑

※コメントアイコンが欲しい読者様、DMでお知らせください。

 

コメントを書く

Please enter your comment!
Please enter your name here