[レンジブログ 前回のあらすじ]
マニラでビジネス準備。フィリピーナのパーリーからサポートを受け、何とか営業開始に。そして、その初日はビジネスパートナーのナオミとミーティング、そして新規スタッフの面接を行う。
[前回の記事]
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。
クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。
レンジブログを始め(序章)から読んで頂けると幸いですm(__)m
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ
レンジブログ第一章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ
レンジブログ第二章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る
また、オノケン(現在の話)とレンジ(過去の話)のブログは交互にストーリー展開します。登場人物も共通する人が出てくるので、始めから読んで頂けるとより記事の内容が分かりやすいと思います。オノケンブログもチェックしていただければ幸いですm(__)m
【レンジブログ72】フィリピーナとビジネス準備。PLDTの回線工事が遅い!?
ナオミとともに、オフィスのカギを開け、中に入る。
中は内装工事も完了し、空調もしっかり効く。よっし、ここでオフィス仕事ができる環境がようやく整った。
そして、奥のスタッフルームに向かい、二人でミーティングを開始。
ナオミ「Anyway, how are you, sir?」(ところで、調子はどうですか、ダンナ?)
私「I’m Okay today. Please eat that.」(今日は大丈夫です。 それを食べてください。)
ナオミ「Yes, sir.」(はい、ダンナ。)
ナオミは手に持っていたトウモロコシをすぐに食べ切り、コーヒーを淹れ出した。
そして、今度はスナックケーキのようだ。何種類かあるものを嬉しそうに選び、食べ始めた。
ナオミが持ち込んできたスナックケーキは、ハリソンモールの彼女のお気に入りの店で購入したものらしく、彼女は幸せに満ちた表情だった。
[ハリソンモール一階では現地価格で様々な料理やお菓子を買うことができる]
それにしても、一体何個買ってきたのだ? 20個はありそうだ。そのケーキの数は、絶対に一人で食べきれる量ではない。食べても一人で5個くらいだろう。
彼女は何個か私にも食べるよう勧めてくるが断った。私は、今お腹も空いていないし、お菓子など甘いものは苦手である、というか食べないようにしている。
もし、お菓子でカロリーを取るのであれば、その分はお菓子ではなくお米で回収したい。私は常に健康への意識は高く、フィリピン人以上に「お米」好きなのだ。
ナオミはミーティングの間、絶えずその大量のスナックケーキを次々に食べていた。
何個目だ? こちらも心配するほどの量だ。まだ午前中にも関わらず。
このケーキは昼食兼用か? いや一日分の必要カロリーは既に超えていると思われるが。
[ナオミの勢力は依然強さを増し続けていた。]
ナオミ、それが猛烈に太る理由だ。
決してフィリピン周辺の海水温が高いからあなたは発達しているのではない。あなたは常に高カロリーを摂取し続けているから発達しているのだ。
この勢いであれば、900ヘクトパスカルを切るのはもう間近であろう。
私「Are you okay? I think it’s too much for you.」(大丈夫? ちょっと多すぎじゃない?)
ナオミ「It’s Okay, sir. I’m diet now!」(大丈夫です、ダンナ。今ダイエット中です!)
ダっ、ダっ、ダイエット中っ!?
タガログ語では全力で太ることを diet と言うのか!?
私とナオミが初めて会った頃から、彼女は常にダイエットをしているらしい。
なるほど、フィリピン周辺、特にマニラ湾の海水温がきっと猛烈に高いのだろう。
[ナオミ過去記事]
【レンジブログ56】人生三回目のマニラ旅行へ。夕食会場で新たなフィリピーナとの出会い
【レンジブログ57】人気のバイキングレストランでディナー。その後、マラテの初KTVへ
私はケーキを頬張る幸せそうなナオミに、オフィス内の気になっていたことを聞いた。
オフィスの固定電話と有線インターネット回線工事の件だ。
私たちのビジネスでは、電話とネット環境が必須であったため、一番急がなければならない事項であり、もちろんテナントが決定した時にはすぐに申込に行き、契約した。
現地では最大手のPLDTと言う通信会社(日本のNTTのような会社)だ。
手続きに行った際に受けた説明では、2~3週間後には開設が完了するとのことだった。
しかも、今回賃貸しているオフィススペースは過去にPLDTの回線が入っていたらしく、環境が整うのに2週間もかからないだろうとの説明だった。
しかし、3週間目を過ぎた今もまだPLDTの担当者が開線の工事にやってくる様子はなかった。
私「I just worry about PLDT. Already three weeks. It’s so late…」(PLDTについて心配です。すでに三週間。遅すぎます…。)
ナオミ「Yes, sir. I’ve already told to PLDT about that. Today also, but…」(はい、ダンナ。すでにPLDTとは話しました。今日も、でも…。)
私「But?」(でも?)
ナオミ「Christmas in Philippines now.」(今、フィリピンはクリスマスです。)
何っ!? クリスマスっ!?
今は12月の上旬、クリスマスはまだ先だ。日本とは違い、12月のフィリピンはお祭りの雰囲気が一か月以上続くことは知っているが、それがネット回線の開設が遅れていることに関係があるのか??
ナオミ「Even PLDT is busy on Christmas. All Philippines happy now.」(PLDTもクリスマスシーズンは忙しいです。今はフィリピン人みんなハッピーです。)
おっ、おう…。
みんなハッピーなことは結構だが、私はハッピーではなく、過去にないほどモゲている。
もし日本で、
NTT担当者「先月の契約の際、3週間以内に伺うと伝えましたが、クリスマスシーズンに突入したので、みんなハッピーです。よって、回線の件は来年に入って、ハッピーな状態が落ち着いてからです。」
と、言われたとしよう。
私は、怒りのあまり巨大なオナラで飛び立つだろう。あるいは、全く理解できずに耳と鼻から煙が出るだろう。
ナオミによると、12月と新年はフィリピン全体でいろいろなことが滞るとのこと。それは知っていたが、PLDTのような超大企業もこのシーズンは例外ではないらしい。
んー、しょうがない。これが海外でビジネスをするということだ。色々な事情を受け入れなければ。日本が特殊すぎるのだ。普通はこうなのだ。
そうだ、みんなハッピーならしょうがない。しょうがない、待つしかない…。
結局、このPLDTの回線の件は翌年の1月下旬にようやくアクティブになった。契約申し込みから、約2ヵ月も要したことになる。
時期が悪かったのだと言われればそうなのだろう。しかし、今後の良い勉強にはなった。
[固定電話(Landline)用のSIMカード]
この時は、とりあえず臨時で使用していたLandlineのSIMカードを固定電話番号用のものとして、もうしばらく使うことにした。
インターネット環境については、割高となってしまうがポケットWi-Fiを臨時無線ルーターとして、パソコンと接続することにした。
さて、この後もいろいろとナオミとは打ち合わせをしなければならない。
パーリー経由で初期の顧客はすでに紹介されており、まずはその案件に取り掛からなければならなかった。
また、広告や営業の方法、パソコン仕事の手順、電話の応対などをお互い入念に確認する。
やることは山積みだ。とにかくもっと人手が欲しかった。
小口現金の管理については、当然ナオミにお願いしていた。パーリーの実妹であるし、私もすでに彼女との信頼関係は十分だと感じていた。しばらく様子を見て、口座の管理も任せる予定だった。
もちろん、念のためにオフィス内には防犯カメラを設置しておいた。ネット接続により日本からでもその様子は記録、あるいはリアルタイムで確認できる。非常事態やスタッフの行動に万が一はないと信じたいし、私もおそらく常時チェックすることはないだろう。
慌ただしい一日は、早くも夕刻を迎えていた。
私のお腹が空き始めたころ、ナオミの電話が鳴り、何やら親しそうに話をしていた。
電話の相手は、今日の面接にやってくるスタッフ候補、ナオミの友達たちであろう。
電話を切って10分後、ナオミはビルの下まで彼女らを迎えに行くと言い、オフィスを出て行った。
そして、すぐにナオミたちは戻ってきた。私はスタッフ候補の女性三人を接客スペースに通した。
彼女らの第一印象は、「大変良い」というものだった。ナオミの信頼のおける友達という時点で、合格だった。
人物の学歴や能力はほとんど問わなかった。業務内容はナオミがしっかり教えるだろうし、仕事のスキルは後に向上するだろう。とにかく、人物重視である。
[スタッフ似顔絵]
三人とも、元気のよいフィリピーナ、若々しい優しそうな笑顔で健康的な印象だった。
私は、業務内容や会社理念を再度説明し、彼女達はそれを熱心に聞いていた。また、雇用の条件をナオミを通して伝えた。彼女達はその雇用契約書をしっかりと読んでおり、「本当に仕事を頑張りたい」という熱意は十分に伝わってきた。
彼女らは別の仕事をしているが、ナオミの誘いに魅力を感じ、この会社に転職するつもりでやって来たという。
私は大変嬉しかった。何より、急いで人手が必要であったため、三人の気持は本当に有難かった。
私は、その場でYESを伝えると、三人は本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれた。そして、お互いに書類にサイン。たった今、これから私達は同じ会社で働くもの同士となった。
残っていた5つのスナックケーキを、皆で一個ずつ食べながら、さっそくナオミが業務内容を教えていた。
その後、しばらくミーティングと研修をして、明日の勤務内容を確認した後、この日は勤務時間を終えた。
皆でオフィスを後にしてビルの一階に降りる。
別れ際、ナオミに「みんなで何か食べておいで」と、1,000ペソを渡した。彼女たちは本当に嬉しそうに、「あれが食べたい、いやあれだ」と口々に言っているようだった。
こんなことでも多少は皆のモチベーションの向上になればいいのだが。
私もナオミの指導力にある意味賭けている部分はある。友達のフィリピーナ同士であれこれ話すこともあるだろう。
さて、私も疲れたし、今日もまっすぐホテルに帰ろうか。それとも何処かへ寄り道してみようか…。ザリに会いたいような気もするけど…。
スマホのメッセージを確認すると、いくつかメッセージが入っていた。
中でも一番、気になったのは、ポニーからだ。
[ポニーの似顔絵。KTVベテランフィリピーナ。]
ポニーのメッセージは、
「My baby is almost fine. Today no working. Range aitai.」(子どもほとんど元気。今日は仕事ない。レンジ会いたい。)
というものだった。
[次回あらすじ]
ポニーからメッセージを受け取ったレンジはどう返信するのか。マニラの夜の部が再び始まる。