[4章のあらすじ]
自身4回目のフィリピン旅行は今までで最長の1週間もの長期間の旅であった。しかも、今回は会社の先輩のリョウさんも新たに迎え、3人での旅となった。
今回の旅は自身最長となる1週間もの滞在である。そのためアンへレスやスモーキーマウンテン、そしてディビソリアなど新たな場所への旅も予定していた。
また、個人的な大きな目標は現彼女のティー、彼女候補のチャンとの合体であった。
いざ旅が始まると、スケジュールを乱してくる人物が登場した。
レンジさんの彼女のマルコである。今回の旅の最中に彼女の誕生日があるということで、彼女の荒ぶり方はすさまじいものであった。
わざわざ行ったブルゴスストリートでたったの数十分の滞在、4時間かけていったアンへレスは1時間程度の滞在となってしまったのは、すべてマルコの振り回しにより起こったことである。
また、リョウさんはリョウさんで大のB専、合体大好き人間であることが発覚。
1日に何度もLAカフェに赴き、40代になろうとしている年齢を全く感じさせない男っぷりを見せた。
リョウさんの滞在は3日程度だったため、私たちの旅の中盤には高笑いと共に日本に戻っていった。
私の合体の方は、中盤からティーの体調が悪化し、結局旅が終わるまで会うことができなかったために合体はならず。
頼みのチャンは何度も会っているうちに彼女というより兄(私)のことが好きな妹といった感じになってしまった。
妹は抱けない。チャンは私の彼女候補から外れてしまった。
そんな中、意外な出会いもあった。
レンジさんとチャンの友達のジェーンである。
ジェーンのことがドストライク+マルコの振り回しにうんざりしていたレンジさんは、即座にジェーンにアピールを開始したのであった。ちょうどジェーンも恋人と別れたばかりで人恋しかったのか、二人の距離は急接近するのであった。
衝撃的であったことがマリーの薬物使用疑惑についてである。
数か月ぶりに連絡が付いたかと思えば、まさかの薬物使用発言が本人の口からでたのである。
警察に連絡するも、その後、警察からの連絡は何もないままであった。
合体の目標は何一つ達成できずにうなだれて日本に帰国した私。
ティーへの気持ちは日に日に冷めていき、それと同時にフィリピンへの思いも薄れ始めてきた。
一方でレンジさんとジェーンは順調に恋人同士になる階段を上がっていたようだが、そんな中、いきなりのジェーンが亡くなった連絡。果たして真相は?
[アプローチをしていた恋人候補のフィリピーナの他界。原因は?]
チャン「ジェーンが亡くなった」
予想しないチャンの返信に、事態を把握するまでに時間がかかった。
“She passed away”
とメッセージが送られてきたため、“passed away”に自分が知らない意味があるのだろうと色々と調べはしたが、“亡くなった”以外の意味で当てはまりそうな意味は他にはなかった。
亡く……なった?ジェーンが?
冗談でそんなことをチャンが言うわけがないが、一応聞き返す。
私「亡くなった?ジェーンが?嘘でしょ?」
チャン「本当です。三日前に亡くなった」
私「なぜ?」
チャン「バイクでの事故」
信じられなかった。
ものの二ヶ月ほど前まではあんなに元気だったジェーンがいきなりの他界。
確かにフィリピンではほとんどと言っていいほど運転が荒いドライバーばかりである。
入れる間隔があったら入るというより、無理やり車の頭を突っ込んで車線変更するような車ばかりで、だいぶ慣れてきたとはいえ、未だに肝を冷やすようなことが多い。
そんな中で車やバイクを利用していたら、事故を起こしてしまう確率は日本よりはるかに高いことだろう。
[以前マニラ内で見かけたトラックと乗用車の事故]
ただ、自分がよく知るフィリピーナがバイクでの事故で他界してしまったことを聞くと、やはりすんなりとは信じることは難しい。
チャンによると、ジェーンは仕事仲間が運転するバイクの後ろに乗っており、ヘルメットはつけてはいなかったようである。
運転していたフィリピーナはヘルメットを着用していたため亡くなってはいないようだが、仕事後の為、当然飲酒をしていた。
どの程度飲んでいたかはわからないが、ノーヘルで飲酒後すぐに運転する人の後ろには普通では乗りたくはないものだ。
しかしフィリピンと日本では当然飲酒運転に対する考え方も違う。
おそらくは飲酒運転も日本と比べると、比じゃないほどに多いことであろう。
私もかなりショックな出来事であるが、仲が良かったチャンのショックは計り知れない。
ショックで仕事も行けず、食事もほとんど喉を通らないそうである。
また、チャンほどではないにしてもレンジさんもかなりショックを受けることだろう。
それくらいジェーンに夢中だったのである。
「ジェーン、3日前にバイク事故で亡くなったようです」
そうレンジさんに伝えた。
既読がつくも、その後なかなか返信はなく、ようやく返信があったと思ったら
“そうか”
のみであった。
この連絡を返信するのがやっとといった感じであろうか。
次の日、忙しさのピークを乗り越えたとはいえ、レンジさんとジェーンの事について話す余裕はなかったが、遠目には普段通りといった様子に見えた。
あまり私の方から話しかけるのは気が引けるため、レンジさんから話しかけてくるのを待った。
そしてその次の日にレンジさんから連絡が入る。
レンジ「今日晩飯一緒に食べに行かない?」
私「了解です」
約束の時間に待ち合わせ場所で待っていたら、レンジさんと共にリョウさんもやってきた。
レンジ「ちょうど帰るときにリョウさんと一緒になってね。ケンさんと飲みに行くって言ったら、フィリピンの打ち上げをしようって話になってね」
私「あ、そうなんですね」
リョウ「いやぁ、フィリピン楽しかったから、打ち上げはしないといけないでしょ。俺が帰ってから2人に何があったか教えてよ。実は俺からのご報告もあるの」
3人で居酒屋に向かう。
居酒屋に向かう道中までで、リョウさんが帰った後のこと、またジェーンが亡くなったことについても話し終わった。
店に到着した時には重い雰囲気が3人を包んでいた。
リョウ「そんなことがあったんだね。レンジさんは特につらいだろうね」
レンジ「はい、それはもうへこみました」
リョウ「だよね...」
レンジ「チャンもジェーンの家に行ったそうなので、近いうちにケンさんと一緒にジェーンの家を訪ねてこようと思います」
リョウ「そうだね。短い間でも心通わせた相手ならちゃんと送ってあげないとね」
レンジ「はい...」
リョウ「ところで俺からもあまり良くない話があるんだけどいいかな?」
レンジ「なんでしょう?」
リョウ「俺、実はフィリピンで性病にかかったの」
レンジ&私「え!?」