[前回のあらすじ]
日本人のフィリピンパブで出会った女性と、マニラで再会。その夜一緒にホテルへ。しかし、室内で繰り広げられたのは、現地の「土地」を買う買わないの話だった。
[前回記事]
【レンジブログ129】ホテルで一変、フィリピーナから詐欺に遭う?
[序章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ
[第一章第一話]
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ
[第二章第一話]
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る
[第三章第一話]
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。
レンジブログは第三章で完結しています。
それ以降のエピソードが「オノケンブログ」の内容になります。
[オノケンブログ第一話]
オノケンブログ第一話「転落と後悔」
また、レンジ個人のその後のエピソードは「外伝」という形で記述しています。
[外伝一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた
【レンジブログ130】秘密にしていたフィリピン滞在が彼女にバレる?
ミカが暴言を吐き、部屋を出て行った後。
一人になった私は泣きそうだった。
…たぶん。
3秒くらいは。
オヤジだと?
金しかねぇだろう?
その通りじゃないか!
5秒後には怒りが込み上げてきた。
おー、そうさ。私はあなたとワンチャンしたかったさ。
鼻の下伸ばし切って、お金で解決しようとしたさ。一瞬どころか大分その気になったさ。
金しか無くて何が悪い。
金もそんなに持ってないが、何が悪い。
オヤジと言っても皆歳を取るぞ。心は少年のままだが。
私も生き物。お互い様だ。
クソっ!
誰が悪いのだ。
…
私だ。
私が一番悪いのだ。
どうしてくれようか、このやり場の無い怒り。
ーー1分くらいよく考えてみた。
落ち着こう。
とりあえず、ブロックは解除しておこうか。人生何があるかわからない。
ミカが心を入れ替えて謝ってくるかもしれないし。
あのクオリティの女性はやはり捨てがたい。
私はものの数分でブロックを解除した。
情けなくはない。あくまで心の中で彼女の事を「名前を付けて保存」しただけだ。
とりあえず、今夜ミカとのワンチャンは絶たれた。
諦めて、切り替えて行くのだ。
私の健康寿命はあと30年しかない。日数で言えば、あと10,000日。
残された時間は短い。
立ち止まっている間は無いぞ、行くしかない。
ーー時刻は午前2時前だった。
再びホテルエントランスに降りてきた。
ドアマンは「また女行くのか?」と呆れた表情。
違うんだ。私は未だ一滴も出していない。
私は今夜もミユキの元へ向かった。彼女に癒されるために。
女性は幾らでも現れる。立ち止まってはいけない。
People comes Please leaves.
人は来る、人は去る。
ーー二日連続のグランドヨーコ。再び遅い時間だった。
金曜の夜で多少店は混雑していたが、ミユキには指名が入っていなかった。
彼女がテーブルに現れた。
ミユキ「こんばんは! 今日もまた遅い時間ですね」
私「そう。ホテルに戻ってから少し仕事をしていてね。もう寝ようかと思ったんだけど、あなたに会ってからにしようと」
ミユキ「きゃっ、嬉しい! レンジさん。あっ本当だ、お酒臭くない。お仕事大変ですね」
私「そうなのよ。ところで何か飲む? 今日くらい一緒に飲まない?」
ミユキ「えっ、そうですか? じゃあ頂いて良いですか?」
私たちは二回目の出会いに乾杯した。
あー、ミユキ。本当に美しい。
そうだ。私はミユキを新たに見つけたんだ。
さっきまでの出来事を忘れさせてくれる。
今夜は飲むしかない。
一時間もなかったが、私はハイピッチで水割りを飲んだ。
それはもう目が見えなくなるほどに飲んだ。
このときミユキをアフターに誘ったが、「朝が早いから」と断られた。
しかし、彼女の方から「日曜の夜はどうですか?」と再提案があった。もちろんOKです!
私は完全に気持ちが治った。最高に気分が良かった。
日曜は明後日だな。よっし!
そして、完全に酔っ払った。
グランドヨーコを出て、マビニストリートを歩く姿はおっさんどころじゃない。おじいちゃんのようだっただろう。
この日、ホテルに戻ったのは午前4時頃だった。
ーー次の日、目が覚めたのは昼前。
酔いの残る重たい体を起こし、スマホのアラームを止めた。
ふと気付くと多数の着信が残っていた。
誰だ。
ぶふぇっ!?
寒気がした。
マルコ。
[マルコ似顔絵]
スマホに残る全ての着信履歴がマルコからだった。
戦慄が走るどころではない。
私は思考を止める事でしか対処できなかった。そのまま無視しようか悩んだ。
これはヤバい。
何故にフィリピン用のスマホに着信があるのだ。
彼女に今回の渡比は伝えていない。内緒だ。私は日本に居ると思っている。
普段はラインかメッセンジャーを使って連絡してくるはず。
何故にこの日に限って、フィリピン用の電話に掛けて来たのだ。
ショートメールには「Phillipines now? (今フィリピン?)」の一言。
完全にバレた。
私がフィリピンにいる事がバレている。
誰だ…
誰だっ…
誰だぁっ!
思い付くのはパーリー。私とマルコ両方の連絡先を知っているのは彼女だ。
クソっ、あのアっ…
とにかく確認せねば!
私はすぐにパーリーに電話を掛けようとした。
発信履歴からパーリーを探そうとすると…
スマホを持つ手が強く震える。
もうシェイクのレベルであった。
私だった。
発信履歴のトップにマルコの名があった。
履歴の時刻はこの明け方。ホテルに帰着した頃。
記憶が薄いほどに酔っ払ってしまった私は何を思ったのか、自分でマルコへ発信し、着信を残していたのだ。
シェイクが止まらない。
何てドジなことをしてしまったんだ。
パーリー、ごめん! 疑ってしまった。
自分のクソさにビビる。
でも、どうする?
最後の着信は一時間前だ。
そもそも何と説明する?
決まっている。仕事で急に来ることになったと言うしかない。
彼女と最後にメッセージを交換したのは昨夜11時。「おやすみ、愛してる」と送った。
その間に急務が出来て、今朝フィリピンに到着したと言うしかない。
忙し過ぎて、連絡出来なかったと言い張るのだ。
ーー私は彼女にすぐ電話を掛けた。
コール音の回数を数える。
いち… に… さん…
十回を超えたところで一度電話を置く。
深呼吸して、再度掛け直す。
いち… に… さん…
三回目のコール音が消えかけたところで電話は繋がった。
マルコ「Hello. Where are you? (こんにちは。あなたは何処にいるの?)」
彼女の声は不審さで満ちていたが、ほんの少し私を心配している調子だった。
私はとりあえず、急にフィリピンへ来る事になったと説明した。
マルコ「Ah… I see. But I think no flight at midnight. (あー… わかったわ。でも、夜中にフライト無いのでは。) 」
くっ!
確かに。
幾ら何でも時間的に無理がある。
後で考えれば、直行便では無く、台湾経由などの便を言っておけば良かった。
しかし、私は冷静さを欠いていたため、咄嗟にとんでもない嘘を付いた。
私「I flew in by helicopter. (ヘリコプターで到着しました。) 」
マルコ「Oh gush, Wow! You’re like a movie star! (マジで、ワオ! 映画俳優みたい!)」
そんな訳がない。
しかもヘリは飛行機よりはるかに遅いのだ。
しかし、マルコの声色は一気に明るくなり、「今度、私も一緒に乗りたい!」と言う。
おっ、おう。
結果オーライである。
何処から嘘が始まったのか自分でもよく分からなくなってしまった。
とにかく隠密でフィリピンに滞在していた事は誤魔化せたようだ。
マルコ「So are you busy this week? (だから、今週は忙しいの?)」
私「Ah… I’ll have meeting in Makati this daytime. But I can have time to see you after that. (あー… 日中はマカティでミーティングだけど、その後なら時間は作れるよ)」
私も悪い。
彼女には「うん。忙しい」と言えば済む話。
しかし、この時点で私の最優先事項は彼女のご機嫌取りに変わってしまった。
とりあえず今夜はマルコに時間を合わせ、明日以降はこちらの好きにさせてもらおう。
私「Where do you wanna go? (何処に行きたい?)」
マルコ「Spa. You know I love Wensha Spa. (スパ。ウェンシャスパが大好きなの知ってるでしょ)」
ウェンシャスパとは、日本のファミリー銭湯と同じような所で、一定料金で入浴の他、マッサージや食べ放題の料理を楽しむことが出来る。
[ウェンシャスパは地元民の憩いのスパ]
マルコとのデートでは頻繁に行く所だった。
私「Okay. What time? (わかった。何時?)」
マルコ「Five? (5時?)」
と言う事は、4時にはマカティを出なければ。それはさすがに無理だ。
私「Seven? (7時は?)」
マルコ「Too late. Whensha spa is 6 hours, unlimited eatings by 11pm. I don’t wanna waste time. (遅過ぎる。ウェンシャスパは6時間サービスで、11時まで食べ放題。時間を無駄にしたく無いわ。)」
この人は私の話を聞いていたのだろうか。
忙しさのあまり、日本からヘリで飛んで来た設定になっているのだぞ。
6時間食べ放題が1時間減ることにそんなにこだわりがあるのか。
結局、お互いの折衷案として午後6時に現地集合となった。
私「I try my best. But I can’t promise. (ベストを尽くします。でも約束はできない。)」
マルコ「I don’t wanna hear like that. See you later. (そんなこと聞きたくないわ。後でね。)」
そう言うと、マルコは一方的に電話を切った。
OK、OK。
これくらいの理不尽は慣れている。とりあえず、私の不都合な所はバレていないようだ。
ーーその後、私はマカティに向かい、日中の打ち合わせを終えた。
ケソンに向かうタクシーに乗ったのは午後5時を少し過ぎた頃。
到着はギリギリか。
時間に遅れた場合、マルコが険悪になるのは目に見えている。
最近、マニラについて調べ物をしていたらここがヒットし、それ以来ブログを読んでいます。面白いです。この記事もいいなと。ご本人は大変そうだけど楽しさや必死さが伝わってくる。応援してます。
ホントオモロい! レンジさんの言い回し好きです。こんな前向きな脳内になりたい笑
初コメさん、コメントありがとうございます。
ウレションでございます。日々努力したいと思いますのでこれからもよろしくお願いします!
匿名さん、コメントありがとうございます。
前向きだったのですが、一周半して後ろ向きになっているかもしれません。