ブランデーを水のように飲む宇宙人と交信できる人物

「ヒャッホー！！！！」

なんか横のぽっちゃりがうるさい。
そんなに半年ぶりのフィリピンが嬉しいのか？
それにしてもテンションがおかしすぎる。

「レンジさん！」
「ガハハハハーーーーー」

「レンジさん！！」
「ウホホホホーイ！！」

「おい豚」
「ん、何？」

「なんでそんなにテンション高いんですか？」
「え？だって久しぶりのマニラよ！？なんでそんなに逆にテンション低いの？」

「いや、テンションメーターぶっ壊れてませんか？何かいいことでもあったんですか？」
「そりゃ…そりゃあ…マニラだからよ！」

「なんでそこ歯切れ悪くなる？」
「うっせんだよゴリラ！！」

「シンプルに悪口言うやん」
「人には言えないこともあんだよ！例えそれがお互いのケツの穴を見せ合った仲のケンさんであってもな！！」

「僕たちがいつケツの穴を見せあいましたか？見せたくもないですし、見たくもありません」
「いつかちゃんと伝える！！でも今は盛大なプロジェクトの途中だ！！黙って俺のケツの穴を想像してろ！！」

「想像しませんし、そんなケツの穴に個人差ないでしょう」
「今はただ楽しめ！！飲め！！浴びろ！！射精しろ！！！」

なんなんだこの人は。
こんなに一気にテンションの上がることってあるだろうか。
私なら宝くじで100万当たってもここまでの急激なテンションにはならない。

ブランデーを自分でドバドバとグラスに注ぎ、カラオケの曲間で一気飲み。注いではがぶ飲み…
急性アル中になるレベルで飲んでいる。

また歌っている曲も、日本人男性はまず歌わないような曲ばかりだ。

Wake Me Upやら

アリアナグランデのbreak freeとか、

やら無茶な曲ばかりだ。

というより、レンジさんは一般的に男性が歌う曲を歌わない。

基本歌うのは女性の曲や男性でも女性並みに高いキーの曲ばかりだ。

後2曲、後2曲で私のリクエストした曲というところで１セットの終わりが来た。
チェックした。

レンジさんをこれ以上お店に留めておくのは危険だと感じたからだ。
終盤、彼は自分の右手と左手でジャンケンし、負けた方の手でブランデーを一気飲みしていた。
完全に頭がおかしい。私以外は完全にひいていた。

つか、仕事かなんかで忙しんじゃなかったのか？

店を出た私たち。

「レンジさん大丈夫ですか？」
「ピロピロぴろポロポピシ！！！ケタケタケタ」

「いつから宇宙と交信できるようになったんですか。せっかくの楽しい時間に宇宙人襲来されたら困るのでやめてください」
「ケンさん、俺は幸せだ。愛しているぜ」

「僕のことは愛さなくて結構です。とりあえずもう今日は部屋に帰りましょう」
「いやだ！！俺はまだ行ける！！」

「ダメです。もう帰って下さい。泥酔すぎて、これ以上店にいたら急性アル中になります。保護者としての役割があるので」
「…でもトイレには行きたい。トイレに行ってきていいですか？てかトイレで逝ってきていいですか？」

「そんなクソしょーもない冗談はさておき、とりあえずレンジさんのホテルに行きましょう」
「はい」

今回レンジさんはリビィエラマンションホテルなので助かった。いつもの彼の定宿のバーチタワーだと部屋に連れて行くのが面倒だった。
部屋に着くまでにも何か喋ってはいたが、とりあえずレンジさんを部屋に蹴り入れてからホテルを出た。

「すみませんダイスケさん。レンジさん何が楽しかったのか、やたら飲み騒ぎまくってましたね…」
「ほとんど話すことができなかったですけど、結婚することだけは伝えました。めっちゃ喜んでくれてました。いやー、ケンさんもレンジさんも本当にいい人ですね！」

「何言ってるんですか！！当たり前じゃないですか！！」

レンジさんもダイスケさんの結婚話を耳にしてしまったか。
…さーて、いよいよ話がごちゃごちゃしてきたな…

レンジさんにもマリーの件は近々言わないとな…
ダイスケさんは…クレマニを読まない限りはバレないだろうけど、バレたらアレだな…もう絶縁だな。

※2023年3月現在。レンジさんには新章がスタートする少し前にこの事実を伝えた。

その後については、ダイスケさんと私は順子に入り、カラオケや会話を楽しみ、有意義な時間を過ごして解散した。

ちなみにその時に指名した嬢は、笑顔が素敵な25歳の嬢だった。
子どもがすでに6歳であり、男は基本信用できないから、次に選ぶ男は長い時間かけて吟味するというような、客としてはモチベが下がることを平気で伝えてくる嬢だった。

連絡先は教えたが、ポイントが必要な彼女らからすれば、リピートしてほしさに聞いただけだろうと考えたため、次の日には非表示にしておいた。