[前回のあらすじ]

なかなかフィリピンへ行くことができない日々。その償いにとフィリピーナ彼女達へ「旅行」の誘いをかける。すると、一人から「ダバオのアポ山が見たい」との要望が。さらに、彼女の家族も参加することに。

【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

[レンジブログ第一章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

 

 

 

【レンジブログ102】ダバオ旅行前にフィリピーナ彼女の父親に挨拶

 

 

ダバオ旅行出発、前日。

私は日本からの深夜便でマニラ入りする予定。前泊してからダバオへ向かうつもりだった。

 

 

中部国際空港への特急列車に乗車するため、名古屋へ。夕刻の駅、ラッシュが始まりつつあった。

 


[名古屋駅構内]

 

セントレアからの航空会社はいつもの「ジェットスター JetStar」を利用する。

 

この時は時間帯のせいか、空港内は閑散としていた。

 


[中部国際空港、JetStar受付カウンター]

 

そして、約二ヶ月ぶりのマニラへ。

夜中の到着だった。

 

本音はマニラに何日か滞在して、アホになるほど夜遊びに興じたい思いの方が強いのだが…。

 

マニラ空港の第一ターミナル、いつも憂鬱なイミグレーション。LCCが多く発着するため、いつも尋常ではないほど人の列ができる。

 

しかし、この日は奇跡が起きていた。

 

ほぼ並ぶことなく、飛行機を降りたそのままの足取りでカウンターへとパスポートを預けることができたのだ。

 


[イミグレの奇跡]

この写真は待ち受け画面にしてもよいほど。爽快な写真である。

 

もちろんその夜、少ない時間ではあったが久しぶりのマラテの街でKTV巡りを楽しんだ。

 

親交の深いフィリピーナがいるKTVを各店30分刻みほどで回り、セクハラの限りを尽くした。

この深夜、マラテの一画にブス台風「レンジ」が直撃したのである。

 

ホテルに戻った頃には、私は「仙人」と化しており、性的な煩悩はほとんど残っていなかった。

 

明日から始まる旅行は、夜遊びとは違い、真剣勝負の場所。命の取り合いに近い四日間になる恐れがある。

心して行かなければ。

 

私は身支度を整え、就寝した。

 

 

そして、翌朝9時。

 


[リヴィエラマンションホテル前]

 

寝るためだけに宿泊したホテルをチェックアウトして、マニラ空港へのタクシーを拾う。

 

集合時間は1時間後。よしっ、まだ余裕はあるな。

 

彼女の父親と初めて会うのだ。遅刻など許されるはずがない。

幸い、空港までの交通量は少なく、ものの15分ほどで空港の第二ターミナルへと到着した。

 

彼女に「着いたよ!」と連絡を入れると、彼女達も今向かっているとのこと。

 

私はダバオへのフライトに備え、ニコチンの補給を十分にしておくことにした。

出発のフロアーは二階。喫煙スペースは屋外の一階南側にあった。

マニラ空港の第二ターミナルでは近年、館内が全面禁煙になっているのだ。

 

 


[マニラ空港第二ターミナル外]

 

私はスーツケースと上着を階段の見える位置に置いたまま、さすがに大丈夫だろうと思い、一階へと降りて行った。

 

タバコに火を付け、周囲を見渡す。

 

これから旅行へ向かうのだろうか。多くのフィリピン人家族がワイワイと出発のエントランスを目指す。

 

そうだよな、フィリピンでは家族が一番。私が同行させてもらえるだけラッキーだと思うしかない。

 

私は、徐々に楽しみな気分が芽生えるのを感じながら、彼女たちを待った。

 

 

そして、何本目かのタバコに火を付けた時、

 

彼女「I arrived already. Where are you?(もう着いたよ。何処に居るの?)」

 

とメッセージが。

 

私は急いで火を消し、階段を登る。

 

 

見渡すと、いたっ。

 

マルコだ。

 


[マルコの似顔絵]

 

そして、その後ろには、母親と弟、父親らしき人の姿が。

 

私は、階段際に置いていたスーツケースと上着を手にし、その家族に近づく。

 

マルコも私に気付き、近づいてくる。

私は笑顔で返すが、あれっ?

 

彼女の表情が鬼のように硬い。

 

マルコ「Hey! You were late!(ねぇ! 遅刻したわね!)」

 

久しぶりに会うのに、いきなり「この日本人、父と初めて会うのに遅刻しやがって」という空気。

彼女はかなり怒っていた。

 

いやいやいや、先に空港に着いたって連絡したではないですか。

 

私「No! I’m waiting for you downstairs.(いいえ! 下の階で待っていました。)」

 

と、喫煙していたという手振りを加えて説明する。

 

しかし、マルコは私を無視し、父親らしき人に話しかける。

 

 

くそっ、出だしから気まずい。

 

そして、その男性が私に近づいてくる。

見覚えがある人だ。写真で見たあの父親だ。

 

 

 

父親「Hi, Range. Nice to meet you!(はい、レンジ。初めまして!)」

 

背の高いダンディーな西洋人という印象だった。

 

私「ナッ、ナ、ナイステューミテュー、テュー, Sir!」

 

 

彼は「ハッハー!」と、とても素敵な笑顔で、私の肩を叩いてくる。

 

そして、「この旅に招待してくれてありがとう!」と私の手を握る。

 

えぇっ、マルコのお父さん、めちゃくちゃ良い人やんけ! 第一印象でわかるその人徳の深さ。

とても心配していたのに損した気分だ。

 

私たちは強い握手を交わしながら、しばらく談笑、自己紹介をした。

 

 




 

 

私は以前、父親の片足が「義足」であることをマルコから聞いていた。原因は自身が運転する車で、帰宅中の交通事故だったらしい。

現在は仕事を退職し、自宅療養している。

 

彼の表情は明るいが、片足を引き摺っている様子。決して「満足」ではないだろう。こちらも複雑だ。

 

母親と弟とも「久しぶり!」と挨拶を交わす。二人とも笑顔だったが、弟と顔を合わせるのは今回が二回目。

彼は未だ8歳。

見た目は姉のマルコ同様にハーフらしい端正な顔立ち。ブロンドに近い髪色は地毛だろう。

消臭力のCMに出たとしても問題ないルックスの少年だ。ただ、シャイな性格で未だ私に心を開いておらず、言葉はほとんど交わしてくれない。

 

彼は母親に促され、私と握手を交わすが、恥ずかしそうにすぐ手を引く。

マルコが「ちゃんと挨拶しなさい!」と弟をたしなめていた。

私は「いいよ、いいよ。」と言い、皆をエントランスへ誘導した。

 

 

私「えーっと…」

空港内はそこまで混雑していなかった。

 

マニラからダバオへは「フィリピン航空 PAL」を利用。その国内線カウンターはすぐに見つかった。

皆で、数人の乗客が待つ列の後ろに並ぶ。

 

私たちの順番が来て、私が家族皆のIDを預かる。

それぞれパスポートやIDをカウンターへ提出。カウンターのスタッフはフライトの予約を手早く確認していた。

 

そして、大きな荷物は預け、チェックインはすぐに完了した。

フライトチケットと預かったIDを併せて一人ひとりに渡す。

 

荷物検査場を通り、出発ゲートへ。

 

フライトまではもう一時間ほどあるようで、皆で軽食を取ることにした。

 


[搭乗ゲートのすぐ近くの喫茶にて]

 

マルコに「飛行機内でも軽食が出るよ?」と伝えるが、彼女が「起きてから何も食べてないから。」と。

あー、だから不機嫌なのか。

 

彼女はその美しいボディラインから想像できないほど、よく食べる。

基礎代謝がとても高いためだろう。あるいは、全ての栄養が彼女の「お乳」へ行っているのかと思うほど、何処で消化しているのかと疑う。

とにかく頻繁にお腹を空かせるので、そのたびに彼女の機嫌には注意しなければ。

 

私たちはパスタやパンスナックなどを頼み、それぞれシェアしながらブランチを取った。

 

そして、搭乗アナウンスが流れ始めたところで、飛行機内へ。

 

私とマルコは隣。父、母、弟は私たちの後ろの席に三人横並びで座った。

 

マルコは飛行機に慣れているのか、さっそくイヤホンを耳に入れ、お気に入りの音楽を聞きながら窓の外を眺めていた。

 

フライトは遅延なく予定通りに出発。

 

飛行時間は一時間もせず、ミンダナオ島が見えてきた。

 

着陸もスムーズなものだった。

私とマルコ、彼女の家族は無事にダバオに到着した。

 


[ダバオ空港]

 

飛行機に搭乗口が接続され、乗客が慌ただしく頭上の荷物に手を伸ばす。

 

私たちは特に急いでいないため、周囲の様子が落ち着いたところで、飛行機を降りた。

 

滑走路に降り立つ。

確かに周囲の雰囲気はマニラを感じさせない。

自然豊かなミンダナオ島、ダバオだ!

 

初潜入だっ!

 

私「Welcome to DAVAO!(ようこそダバオへ!)」

 

皆のテンションを上げようと、声を掛ける。

 

マルコ「Shiii! Don’t be noisy.(しーっ! 騒がないで。)」

 

彼女は周囲の乗客の目を気にし、「黙れ」と私の横腹を抓る。

 

私「痛”っっ!」

 

マニラに住むプライド等があるのだろうか。変な日本人を連れていると思われたくなかったのか。

とにかく周囲に、私と関係者だと悟られるのが恥ずかしかったのだろう。

 

私「Oh, sorry sorry.(おっ、ごめん、ごめん。)」

私は瞬時にその空気を感知し、口を押さえる。

 

他の家族は私たちに関心がないようで、スタスタと荷物受取場へ向かっているようだった。

マルコも再度私を軽く睨み、一人で進んでいく。

 

えっ、そんな感じの旅なの? これ続く感じ?

 

私はやっぱりアウェーなのか。

 

この家族旅行、私の杞憂は杞憂に終わらなかった。

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

2 コメント

  1. ダバオ空港では、職員が社長〜どこですか?とカバンを引っ張ってタクシーに案内してくれた。
    タクシーの車内はCCD・車外ドラレコが付いて驚いた。
    一回行けば十分な街と感じた。

  2. Mr.Kさん、コメントありがとうございます。
    そうですね、ダバオは素朴なのんびりとした場所の印象でした。
    今年もよろしくお願いします。

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