[前回のあらすじ]
日本人のフィリピンパブで出会った女性と、マニラでディナーデートの約束をする。その日中はビジネスミーティングのためマカティへ向かう。
[前回記事]
【レンジブログ127】夜のデートに備えて日中はマカティでビジネス
[序章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ
[第一章第一話]
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ
[第二章第一話]
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る
[第三章第一話]
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。
レンジブログは第三章で完結しています。
それ以降のエピソードが「オノケンブログ」の内容になります。
[オノケンブログ第一話]
オノケンブログ第一話「転落と後悔」
また、レンジ個人のその後のエピソードは「外伝」という形で記述しています。
[外伝一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた
【レンジブログ128】ディナーにて超美人フィリピーナをホテルへ誘う
ーー夕刻、私はマラテ行きのGrabカーに乗った。
行きの昼間とは違い、ラッシュアワーで各所に渋滞が発生していた。
その間、フィリピーナたちからのメッセージに返信する。
KTVの女性は今ちょうど起きた頃。続々と挨拶メールが入ってくる。
さあ、今夜からは忙しいぞ。
まずはミカとのディナーデートがあるが、その後は展開次第。もし早々に解散したなら、今夜は可能なだけのKTVを巡らなければならない。
それぞれ女性たちには「今夜は行けるかも」と伝えてある。
時刻は午後6時。陽は落ちた。
タクシーに次々と横付けしてくるジプニー、その乗客の人口密度が上がり始める。分かりやすく言えば車体の後方の外側にしがみ付き始める。
私はこれから一度ホテルに戻って午後7時。ハーバービューレストランへは早くて7時半くらいになるだろうか。
ミカに「Let’s see at 7:30pm? (19:30でどう?)」とメッセージを送る。
もちろん、フィリピーナにはドタキャンが付きものであることを肝に銘じている。もしミカがそうなら、今夜その替わりの女性候補を押さえておかなければ。
ザリがその一番手だが、彼女は未だ今日の返信がない。昨晩は遅くまで客の対応をしているはずなので、まだ寝ているのだろう。そろそろ目を覚ます頃ではあるのだが。
一応、「ご飯行けなくもないよ」と無難なメッセージを打つ。
では、二番手は。
昨晩KTVのグランドヨーコで出会ったミユキである。
彼女には一週間マニラに滞在していることを伝えてある。この夜も彼女が出勤するようならば是非会いに行きたい。
ミカ、ザリが不都合な場合はミユキと時間を過ごしたい。店であっても彼女の顔が見られるのなら十分だ。
ミユキに「今マカティからマラテに向かっています。すごい渋滞」と、どちらに転んでも返答可能なメッセージを打っておく。
そして、他の女性たちには「お店に顔を出すのは、日付が変わる頃かな」と一通り知らせる。
この先どのような展開になるかは確定しないが、誰かしらと過ごし、意味のある時間を過ごしたい思いが強かった。
渋滞の中、ゆっくりと進むタクシーの中は忙しかった。
ーーホテルに到着する頃にミカから返信があった。
ミカ「Okay. I leave now. (わかった。今から出ます。)」
時刻は午後7時。マカティからは約一時間掛かった。交通量の多さのため予定より遅れている。
彼女はカルーカンから出て来るとしても30分は掛かるだろう。
私は見通しを立てた後、シャワーを浴びる。
そして、万が一に備えてホテル室内を簡単に片付けておく。
ゴム製の防具は部屋と持ち物にそれぞれ忍ばせた。
何が起きるか分からない。
『備えあれば憂い無し』
とは、おそらくこのような状況に置かれた男子の様が語源に違いない。
私は手首に薄く香水を落とし、部屋を出た。
[ホテル1階ロビー]
ーーホテルのドアマンに挨拶をする。
私は片手をポケット、もう片方で「行ってきます」と指二本を額に当てる。
その私の勇姿を男の友情目線で見送る彼。いつものやり取りだ。
ホテル前で白タクシーを捕まえて、ハーバービューレストランへ向かった。
マビニ通りからロハス大通りへ抜けるまでは大変な渋滞だった。歩けば数分の距離を車内で待つ。
そして、約束の時間を少し過ぎた頃、目的地に到着。
ちょうどタクシーを降りようとしたときにミカからの電話が鳴った。
ミカ「Hi, I’m in the restaurant now. Where are you? (今レストランに着きました。どこにいるの?)」
私「Me too. I’m getting out of a taxi. (私も。タクシーを降りるところです。)」
メータータクシーであったが、チップ込みで100ペソを渡した。ドライバーの笑顔が嬉しい。
レストランの入り口に立つ女性。
ミカの姿はすぐにわかった。彼女は私を確認し、手のスマホを鞄に仕舞う。
私が「Hi!」と声を掛けると一瞬笑顔を見せた。
[マニラのおすすめレストラン『ハーバービューレストラン Harbor View Restaurant』」
[アクセス]
このレストランの前ではいつも『デジャヴ』が起きる。
過去、同じように他の女性とディナーデートをしてきたレストランだ。訪れる頻度こそは高くないが、それぞれの女性と何度か来たことのある場所。
プライベート以外でもよく利用する。私のマニラ滞在、夜遊びには無くてはならない最高のレストランだ。
私「Let’s go? (中へ行く?)」
ミカ「Yes. (はい。)」
[レストランのエントランス]
彼女の服装は清楚なワンピースだった。ボディラインがハッキリと出るデザインだが、スカート丈は長く上品なイメージだった。
彼女のファッションは、マニラと日本ではまた違うようだ。もちろん、マニラの方も素敵だった。
どの男性から見ても美人だろう。昨夜出会ったミユキとはまた違う美しさだ。ミユキは親世代がハーフで、ミカの混血は祖父母世代と聞いた。
ミユキもスタイルの良さは女性が振り返るほどだ。入店時、私の鼻の穴はいつも以上に開いていた。
ーー私たちは席に着いた。
店内は混雑しておらず、桟橋上のテーブル席を選んだ。
[海上レストランからはマニラの夜景が見える]
私「Fist time here? Are you hungry? (ここは初めて? お腹空いた?)」
ミカ「Yes. (はい。)」
ミカに日本でも会って、マニラでも会う。
目の前の女性は同じ人物であるはずなのに違和感を感じる。
日本では普通に会話できていたつもりでも、このマニラだと緊張してしまう。彼女のホームグラウンドだからだろうか。
私は彼女からの薄いリアクションに困ってしまい、続きの会話がなかなか出てこなかった。
二人の思い出話と言えば、日本で焼肉に行った事と彼女の店での会話くらいしかない。
ボーイにメニューを渡され、何とか間が保つ。
ミカに「何食べる?」と言いながらメニューを見てもらう。
料理が運ばれてくるまで会話は少なかった。
私はチラチラと彼女を見てご機嫌を伺うことしかできなかった。彼女も時々スマホを触りながら、夜の海やマニラの街の光を眺めていた。
[店内ではシーフード以外に、和洋中メニューもある]
料理を食べ始めると、会話は少し弾んだ。
私はこの日の出来事をミカに話した。
昼前に起きてマカティに行き、仕事仲間とミーティングを行ったこと。その帰りはすごい渋滞でマラテまで一時間ほど掛かったこと。
ミカ「Yes. Today is Friday. So very traffic. (はい。今日は金曜日。だからすごい渋滞です。)」
私「Sometimes Japan is same. You know? (時々日本も同じです。知ってる?)」
ミカはようやく笑ってくれた。
彼女も同様に私を同一人物かどうか疑っていたのかもしれない。緊張していたのだ。
それからは時間の経つのが早く感じられた。ミカとのディナーデートをとても楽しんだ。
食事の後半では次回のデートで何処に行きたいか、母親にいつ会うかなど前向きな話も出来た。
そして、チェックの時間が近づくと再び緊張してくる。
このあとの事で頭がいっぱいになってくるのだ。
それを解決するには、シンプルに「Are you busy tonight?(今夜は忙しい?)」と聞けば良いだけ。
簡単な英語フレーズ。
しかし、いざ本人を前にするとそれを発するタイミングが難しい。
彼女の雰囲気からすると、断られる可能性の方が低そうなのだが。
なかなか言葉が出てこない。
この感覚は初めてではない。過去の女性にも同じ下りで緊張してきた。
ミカのことを改めてよく見ると、顔は純フィリピーナのようだが、とても整った顔立ちの美人。スタイルはミユキ同様、日本人の土俵で考えるととんでもない細巨乳。完璧だ、十分すぎる。
ケンさんに「この人、俺の彼女!」と紹介したい。彼はきっと「レンジさん、ミカを見た衝撃で尿漏れ起こしそうです!」と、大人用オシメをしてくれば良かったと後悔するはずだ。
何とか彼女を落としたい。
いきなり今日とは言わない。時間を掛ければ可能性はもっと広がる。
そんなに焦る必要はない。
しかし、男であればわずかな可能性でも賭けてみたいのである。
どんな人に対してももう二度と会えないかもしれないのだから。
「やっておけば良かった」後悔は絶対にしたくない。
[レストラン店内写真]
そして、この後の予定を尋ねる言葉が口に出来るのはいつも同じタイミング。
本来ならもっと早くに伝えるべきだろうが、私は超が付くほどの奥手なのである。
それは、ボーイがレシートと共にお釣りを持ってきた直後だった。
私「Are you busy tonight?」
私はブスだが声色だけ男前に変化させることができる。
それを聞いたミカは俯き、スマホを触っていた。
ミカ「Not busy. …Why? (いいえ。…何で?)」
女性に「何で?」と聞かれるのが一番辛い。
何でって、それは「男は女とワンチャンしたい」からに決まっているからでしょう。
女性はこちらの下心を全て分かっているのにそう聞いてくる。この時点で男性側は上手を取られているのである。
これについては返答の方法はいくつかある。器用な男性はまず店のジャンルを変えたり、クラブへ遊びに誘ったりするだろう。
私もその方がベターだと思う。
もちろん、女性との関係や一緒に過ごした時間がどれ程の密度かにも依る。
この時はミカから「何だか行けそうな気がする」雰囲気を感じたため、私はあえて直球勝負に挑んだ。
私「If you’re okay, do you come my room? (もし良かったら、部屋に来ますか?)」
彼女は微笑んだまま無言だった。
私「I just wanna talk with you more. I wanna know about you more.(もっとお話がしたい。あなたをもっと知りたい。)」
一球一球がミットに吸い込まれるまでこんなに時間を感じるものだろうか。
私「I wanna stay with you more long time now. (今夜、あなたともっと一緒に居たいです。)」
これでもか。
私「I really like you, Mika. (あなたのことが本当に好きです、ミカ。)」
ツーアウト満塁、フルカウント。追い込んでも三球連続でライトスタンドへ特大ファールを打ち込まれ、四球目も全く同じコースのストレートを選んだバッテリーの気分だった。
私としては最善を選択したつもり。
もしこれで散れば、また次の花打席で会いましょう。
しょうがない。人生終わる訳ではない。
私の思考とこの現状、彼女の態度全てを考慮した結果に選択した直球勝負。
そんな覚悟で聞いてみた。
そして、彼女の返答は…
ミカ「…Yes. (…はい。)」
『ストライク、バッターアウト、ゲームセット!』
来たっ!
久しぶりに来たっ!
みんな人差し指を立ててマウンドに集まってくれ、勝ったぞ。メダルを賭けた闘いに勝利した気分だった。
心の中、日の丸掲揚と共に国歌斉唱が聞こえてくる。
皆さん、ご起立ください。
『こぉけぇのぅおぉぉぉ むぅうぅすぅうぅまぁあぁあぁでぇぇ』
ーーこの後、ホテルに向かうのだが、このときはまさかミカの方が饒舌になっていくとは想像もしなかった。
私が日本で踏んだ時限爆弾は確実に時を刻んでいた。
しかも今回は今までにないタイプの爆弾だった。
引っ張るなー…レンジさん早く!
とくめいさん、コメントありがとうございます。
そう言って頂けることが何よりも嬉しいです。ありがとうございます!