[レンジブログ 前回のあらすじ]
フィリピーナ彼女との深夜の合流。別の女性をホテル室内に残したまま、新たな韓国焼肉店へ。
[前回の記事]
【レンジブログ94】フィリピーナの彼女と明け方の韓国焼肉店へ。
クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。
レンジブログを始め(序章)から読んで頂けると幸いですm(__)m
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ
レンジブログ第一章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ
レンジブログ第二章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る
レンジブログ第三章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。
また、オノケン(現在の話)とレンジ(過去の話)のブログは交互にストーリー展開します。登場人物も共通する人が出てくるので、始めから読んで頂けるとより記事の内容が分かりやすいと思います。オノケンブログもチェックしていただければ幸いですm(__)m
【レンジブログ95】フィリピーナの彼女宅へ。彼女の部屋に初めて入る。
マリーが私の手を引っ張り、二人で車を降りる。
朝方の7時頃。
陽はまだビルに隠れているが、外は完全に明るかった。
[マリーが当時住んでいたコンドミニアムの外観写真]
そして、私達を降ろした黒いSUVは、小さくクラクションを鳴らして去って行った。
マリー「Range!」(レンジ!)
私「Yes!」(はいっ!)
彼女はまた不機嫌な様子、私はこの後の展開が全く読めなかった。
マリー「Stay my room!」(私の部屋に泊まれ!)
えっ…
マリー「… Okay?」(… いいか?)
彼女の頬は未だほんのり赤かった。
しかし、その「Okay?」が、それはもう可愛いく愛おしかった。
マリー、どれだけ乙女で心細そうな表情をするのだ。
それは今まで彼女が絶対に見せたことのないもの。あのいつも強気で悪の権化のような存在とはかけ離れたものだった。
彼女の態度の急変ぶりに、私は喜びよりも動揺の方が遥かに大きかった。
私「O, O, O, Okkke, Okke, Oo, Okay!」
後にも先にも「オーケー」でこんなにも噛んだことはない。
するとマリーは再び不機嫌そうな表情に戻り、小さく舌打ちをする。オドオドした私に嫌気を感じたのだろうか。
彼女は「こっちだ!」と言い、高層コンドミニアムの中へ入っていく。
「はいっ!」 と私は彼女に遅れないよう、後ろを付いて行く。
そして、エレベーターの前へ。8基もあった。
朝の時間帯、エレベーターを出て行く人々、それを待つ人々で大混雑していた。
しかも、故障のためか半分程しか稼働してない様だった。
私達は10分ほど待ってようやく乗りこめた。
昇りの基内も大混雑。中は空調が全く効いておらず、マニラの蒸し暑さと人の熱気で満ちていた。
エレベーターは各階に止まり、階ごとの遷移時間は異様に長く感じた。
天井のスピーカーから陽気なBGMが流れる中、上層階へ向かうまで、人の出入りと満員状態が続く。
マリーの住む階へはエレベーターに乗ってから、さらに10分ほど掛かっただろうか。
マニラは交通渋滞同様に建物内でも全てが遅い。
二人でエレベーターを降りた時には、私は汗でビシャビシャになっていた。
[住居階層のフロアー写真]
フロアーはとても広く、一見小綺麗な印象だった。
マリーはすたすたと自宅に向かって真っ直ぐ歩き始める。
通路は碁盤の目のように入り組んでおり、同じような光景が続く。マリーが居なければ即迷い子になれそうだった。
そして、廊下の外から臨むこの建物の影。
私にとっては、強烈なショックを感じる絵だった。
今まで見たことのない異様な空間が広がっていた。
[廊下の外の写真]
ビル群を鉄筋コンクリートの梁で繋ぎ、地面は遥か下。陽の当たらないベランダには洗濯物が干されていた。
巨大な建築物の中に多数の人類を住まわしている。
「惑星のコロニー」
私は、マリーの住んでいる環境を見てそう感じ、何故かとても寂しくなった。
このようなところに住んでいたのか…。
私は彼女の事を未だ何も知らなくて申し訳ないと思った。
マリー「Here.」(ここ。)
彼女が止まったのは、フロアーを少し歩いたところだった。
ドアの上にはホテルの様に四桁の部屋番号が掲げられていた。
マリー「Just a minute.」(ちょっと待て。)
彼女は扉を鍵で開け、中に入って行った。
私はその場で待つ。
そして、5分ほど待つと、扉が開いた。
「Come in.」「入って。」
小さく、か細い声が聞こえた。女性のようだが、マリーのものではなかった。
扉を開けたのは、謎の人物だった。
「謎」と言うのは、表現が難しいからである。
その人は、明らかに男性だった。小太りで小柄なフィリピン人男性、二十代を過ぎたくらいだろうか。メガネを掛け、顔立ちは比較的はっきりとしていた。
しかし、彼の髪は肩まで伸び、女性用の服と、不自然に大きなブラジャーを着用していた。
オッ、オーケー、オーケー。
ここはマリーの自宅だ。ルームメイトが居るとは聞いていた。
家主が彼女なら、ここはお化け屋敷以上の可能性がある。
何が出てきても動じるな。私は再度覚悟を決める。
私「Nice to meet you. I’m Range.」(初めまして。レンジです。)
私は部屋に入り、彼に挨拶をする。
しかし、たいした反応はない。彼は私と目を合わす事なく、口元だけが笑っていた。
そして、私達が挨拶をしていると、室内の奥の扉からマリーが現れた。
彼女は「この人はメイド」と言う。
メッ、メイド?
メイドと言えば、可憐なフィリピーナかおばちゃんがデフォルトだと想像するが、この不気味な青年がメイドとは。
それと、出来ればもう少し彼について情報が欲しいのだが。
マリーはそのメイドと会話しながら、何かの指示を出していた。
そして、私の手を引っ張る。
マリー「Sit here.」(ここに座れ)
私は彼女に促され、入り口近くの大きなソファセットに座る。
彼女は「部屋を片付けるから、ちょっと待って。」と言い、室内の階段を上がって行った。
そうか、各階層は二階建てで構成されているから、エレベーターの階遷移が遅かったのだ。
私は落ち着いてきた汗を、着ているTシャツの腹部分で拭い、今一度部屋を見渡す。
どうやら一階は、階段と八畳ほどの空間だった。
室内は薄暗く、向かいのテレビの液晶が光っている。
ソファセットの他にキッチンとテーブルがあるLDKだ。
キッチンでは、メイドの彼がお湯を沸かしているようだった。何か飲み物を準備してくれているのだろう。
[マリー宅のキッチンイメージ写真]
また、キッチンとリビングの間には扉が確認出来る。おそらくトイレかバスルームがあり、マリーはそこから出て来たのだ。
私はアニメが写っているテレビを見ながら、マリーを待つ。
数分後、メイドが両手にマグカップを持ち、その片方を私に渡してくれる。
「ありがとう」と言うと、彼は小さく甲高い声で「Welcome」と言った。
しかし、やはり目は合わせてくれない。
私は湯気の立つ飲み物をすする。
熱っ!
そして、激甘。香りはコーヒーだが、ほぼミロの様な味だった。
メイドもカップをすすりながらソファに腰を下ろし、テレビを見始めた。
位置的に彼は、私の前方。
テレビに集中する姿を後ろから観察する。
このアニメは、彼の趣味なのだろうか。
どうやら彼には、大好きなキャラクターがあるらしく、頻繁に「キャッ!」と小さな歓声を上げる。
直後、ひどく興奮するのか、頭を強く掻きむしる。頭皮が取れるぞ、と心配するほどだ。
落ち着いた後、また同じキャラクターが現れると「キャッ!」と言い、頭を強く掻きむしる。
このままでは、アニメが終わる頃には髪が無くなるぞ…
私はメイドの様子が気になりまくり、注視してしまっていた。
マリーを待つ間、一階で不思議な時間が流れる。
[マリー宅のダイニングイメージ写真]
そして10分程待っていると、二階から、
「レンジ…」と小さく呼ぶマリーの声がした。
私はコップをキッチンの流しに置き、メイドに感謝を伝える。
その時、足が竦むほどの違和感を感じた。
テレビを見ていると思っていた彼の目は、開いてなかった。
彼はキャラクターの「声」に興奮し、頭を掻きむしっていたのだ。
…怖すぎる。
私は一応彼に会釈しながら、前を横切り、階段へ向かった。
階段は五段ほど上がると踊り場、そこから90度曲がっており、また数段。そして、その先に扉がコの字の配置で三つあるのが確認できた。
えっ、どの扉?
私はとりあえず二階フロアーまで上がる。
左手と中央の扉は閉まっており、右手の扉だけが少し開いていた。
隙間から室内をそっと覗く。
『ブッ!』
静寂の中に下品な音が響く。
私はあまりにも衝撃的な光景を目にしたため、屁を我慢出来なかったのだ。
中には、一つのシングルベッドに青年二人がほぼ裸で抱き合って眠っていた。
うち一人は細身の青年、もう一人はかなり大柄の青年のようだった。
[ベッドイメージ写真]
私は彼らの状態を見て、しばらく凍りついていた。
そして、自身の屁が次第に匂ってきたところで、我に戻った。
よーし、よし、よし。こんなこともあるだろう。
では、扉の閉まっている二つの部屋、どっちだ?
二択の解を考えていると、中央の扉がそっと開く。マリーだ。
マリー「Here.」(こっち。)
かろうじて聞き取れる声。
瞬間、彼女は眉を曲げ、驚いた様子で鼻をつまむ。
私を睨む目は「兵器並みの屁をするんじゃねぇ!」と怒りで満ちていた。
私「Sorry.」(ごめん。)
小声だが、命乞いに等しい思いを込める。
私はそっと彼女の部屋に中に入る。
女性の良い匂いがする。ここがマリーの部屋か。
スペースは四畳ほど。シングルベッドと鏡台が置かれ、壁には備え付けのクローゼットがあった。
特に、鏡台の大きな鏡が目を引く。そして、その元には多くのコスメや日用品が並べられており、それらの中央奥にはキリストの像が立っていた。
鏡台の横には姿見も置かれていた。マリーが美を強く意識している事がうかがい知れる。
マリー「Sit.」(座って)
私はベッドに腰を掛ける。マリーはクローゼットから着替えを出していた。
普段は、代表戦前の国歌がどうのこうの言っている私だが、この時はまず彼女に聞きたい事があり過ぎて、それどころではなかった。
まず気になっていること、ルームメイト達についてだ。
私「Who are they?」(誰なの?)
彼女の説明によると、先ほど寝ていた青年二人はマリーの実弟とその彼氏。
そして、もう一方の部屋には友達のフィリピーナが一人で寝ているとのこと。おそらく私が初めてマリーと出会った時に同伴していた人だ。
[参考記事]
【レンジブログ32】プライベートで、フィリピン超絶美女二人との出会い
とにかく、皆寝ているから静かにしろと。壁も薄いから物音も極力立てるなと注意される。
御意。
メイドについても聞きたかったが、ヒソヒソ話が長引くことも嫌そうな彼女の様子を見て断念した。
そして、マリーは「シャワーを浴びて来るから、ベッドで寝ておけ。」と言う。
着替えを持ち、彼女は部屋を出て行った。
私はベッドに腰を掛けたまま、しばらく部屋の中を観察しながら、彼女の戻りを待った。
[次回あらすじ]
レンジ、代表戦にてようやく初ゴールか。それとホテルに残したアケミのことはどうするのか。
彼女は派手な生活をしていると勝手に想像しましたがこれは意外でした。
匿名さん、コメントありがとうございます。
そうですね、3LDKくらいをルームシェアすることは現地では一般的なようです。