[レンジブログ 前回のあらすじ]
フィリピーナのアケミが部屋に来る。レンジと二人で飲んでいたところ、フィリピーナ本命彼女から呼び出しがあり、慌てて彼女の元へ。
[前回の記事]
【レンジブログ93】フィリピーナとホテルで部屋飲み。女性関係を疑われる。
クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。
レンジブログを始め(序章)から読んで頂けると幸いですm(__)m
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ
レンジブログ第一章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ
レンジブログ第二章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る
レンジブログ第三章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。
また、オノケン(現在の話)とレンジ(過去の話)のブログは交互にストーリー展開します。登場人物も共通する人が出てくるので、始めから読んで頂けるとより記事の内容が分かりやすいと思います。オノケンブログもチェックしていただければ幸いですm(__)m
【レンジブログ94】フィリピーナの彼女と明け方の韓国焼肉店へ。
私は後部のドアを開け、車に乗り込む。
私「I’m so sorry to be late.」(遅くなってごめん。)
隣のマリーは前を向いたまま無言だった。
車はゆっくりとマビニ通りを北上し始める。
車内には、私達と運転席に友人フィリピーナ。私は不気味な居心地を感じていた。
車の流れが止まると、静かな空間にマリーの舌打ちだけが聞こえる。
それは、前の渋滞に向けたもの? それとも私に?
[マニラ中心部では深夜でも渋滞が頻繁に発生]
私は今夜殺されるのかもしれない。
一体誰にかは分からない。張り詰めた空気、緊迫した後部座席。私は最悪のケースを意識した。
ホテルで待つアケミに、私が戻らなかった場合について話しておけば良かった。
隙を見て、後でメッセージを送ることが出来れば良いが。
私(心の中)「Where we going?」(何処に向かっているの?)
と、聞きたい。猛烈に聞きたいが、マリーの横顔が怖すぎて聞けない。
沈黙の車内。
まだマラテエルミタエリアだが、向かう先には注意した方が良いかもしれない。
すると、車は右左折を繰り返し、右手にはマニラ湾が見えてきた。ロハス通りを南下し始めた。
見慣れた通りに出て少し安心する。
そして、15分ほど進んだところで、車は止まった。
確かこの辺りは、モールオブアジアが近いはず。
外には建設途中のビル群が見える。昼間は何とも思わない光景も、闇夜の中では廃墟のようで気味が悪い。まだ開発中のエリアのようだ。
運転手のフィリピーナが先に降りる。
マリーが「降りろ!」と、私を押す。
ひぃっ!
私は従うしかなかった。
車を降りると目の前は新しいビル。
その一階に何軒かの飲食店が並んでいた。
マリーとその友人から、殺気は感じられない。良かった。私は命まで取られる事はなさそうだ。
いや、飯を食わせて太らせてから喰うのかもしれない。油断はしない方が良い。
二人が先に一軒のレストランへ入って行く。その後を私は警戒しながら付いて行く。
[レストラン店内写真]
新規開店したばかりの韓国焼肉レストランのようだ。
…どんだけ好きやねん。
入って奥手の席へ。
マリーは私の隣、友達は向かい側、三人で座る。
まだテーブルの上に会話は無い。
私は、「電話が切れ、返信も遅れて本当にごめんなさい!」と再度謝った。
マリーは無言。
私は、謝罪とともに以下の様な言い訳を考え付いた。
マリーと電話中、携帯のバッテリーが突然切れたため、電話が切れた。チャージャーを探したがすぐには見つからず、ホテルのWiFiも繋がらなかった。部屋は少し奥まったところに位置していたため、キャリアのデータ通信も不能だった。
ホテルのエントランスに出るとホテルのWiFiもデータ通信も可能になったため、そこでようやくマリーと連絡が付いた。
うむ。
我ながらナイスである。
本当はアケミと部屋でドタバタがあった事など、もし彼女に知られようものなら、私はケツから丸太を刺され、人間バーベキューとして焼かれるしかない。
私は考え付いた言い訳を丁寧にゆっくりと説明した。
フィリピーナは、相手の事情を一番に知りたがる。お互い外国人と言う場合は尚更だ。
返信が遅いなど、なぜそうなったのかその経緯を細かく説明する事で、理由にもよるが、結局は許してくれるのである。
これについてはマリーも例外ではなかった。
彼女は少し不満そうな表情を見せたものの、私の話を聞いて、「Okay I see.」と言ってくれた。
この夜初めて、彼女の生の声を聞いた。
ふーっ、良かった。
そして、テーブル上の緊張感が一気に解れる。マリーと友達に笑顔が戻った。
私もブスな笑顔で「さぁ、オーダーしましょう!」と、ようやく暖気になった雰囲気を冷まさないよう努める。
彼女達もここは初めての様で、最近オープンした事を知り、是非来てみたかったレストランだと言う。
私(心の中)「いやー、結局は韓国風焼肉店ですけどね。あなた達はマニラ中の店舗を全て制覇する気ですか。」
そんな事は口が裂けて顔面が落ちたとしても言えないが。
そして、オーダーし、運ばれて来たお肉達と付け合わせ。いつも見慣れた光景だ。
スタッフが手早くお肉を焼いて行く。
[韓国焼肉店では、卓上でスタッフが焼いてくれる。]
その間に乾杯。友達は運転があるためホットティーを、私達は韓国焼酎のショットでグラスを合わせる。
あー、今宵も酔っ払って、腹一杯になって終わって行くのか。いつものループだ。
…いやっ! アケミ!
彼女は今一人で私のホテルの部屋にいる。
何をしているのだろう。急に物凄く不安になって来た。
彼女を信頼していないわけでは無い。ただ、今の私は無防備の極地。奪おうと思えば自由だ。
一応、パスポートと本財布はセキュリティBoxの中、スーツケースは施錠してある。
彼女がスーツケースごと窃盗するとは考え難いが、可能性はある。
アケミ、どうか大人しく寝ていてくれ。私は今、ラスボスの様な女性に集中しなければならないのだ。
隙を見て、スマホをチェックしたいが、隣のマリーの機嫌を損ねる事が何よりも怖い。
慎重に、今はただ下僕の如く振舞わなければ。
私にとっては未だ緊張感のあるテーブルだった。
そして、早くホテルに帰りたい私の思いとは逆に、この夜はマリーも友人も勢い付いて大いに盛り上がってしまっていた。
レストランに入り、二時間ほど。時刻はもう午前5時を迎えようとしていた。
マリーと私は、三本目の韓国焼酎を煽り、彼女は友達とタガログ語の連打で何かについて爆笑していた。
[韓国焼酎、度数は10度ほどで飲みやすいが、調子に乗っていると死に目を見る。]
私は疲れと眠気と酔いとで、そろそろ白目を剥きつつあった。
マリーはそんな私のクビを掴み、「レンジ、寝てんじゃねぇぞ、ほら飲め水だ!」と、新たな韓国焼酎をボトルごと私に向ける。
黒目を必死に取り戻した私は、グラスを手にする。
マリー「Haah!? You can’t use that. Come on, Range! Here we go!!」(はーっ!? グラスじゃねぇだろ。行くぜっ、レンジ! ボトルごとだろっ!!)
こんなに恐ろしい「ヒアウィーゴー」を聞いた事があるだろうか。
私は「Of course!」(行くぜっ!)と言い、ボトルを受け取り、口を付ける。
そして、何口か飲んだフリをして、吐きそうなアクションをしながら、ボトルを置く。
念のため追加で「ゲホッ、ゲホッ」と咳払いをしておく。
マリーは私の様子を見ながら、「You’re so funny! (レンジ、超ウケるぅ!)」とケタケタ笑っていた。
もう彼女は悪魔を通り越して逆に天使なのかもしれない。私を死へと誘なう存在として。
私は、親指を立て、まだまだ逝けるぜっと返す。
そして、狂気の酒宴はもう一時間ほど続き、レストランを出たのは午前6時。
空は朝焼け前、薄暗い時間帯だった。
私はまだ酔いをセーブ出来ていたが、疲れは限界。マリーは頬を赤く染めており、完全に酔っ払いのようだった。
二人で肩を組み、検討を称え合う。
よっし。皆さん、お疲れ様でした、今宵はお開きとしましょう!
三人で車に乗り込み、マラテへ戻る。
車内では再び無言。皆、朝方のため眠気が襲っているのだろう。
マリーは俯向き、呼吸を整えていた。
私は彼女の肩を抱き寄せ、頭を撫でる。
マリー「No!」(止めろ!)
彼女は私から身を離れ、一人で落ち着かせろと言う。おそらくリミット越え、飲み過ぎたのだ。
私は彼女をこれ以上刺激しないようにした。
そして、今がチャンス。私は隙を見て、スマホをチェックする。
アケミからメッセージが入っていた。
アケミ「Good night!」(おやすみ!)
送信されたのは、私が部屋を出て行って30分ほど経った時間帯。
これは部屋で寝ている可能性が高い。よしっ。
私は、「遅くなってごめん、もうすぐ戻ります。」と返信する。
この後、ホテルに戻って、ベッドで添い寝か。起きた後は展開次第だが、とにかく、今はもう一刻も早く休みたい。
静かになったマリーの横で、私も目を閉じる。眠い。
朝方、車はスムーズに進み、マラテに戻ってきた。
そして、車は先にマリーの住むコンドミニアム前で止まった。
彼女は多少酔いが落ち着いたのか、前の友達に「運転ありがとう。」と伝えていた。
私は「この後、ホテルにお願い出来ますか。」と伝えたく、彼女らの会話が終わるのを待つ。
すると突然、マリーが私の手を引っ張る。
マリー「We’re here.」(ここで降りろ。)
何っ!?
首がモゲるほどの振り向き速度。
私は全てに戸惑う。
もちろん、彼女に逆らえない。
[次回あらすじ]
マリーの家に初めて入るレンジ。彼女の思考回路が全く理解出来ないまま、彼女の部屋へ。
部屋で待たせて別の人と合う。。
とてもスリリングな展開ですね~
アケミさんへのフォローも気になりますが代表ゴールとなるのかも楽しみです。
しゅんたろさん、コメントありがとうございます。
そうですね、この夜は生きた心地がしなかったです。
笑って頂ければ幸いです!