[前回のあらすじ]

フィリピーナ彼女とその家族と共に、フィリピン ダバオ旅行へ。最終日の前夜、彼女について彼女の父親と二人で話し込む。彼女の生い立ちから、彼女が何を考えているのかヒントをもらう。

【レンジブログ117】フィリピーナ彼女の父親が、その娘を本音で語る

 

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

[レンジブログ第一章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

[レンジ外伝第一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた

 

 

 

【レンジブログ118】ダバオのマーケットで、ポメロとマンゴーを購入

 

 

ダバオ旅行最終日の朝。

 

私が眠りから覚めると、父親がキッチンに立っていた。

 

父親「Good morning. (おはよう。)」

 

パチパチと油の揚がる音、カンカンと鍋をオタマが叩く音が心地良かった。

例のフニャチンウィンナーを焼き、フライドエッグを作っているのだろう。

 


[部屋のキッチンスペース]

 

私「Good mornig. (おはようございます。)」

 

私はバスルームに行き、顔を洗う。

鏡に映る自分。

髪が爆発している。寝癖も直さなければ。

そして、フィリピン人は歯が大切。私もゴシゴシと強めに磨く。

 

その間に母親がベッドルームから出て来た。

 

母親「Good morning. (おはよう。)」

彼女と挨拶しながら、口を濯ぐ。

 

バスルームを出ると、ベッドルームのドアが開いており、奥にはもう起きているマルコの姿が見えた。

 

私が「おはよう。」と声を掛けるが、無視をされた。

聞こえなかったのだろうか。

 


[ベッドルーム]

 

彼女は目を擦り、眠そうな様子。

そして、機嫌が治っているようには見えなかった。

 

昨夜、私達の車が事故に会いかけた時、彼女は今までで最も厳しい表情を見せた。

もしかしたら、そのせいで私は振られるのかもしれない。それほど彼女にとっては大きな出来事。

その不安がどうしても頭を過ぎる。

 

私は簡単に身支度をして、テーブルに着く。

マルコと弟も未だ寝巻のままだが部屋を出てきた。

 

彼女は私とは目を合わしてくれない。

 

旅行最終日の朝、私達は皆で揃って朝食を取り始めた。

 

室内の音は、それぞれのフォークが皿を触るものだけだった。

とても静かな卓上だった。

 

それにしても今は旅行中。少しでも明るい雰囲気に変えようと、私は皆に話しかけた。

私「Where do you wanna go today? (今日は何処へ行きたいですか?)」

 

この日の予定は、フィリピンのドゥテルテ大統領の自宅へ行こうと話していた。その確認も含めて、食卓での話題を振った。

 

父親「Yeah. And we wanna buy some souvenirs for my other family, relatives. (そうだな。あと、他の家族や親戚にお土産を買いたい。)」

 

彼はこの朝食の後に、母親と一緒に私とマーケットへ行きたいと言う。

 

私「I see. So when we go to market? (わかりました。では、いつマーケットに行きますか?)」

父親「After this. Befor check out here. Okay? (朝食後だな。チェックアウトの前で。いいか?)」

 

その間、マルコと弟は部屋で外出準備をしてもらおうとのこと。

彼女の身支度には一時間はかかる。ちょうど良い時間だろう。

 

私「I see. And could you do me a favor?(わかりました。あと、お願いを聞いてもらえますか?)」

 

そして、私は旅行最終日ということもあって、一つだけ申し出たいことがあった。

 

家族が「何だ?」と、急に黙る。

私が改まって「お願い」する事は初めてだった。

 

私「I wanna introduce a key person in my life later. (後で、私のとても大切な人を紹介したいのですが。)」

 

田原さんのことだ。

 

私は正直に話した。

彼が偶然にも、今日の午後に仕事でダバオに入る事。

彼は私の人生の師であり、父親のように慕っている事。実際、私の実父が他界してからは、彼にその姿を重ねていたかもしれない。

友人、仕事仲間という関係はとうに越え、家族以上に大切な存在であること。

今回、マルコが彼女の家族、特に父親を紹介してくれたので、同じく私はその存在に等しい人を紹介したいこと。

全て、私が考えていることをそのまま伝えた。

 

私「He is the most important in my life, especially in Phillipines. (彼は私の人生で最も大切な人です、特にフィリピンでは。)」

 

彼と出会わなければ、私がフィリピンへ来ることはなかった。

 

私「Without him, I would not meet Marco. (彼がいなければ、私はマルコと出会えなかったと思います。)」

 

マルコは、パーリーとは面識がある。彼女らは、私と一緒に仕事をした仲だ。私とマルコの出会いは三人一緒だったその場面だ。

そして以前、私がマニラで仕事を始める経緯を、マルコに話した事がある。きっかけは田原さんだと。今まで彼に会わせる機会は無かったが、彼の存在には度々触れていた。

今話題に出ている人が誰なのか、マルコはわかっているはず。

 

私「So, I wanna introduce him. I want you to meet him. (なので、彼を紹介したいです。会ってほしいです。)」

 

私の大切な人を紹介することが、マルコが家族に会わせてくれたことへの、一つの誠意を表現する方法だと思った。

 

私「But, of course, it’s okay if we have time to see him today. I know we’ll go to President’s house later. (でも、もちろん、今日時間があればで大丈夫です。後ほど大統領の自宅に行くでしょう。)」

 

父親「No no. It’s not important for us to visit the house. (いや、いや。大統領の家なんて、私達にはそこまで重要じゃないよ。)」

 

母親「Yeah, we wanna see him. (そうよ、彼に会ってみたいわ。)」

 

母親は「レンジが優先よ。」と言ってくれる。

 

 

しかし、マルコはずっと黙っていた。

 

 


[旅行中は天候に恵まれた。]

 

とりあえず、この後はまずマーケットへ買い物に行こうとなり、朝食は落ち着いた。

 

私は一人キッチンに残り、シンクで食器を洗う。

その間に母親は外出の準備を終え、父親は弟に「ちょっと待っててくれ。」と言いながら着替えを手伝っていた。

 

キッチンが片付いたところで、両親の準備も整ったようだ。

私達は車に乗り込み、近くの「アグダオマーケット」へ向かった。

 

月曜日の朝、皆出勤へ向かうのだろうか。道路は混雑していた。

 

20分ほどかけて、マーケットに到着。

マーケットは夜の様子と比べると、午前中と言うこともあり人通りは少なく静かだった。

 


[アグダオパブリックマーケット]

 

父親「I’ll look for cardboard box. (段ボールを探してくる。)」

彼はそう言うと、私と母親を残し何処かへ消えて行った。

 

車を降り、母親とともに付近の散策へ。

どうやらお土産としては、フルーツを買いたいらしい。

 

目的は、「ポメロ」と「マンゴー」とのこと。

どちらも、マニラでも手に入るフルーツだが、フィリピンではダバオ産のフルーツは有名で、「高級ブランド」のような産地になる。

 


[マーケットには、マンゴーなど多くのフルーツが並べられていた。]

 

私は、フルーツでカロリーを摂取するならば、それは炭水化物で補いたいと考える人種である。そのためフルーツを普段から全く食べないので、あまり関心はなかった。

 

私が「ドリアンは?」と尋ねると、母親は「あれは臭いから。美味しいけどね。」と、お土産には適さないと説明する。

 

そして、何処からか段ボールを持った父親が現れ、再び合流。

 

付近の売り場をそれぞれ見ながら、両親はあれでもないこれでもないと探していく。

私は写真を取りながら後をついていった。

 

それぞれの店舗では味見が可能なようで、気は進まなかったが私も頂いた。

確かに、マニラのKTVで出されるフルーツよりは、濃い味で甘く美味しいと感じた。

 

そして、彼らはようやく納得のいくフルーツを見つけたようで、段ボール二個分ほど買い込んでいた。

 

特に「ポメロ」はフィリピンでは高級フルールだと言う。実がピンク色の大きなハッサクのようなフルーツだが、試食で頂くと、とても甘くて驚いた。

 


[ダバオ産ポメロ、おすすめフルーツ]

 

とりあえず、このマーケットでの買い物は終わり、今度は「ドライフルーツ」を探したいと言う。

 

父親が「ここのマーケットに行ってくれ。」と、スマホのマップを見せてきた。

『マグサイサイフルーツスタンド Magsaysay Fruit Vendors Association』

と言う場所だった。

 

[マグサイサイフルーツスタンド アクセス]

 

このアグダオマーケットから歩いて行ける距離のようだったが、私達は車に乗り、そこへ向かった。

 

ここは、店舗が道路に面して並んでいるようなマーケットだった。日本で言うところの「道の駅」を思い出す。

 

両親は「すぐ買ってくるから」と言い、車を降りて行った。

 

私は彼らの買い物をする様子を車から眺めて待つ。

 




 

すると、ドア越しに一人のフィリピン人青年が私に話しかけてきた。

手には、プラスチックケースに入ったアクセサリー類を持っており、「買わないか?」と言う。

 

ここは観光客がよく立ち寄る場所のようで、この奥にNBIダバオ(無犯罪証明書等を発行する役所)、レストランや公園があるようだった。

 

私は少し彼に興味が出てきたので、「ちょっと見せて」と窓を開ける。

販売しているのは、地元で取れた貝や真珠をあしらったアクセサリーとのこと。

ピアスやネックレス、指輪などがあった。

 

青年「Beautiful, Real, for your girlfriend.(綺麗、本物、彼女にどうぞ。)」

 

私「How much this earring? (このピアスはいくら?)」

 

私は、小さな真珠をあしらったピアスが気になった。

これくらいならマルコの邪魔にならないだろうと思い、このダバオ旅行の思い出の品として彼女にプレゼントすることを思いついた。

 

青年「3,000peso. (ブタに真珠)」

 

ぶふぇっ!

誰が、ブタやねん!

本物ならまだしも、その値段はさすがに盛り過ぎだろう。

 

私が「全く話にならない。」と、窓を閉める。

しかし彼は、「お腹が空いているから」、「何とか買ってくれ」と言う。しばらく、しつこく窓をノックされた。

 

その内に、彼が提示する金額がみるみる下がって行き、

 

青年「100peso, please! (100ペソで、お願い!)」

 

さすがに可愛そうに思えた私は窓を開け、そのピアスを購入した。

 

マルコへの簡単なお土産として、その気持ち、形だけだ。無いよりは良いだろう。

小さな紙袋に入れられたピアスを手にし、私は満足していた。

 

そして、両親が車に戻ってきたところで、そのマーケットを後にした。

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

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