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[前回のあらすじ]

フィリピーナ彼女とその家族と共に、フィリピン ダバオ旅行へ。三日目の夜、彼女と二人でマーケットへドライブ。その後、レンジの不注意から危うく大事故に。彼女は大きなショックを受け、滞在ホテルに戻る。

【レンジブログ116】ダバオ旅行、フィリピーナ彼女と夜のドライブ

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

[レンジブログ第一章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

[レンジ外伝第一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた

 

 

 

【レンジブログ117】フィリピーナ彼女の父親が、その娘を本音で語る

 

 

ホテルに着くまで、マルコはずっと顔を手で覆っていた。

 

途中、何度か鼻を啜る音がした。

泣いているのだろう。

いや、もしかして風邪気味なのかもしれない。私は車内のエアコンの温度を上げた。

 

しかし、彼女の啜る音は続いた。

 

本当に申し訳ない。

ただ、故意ではない。

私は決して無謀な運転をしていたのではなく、確認の方向を間違えただけなのだ。

少しでも、「外国で運転する」という不利な条件を加味してほしいのだが。

 

それを正しく伝える言葉がとっさに出て来ない。下手に呟けば、彼女を逆なでるかもしれない。

 

沈黙のままホテルに到着。

 

車を留めると、彼女はすぐに車を降り、ドアを強く叩き締める。

大股で歩き、部屋へ入って行く。

これは相当怒っている。彼女のここまでの態度は今まで見たことがなかった。

 

私はそれをただ見届けるしかできなかった。

一応、車が無事かどうか確認する。トラックを避ける際に擦ったかもしれない。それほどあの瞬間は際どかった。

駐車場の光が少ない中、手で触りながら傷を探す。

幸いリアバンパーは無傷だった。

 

ただそれは慰めにもならない。

私は肩を落としたまま、部屋へ入る。

 

リビングにマルコの姿はなかった。すぐベッドルームに閉じこもったのだろう。

 

はーっ、何でこう上手く行かないのか。いつもブスな結果に終始する。

私なりに、彼女に対していつも全力、努力しているつもりなのだが。少しのミスで全くのマイナスに戻ってしまう。

 


[部屋のリビングルーム]

 

まだ起きていた父親は、半目でTVを見ていた。

 

私にようやく気付き、目が合う。

 

父親「Range, you’ve had a tough day. You did a good job, haha. (レンジ、大変だったな。お疲れ様、はは。)」

 

 

私の顔を見て笑う。

 

慰めないでくれ。

優しい言葉を聞くと泣いてしまうではないか。

 

私は親指を立て、ブスな笑顔で返事をした。

 

そして、彼の義足が目に入る。

 

この家族が過去どんなに辛い思いをしたのか。

 

一番苦しいのは本人だろう。

 

片足と共に、人生を失うほどの出来事だったはず。

 

なのに、なぜそんなに明るいのか。

 

マルコが私の運転に、過剰に反応していた理由が初めてわかったような気がする。

いつも優しく明るい父親。他人が自然にそう感じるのであれば、家族はもっと強く慕っているはず。同様以上の悲しみであっただろう。

 

この時、私の中で張り詰めていたものが一気に崩れた。

 

 

断っておくが、私は泣いてはいない。

目から豚汁が煮立ち始めただけだ。

 

 

父親「Sit. (座れ。)」

 

彼は先ほどのドライブの件には触れなかったが、突然マルコのことを話し始めた。

それは生い立ちから始まった。

 


[マルコ似顔絵]

 

彼女は外国人の父親を持ったために、その見た目が周囲と少し違った。

白い肌と高い鼻、長い手足と指。大人になれば関係ないこと、むしろ羨ましがられることが、幼少期は “ からかい ” の対象だった。

このフィリピンでも、いじめに近いものがあったらしい。

小学校、中学校ではほとんど口をきかず、親しい友達はいなかった。

教師も常に黙っている彼女を怖れてしまい、積極的にはコミュニケーションを取ろうとしなかった。

彼女は、孤独でも良いと言っていた。家族さえ一緒ならばそれ以外は望まないと。しかし、学校から家に帰って泣く姿からは、友達が欲しいことは明らかだった。

彼女の幼少期にはあまり良い思い出がない、多くの苦労したのだろうと。

そして高校生になり、彼女が唯一心を許したのは、ハンと言う親友だった。

ハンは、まさに女番長のような存在で男子にも物怖じせず、四六時中下ネタを話し続けるファンキーな女の子だった。

(私もこの旅行後にハンに会う機会があった。初対面にも関わらず、彼女は「小便したい。お前の口はCRだろ? させろ、口を開けろ!」と言われた。あっけに取られていると、ジョークだからと笑われたが、そんなプレイも有りだなと思った次第でございます。ハンの見た目は、痩せたら美人のぽっちゃりフィリピーナ。)

高校生の時に席が隣になってからは、ハンは何かとマルコのことを気に掛け、二人はすぐに何でも打ち明ける仲になっていった。

物静かなマルコ、いつも騒がしいハン。二人でお互いの家をよく行き来していたらしい。

進学は二人揃って同じ大学へ。専攻も同じだった。

卒業後も親交は変わらず、今も家族同然の仲だと言う。

 

 

マルコの男関係については、父親も良く分からないらしい。

大学生の頃に、一度それらしい男が出来たと聞いたが、父親に紹介するまでには至らなかった。

本当に彼氏らしい男は私が初めてのこと。

 

 

父親は「それはレンジ、君に心当たりがあるだろう? ははっ。」と笑う。

 

しかし、彼は急に表情を変える。

 

彼女は幼少期から猛烈な「ファザコン」だったらしい。反抗期も無く、いつも彼から離れようとはしなかった。見た目が似ていたこともあったのか、父親に極度に依存していた。

大人になってからはそのようなことは無くなったが、母親よりも父親への感情の方が大きいようだった。

 

そして、彼が足を失くした時に一番悲しんでいたのはマルコだった。

 

ただし、事故以降、彼女の態度が変わった。

それまで良好な関係だったが、父親が退院する頃、マルコは急に冷たく当たるようになった。

 

父親の考えでは、「こんなに悲しい思いをするなら、気持ちの置き場所は別にすべき。」と考えたのだろうと。

口をまともに聞いてくれるようになったのはつい最近らしい。

 

父親「Actually, I’m her father, but I’ve never heard she tells “ I love you, Dad ”. Hahaha, hah, っ、ガッ、ゲホッ、ゲホッ!(実はな、父親だが私も彼女から愛してると言われたことはないのだ。 はははっ、はっ、っ、ガッ、ゲホッ、ゲホッ!)」

 

笑い過ぎだろう、父親。

 

彼は「まぁ、言葉でなくとも伝わってくるから良いんだけどな。」と、咳込みながら私を見る。

彼女の父親だからな、と。

どこか誇らしげだった。

 

 

父親「But, I feel her actions and words for you are similar to me. (でもな、彼女の君への言動は私のものと似ているぞ。)」

 

私「Really? (本当ですか?)」

 

父親「Yeah, same same. Maybe spoiled by you.(ああ、一緒だ。甘えているんだろう。)」

 

私はとても嬉しかった。

 

父親「Don’t worry, Range. I already told you. (心配するな、レンジ。もう話しただろう。)」

彼は夕食後のことを言っているのだろう。私もその意味がわかった。

 

父親「But, sometimes iiih!! Right? Haha.(でも、時々イイイッっ!! だろ? はは。)」

 

彼は両人差し指を額に当て、「鬼」のジェスチャーをする。

マルコが時々ヒステリックになる様を、ふざけながら表現していた。

 

私「Haha, I know. (はは。知っています。)」

 

私は目の豚汁を掻くように拭った。

 

父親「She is kind, just childish.(彼女は優しい、ただ子どもなだけだ。)」

 

もうそろそろ止めてほしい。彼女のことを本気で好きになってしまうではないか。

 

父親「I understand. I hope you really love her. (わかっている。君が娘を本当に好きになることを願うよ。)」

 

ずるいぞ、父親。ずる過ぎる。

 

父親「Anyway, you know it’s up to you. Right? Haha, hah, っ、ガッ、ゲホッ、ゲホッ!.(とにかく、君次第だろ。そうだろ? はは、は、っ、ガッ、ゲホッ、ゲホッ!。)」

 

何がそんなにツボなのかわからないが、彼の意味することは良くわかった。

 

私「I understand. (わかりました。)」

 




 

 

そこで私達の会話は一旦途切れた。

 

マルコが突然、部屋から出てきたためだった。

 

彼女は無言で冷蔵庫へ向かう。

 

飲料水を持ち、すぐ部屋へ戻ろうとする。

 

と、ドアの前で止まり、

 

マルコ「Good night. (おやすみ。)」

 

そう言って部屋に入って行った。

 

もしかして、私達の会話が聞かれていたのだろうか。

父親の下唇が捲れている表情から察するに、そうなのだろう。

 

そして、例の如く二人でTVニュースを見ながら、意見を言い合う。

 


[リビングにおっさん二人]

 

三日目ともなれば、お互い気心は知れていた。

疲れがあったので口にする英語は少なかったが、この夜も父親の眠気が出るまで付き合った。

 

そして、父親がベッドルームに入った後。

 

リビングに取り残された私はなかなか寝付けなかった。

 

 

ちょっといい話の後で大変申し訳ないが、やっぱり下衆な私は、マルコがもう一度部屋から出てくることを期待していたのだった。

 

しかし、もちろんそんなことは起きず、ソファで寝落ちした。

 

そして、旅行最終日へ。

 

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