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[前回のあらすじ]

フィリピーナ彼女とその家族と共に、フィリピン ダバオ旅行へ。三日目の夜、夕食後に父親とレンジは二人だけで話し込む。彼女との関係についてアドバイスを受ける。また、フィリピン人の女性スタッフにも意見を求める。その直後、フィリピン師匠から意外な電話がかかってくる。

【レンジブログ115】フィリピーナ彼女の父親に交際を認めてもらう

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

[レンジブログ第一章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

[レンジ外伝第一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた

 

 

 

【レンジブログ116】ダバオ旅行、フィリピーナ彼女と夜のドライブ

 

 

田原さんも私がダバオに居るとは思ってもみなかった様子だった。

まさか彼と、海外の同じ場所に、同じタイミングで滞在が重なるとは。

 

私は、フィリピーナ彼女と一緒に家族旅行に来ていること、明日の夕刻にはマニラへ発つことを伝えた。

そして、彼に一目でも会いたいと。

 

田原「あー、そう! こちらは仕事なのだけど…。明日、空港は夕方だよね? もしかしたら、ちょっとだけ会えるかも!」

 

彼は現在シンガポール滞在中で、明日の午後にダバオへ入るとのこと。

現地商社と日本商社とのミーティングで、ダバオ郊外にある「バナナ農園」へ同行するらしい。

査察か、販路拡大についての商談だろう。

 

田原さん、一体どんだけ顔広いねん。その行動力と人脈に感服する。

 


[ホテルのプールサイド]

 

私「わかりました。それにしても田原さん、よく働きますね! 本当尊敬しますよ。」

 

田原「ははっ、それはレンジさん、お互い様だね!」

 

彼はまだまだ引退するつもりはないようだ。本当に仕事が好きなのだろう。

 

私達は明日の午後になってから再度連絡することを約束し、電話を切った。

 

マニラへの出発は午後5時だから、田原さんにはギリギリ会えるのかな。

本音はもっとゆっくりとしたところで、彼と話がしたいのだが。ビジネスのこと、恋愛のことなど彼としかできないプライベートな相談は多い。

とりあえず、田原さんにはマルコと彼女の家族を紹介して、また後日マニラで改めて…。

 

と、ここで私は悪魔のつぶやきが聞こえる。

 

“ 田原さんを自分の父親だって紹介してみたら? どんな展開になるか面白いじゃない。どうせ、彼女達にはわからないよ。”

 

いやいや、ダメだ。何とカスなことを我ながら思いつくのだ。

 

とりあえず、もし明日彼に会えれば、それだけで嬉しい。

少し楽しみが増えたところで、私は部屋に戻った。

 

ソファには、父親とマルコの姿があった。

弟と母親はすでにそれぞれベッドルームへ入ったようだ。

 


[宿泊部屋のリビングルーム]

 

彼女は毛布に包まり、ソファで横になっていた。

ほぼ寝落ちていた様子だったが、私が部屋に戻ってきたことを察知して、起きてきた。

 

マルコ「Hi, Range. (ねぇ、レンジ。)」

彼女が私に声を掛けてきた。

 

私「You must be tired. Me too.(疲れたでしょう。私もです。)」

 

マルコ「If you’re okay, I wanna go to market now. (もし良かったら、今からマーケットに行きたいのだけど。)」

 

はーっ?

この人は本気で言っているのか。

今回の旅程では、ほぼ最後の日。日中はずっと観光で海水浴まで。今ようやくホテルで落ち着いたところだぞ。

しかも、何時だと思っている。他の家族はもう休んでいるし、私達も大人しくそうすべきだろう。

私も疲れの限界はとうに過ぎている。

 

しかし、私は「大丈夫だけど…。」と伝えてしまう。決して嫌だとは言えない。

一体これ以上、何を買うのだ。そもそもマーケットはまだ開いているのか。

 

マルコ「I forgot to buy some souvenirs for my best friend. (親友へのお土産を買い忘れちゃって。)」

 

おい、それは明日でも良いではないか。フライトは夕方だぞ、マルコ様。

お父さん、助けて。

 

父親はTVを真っすぐ見ている。私達に関心がない、あるいは任せているのだろう。

 

マルコ「Please, Range. (お願い、レンジ。)」

 

彼女はどうしても、今夜買っておきたいと言う。

仕方がない。

私は彼女の「プリーズ」が堪らなく好きだ。その透きとおった発音を聞いただけで、少し元気が出る。求められると燃えるのだ。

 

私「Okay! Let’s go!(よし、行こう!)」

私とマルコは二人で夜のダバオ中心部へ向かうことにした。

 

部屋を出ると、外はさらに冷え込んでいた。

ハンドルも少し冷たく感じる。

 

車を動かし、ヴィレッジを出る。

しかし、どうしても感じる疲労。

もう私の黒目は眼球の後ろ側へ隠れつつあった。それを必死に逆側へ戻しながら車を走らせる。

 

交通量の少ない夜間。私は時折意識を失いそうになりながら、ハンドルを握り直す。

眠い。

 

街が次第に賑やかになっていく。

この時間帯でも、中心部では未だ人通りが多かった。

 

ロハスナイトマーケットはもう近い。

混雑する道路をゆっくりと進み、路肩の縦列駐車へ紛れ込む。

 

マルコは到着すると、「ちょっと待ってて!」と言い、一人でマーケット内へ入って行った。

 


[ロハスナイトマーケット]

 

私は、ただの運転手役だったのか。

私への扱いが雑になってきた感じを受けるが、これも既に慣れたものである。

 

私は運転席で腕を組み、目を閉じる。睡魔と闘っていた私には至福の瞬間であった。

 

 

20分ほど経過しただろうか。

マルコが助手席のドアを開ける音で目が醒めた。

 

マルコ「Thank you! I found a good perfume. (ありがとう! 良い香水があったわ。)」

 

彼女は親友へのプレゼントに香水を選んだらしい。

テスターを手首に付けたらしく、その香りを私に嗅がしてくる。

とても良い香りだった。

 

彼女はその品に満足し、マーケットは短時間の滞在でホテルへ戻ることに。

 

私は先ほど少し目を瞑ったこともあって、行きの時ほどの眠気はなかった。

これで、ようやくホテルで休める。

私の長い任務は終了した。

 

 

えっと、この先を右折すればヴィレッジ方面だな。

私はすでにダバオ市内の地理が頭に入っていた。

 

日曜日の深夜、中心部を外れ、次第に交通量が減っていく。

 

 

マルコ「Range, I wanna take a rest somewhere. (レンジ、どこかで休みたい。)」

 

何っ!?

 

 

『ドライブ中、何処かで休もう。』

これはまさに、おっさんがオナゴをホテルへ誘う文言。

まさか彼女から聞くとは思わなかった。

しかも、このタイミングで?

 

私「Shu, shu, sure!(もっ、もっ、もちろん!)」

 

さてはマルコよ、買い物へ行きたいと言いながら、私と二人っきりになりたかったのだな。

そうか、今までが壮大なフリだったのだ。

まったく、遅いよ。この時のために、私はどれだけ心を踏みにじられたか。

 

あなたは男のハートを鷲掴みどころではない。そのまま掴み潰し、殺してしまうほど最高だ。

 

この旅での試合開催を諦めかけていた時、突然アンセムが聞こえる。

 

誰だ。

誰が車内で唄っているのだ。感動で震える。涙が出るから止めてくれ。

我ながらよく耐えた。ここまで我慢した甲斐があった。

 

そうでしょう!

このまま旅は終われないでしょう!

男女が深夜にドライブと言えば、それは試合会場探しでしょう!

 

えーっと、モーテル、モーテルっと。

運転しながらスマホで、付近のモーテルを検索する。

 

それらしい名前が何軒かヒットし、一番近くの場所へ目的地をセットする。

 

よっし。

やはり、マルコのツンデレ具合は最高であっ..

 

 

 

 

 

『ビーー!!』

 

 

大通りの交差点を抜けようとした時だった。

大型のトラックが猛スピードで右方向から間近に迫る。

ライトを逆光に、固まるマルコのシルエットが見えた。

 

間に合わない。避けきれない!

 

『ビーーィィイ!!』

 

クラクションの音が高くなっていく。

トラックのフロントグリルがはっきりと見え、マルコに迫る。

 

死んだっ!

 

 

瞬間、耳を裂くほどのクラクションが、急にその周波数を下げる。

トラックは体勢を立て直そうと左右に振らつきながら遠ざかっていく。

 

…あっっぶねぇ。

 

突っ込まれると思った瞬間、私はほぼ本能でペダルを踏み込んだ。

アクセルを選択したため、間一髪避けることができたのだ。もし、ブレーキを踏み、その場に留まっていたとしたら。

 

交差点を抜け、路肩に一旦停車する。

 

あぶねぇぇ。

死に直面したことで、心拍のリズムが壊れたためか、少し息苦しかった。

 

浮かれた私は、確認を誤った。横断してくる車線の向きを勘違いしたのだ。

フィリピンでは右を確認しなければならなかったところ、日本の癖が出てしまい左を見てしまった。

 

 

そして、私はこのとき人生で初めて走馬灯を見た。

話に聞くように、全てがスローモーションだった。

 

しかし、私の脳裏に浮かんだものは、

幼少期の思い出、

初恋の相手、

卒業式、

両親の葬式、

 

何れも違った。

 

死の間際、私が思い出したのは、

そのコマが全て、マルコ、

 

ではなく、

 

 

マルコの母親のハイレグ姿だった。

記憶が強すぎたのだ。

 

 




 

 

助手席の彼女は未だ呼吸が狂っており、強いショックを受けていた。こちらが過呼吸を心配するほどだった。

 

彼女の背中を摩り、落ち着くのをしばらく待つ。

 

マルコ「Fxxk!! Are you crazy!? (信じられない!! 頭おかしいんじゃないの!?)」

彼女は目を潤ませ、今にも泣き出しそうだった。

私もある意味、泣きだしそうだった。

 

マルコ「I wanna be back now. NOW! (もう戻りたい。今!)」

 

彼女は両手で顔を覆う。

 

マルコ「NOW!! (今!!)」

 

怒りは当然だ。

私も今パンツを脱がされたら、「女か?」と疑われるほど縮み上がっている。その様は、巣立ち直後の巣だ。

 

そして、彼女の想いはわかる。おそらく、父親の件。

彼女の父親の片足が無くなったのは、交通事故のせいだ。

 

私「I’m so sorry.(本当にごめんなさい。)」

 

私達はその後、一言も発することなく滞在ホテルに戻った。

 

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Range Abe
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。
ホテル予約サイト「アゴダ Agoda」へ

 

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