[レンジブログ 前回のあらすじ]

KTVに訪れた後、そのお店のスタッフや友人たちと韓国焼肉を食べにアフターへ。その場で、レンジはジェーンというオカマに大変気に入られて困惑していた。

[前回の記事]
【レンジブログ60】KTVのスタッフ達と韓国焼肉アフター、その中のオカマに気に入られる

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリー仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

 

レンジブログを序章から読んで頂けると幸いですm(__)m
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

レンジブログ第一章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ

レンジブログ第二章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る

また、オノケン(現在の話)とレンジ(過去の話)のブログは交互にストーリー展開します。登場人物も共通する人が出てくるので、始めから読んで頂けるとより記事の内容が分かりやすいと思います。オノケンブログもチェックしていただければ幸いですm(__)m

オノケンブログの一覧はこちらから

 

 

【レンジブログ61】現地のオカマをホテルの部屋に招くと、とんでもない展開になった

ママ「レンジ、どうする?」

私「あー、パンパシフィックホテルなので歩いて帰ります。一人で。」

ジェーン「えー、ダメよ。私、傘ある。レンジ送る。」

私「いやいや、本当に大丈夫です。すぐそこなので。」

 

彼の親切な対応は大変嬉しかった。しかし、私は少しだけ嫌な予感がしたので、丁重にお断りし続けた。

しかし、ジェーンも一向に引こうとはしない。そんなに懇意にしてくれなくてもいいのだけど。

 

滝のような雨を見ながら、その場で二人の押し問答はしばらく続いた。

 


[オカマのジェーンの似顔絵。日本の有名なオカマに似ていた。]

 

とりあえず、ママと彼氏さんのタクシーが止まり、二人はそれに乗って帰るようだ。

ザリと、もう一人の見た目が完全におっさんのオカマの人は住まいが近いらしい。二人とも傘を持っているので歩いて帰るとのこと。

 

私たちは一応、その場で別れの挨拶をした。ママ達のタクシーが発車し、ザリ達は、豪雨の中を帰って行く。

 

私はそれを見届けながら、この後はどうするの? と考えていた。

 

そう、ジェーンだ。

彼は私の横から動こうとしない。

おそらく私と同年代のオカマさん。身長も同じくらい。万が一の事態になれば互角の戦いか。

 

完全にこれはもう彼に送ってもらうしかないようだ。

滞在しているパンパシフィックホテルは警備は万全だろうし、明け方だがエントランスにホテルスタッフも複数いる。何かあっても大丈夫だろう。

ジェーンも決して悪そうな人には見えないし。

 

私「うーん、じゃお願いして良いですか?」

ジェーン「良いよ! 近いから大丈夫!」

 

私の勘違いだ。確かにこの強烈の雨の中、外国人のお客を一人で帰らすのは可哀想なのだろう。彼は親切なだけだ。そう、心優しいだけだっ! よっし。

 

私達は身を寄せ合い、相合傘で歩道へ歩き始めた。

 

 

しかし私が踏んだ時限爆弾のタイマーは全く止まることなく、残り3分を切っていた。

 

 

傘は折り畳みタイプで、男性二人分の骨格を雨から防ぐことはできない。はみ出た体の部分はすぐに雨に強く打たれてしまった。

 

ホテルまで距離は50mもない。

 

私たちはすぐにホテルエントランス構内に至り、雨の当たらない所へ。

 

 

守る術のなかった足元、体の半分はビシャビシャに濡れていた。

 

私「ジェーン、ありがとう!」

ジェーン「うん…良いよ…」

 

私「じゃ、ここで。今日は楽しかったです。おやすみなさい。」

 

ジェーンは何か考え込んでいる様子だった。

私はこの時眠気のピークが訪れ始めていたので、一刻も早く部屋に戻りたかった。

 

 

ジェーン「トイレ行きたい。」

私(心の中)「何!?」

 

ジェーンは雨の中、急にもモヨオして来たらしい。モジモジと、ホテルのトイレを借りたいと言う。

 

嫌な予感がさっきよりも確信に変わりつつあったが、私もモヨオしてきたような気がする。確かにこの雨でお互い体温が冷えたのだろう。酔いと眠気もあり、断る理由が思いつかない。

 

おっ、そう言えば、ホテルのエントランス奥には共用のトイレがあったはずだ。

 

私はOK、一緒にホテルへ入ろうと伝える。ジェーンはありがとうと私の後を付いてくる。

 

二人でホテルのエントランスに入り、奥のトイレの方へ向かう。

 

 

ジェーン「私、ここ使えない。」

 

えっ!? はっ!! 

私としたことが何という失礼な事を。

 

オカマさん、元は男性だが心は女性なのだ。いくら女装をしている、胸が膨らんでいると行っても中身はおっさんだ。性転換をしているかは聞いていないが、ジェーンは男性、女性どちらのトイレも利用する事ができないと言う。

 

”トイレ”というデリケートな事に配慮が足りなかった。

 

んー、でも困ったぞ。そうすると、利用出来るトイレがない。

 

どうするの?

 

 

 

ジェーン「あなたの部屋のトイレ、使う。」

 

 

んがっ、そんな手があったのか!

私はその理由を断る手段は持っていない。

 

到底、論破出来ない流れで、部屋に二人きりになる条件が揃ってしまった。

 

私は当然困った。しかし、この状況を断るほど非人道的なことはない。

 

 

私「OK。トイレだけね! トイレだけ!」

ジェーン「大丈夫、わかってる。ありがとう。」

 

よしっ、トイレを貸すだけだ! 大丈夫だっ!

 

 

二人でエレベーターに乗る。

 

明け方のマラテ。エレベーターから見える東の空は明るくなりつつあった。

 

そして、衝撃的な事実が。足元の通りを眺めると…。

 

この間に…雨…。

 

弱まってるやん。

 

あのままもう少し待っていれば、この状況は避けられたのに。

 

いやいや、大丈夫だろう。ジェーンを信じよう。

 

そして、二人の乗ったエレベーターは、私の部屋のある階で止まる。

 

私が踏んだ爆弾のタイマーはこの時、10秒を切っていた。

二人でエレベーターを出る。

 

 

[9秒]

 

私の部屋へ向かう。

 

[8秒]

 

私の部屋の前に立つ。

 

[7秒]

 

カードキーを差し込む。

 

[6秒]

 

キーが開き、ドアを開ける。

 

[5秒]

 

二人で部屋に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私「ジェーン、トイレ、そこで…」

 

 

 

私「ぶっ、ぶふぅおぉっ!」

 

ジェーンの尋常ならぬ情熱が爆発した。

 

彼は本来のおっさんの力で、私を壁に押さえつける。

そして、強引に私の唇を奪おうとする。

 

私は必死に顔を背けながら叫ぶ。

私「Ok, stop! Ok, stop! 」

ジェーン「ちがう! 私、ホントにあなたのこと好き!」

 

 

私とジェーンは、取っ組み合いになった。彼のアプローチを何とか退けようとする。

 

太ったおっさんと現地オカマが、パンパシフィックホテルの一室で朝方に…。何という光景だろうか。

 

私「Ok, Ok, Ok, No, No, No, Ok, Ok, Ok, No, No, No!」

 

オーケーなのかノーなのか。本気で焦る。私は恐ろしかった。

 

 

私「Thank you for your approch! But too early!」(アプローチありがとう! でも早すぎます!)

ジェーン「ダメ。今あなた欲しい。」

私「Thank you, thank you! But too early for us!」(ありがとう、ありがとう! でも、私たちは早すぎます!)

ジェーン「レンジ、好き。」

私「あぁぁああ! Stop! Stop! Stop! 」

 




 

こちらも必至だった。私は何度も「Stop!」と叫んだ。彼のアプローチを力づくで押し離す。ブスの底力である。

 

そして私は、何とか彼の衝動を徐々に抑えていった。

 

こちらにその気はないと、はっきり何度も伝えた。

 

 

すると、彼の力が突然弱まった。

 

ジェーン「I understand. Sorry.」(わかりました。ごめんなさい。)

 

その一言の後、ジェーンはキャップを深く被り、部屋のドアを開ける。

 

諦めて帰るようだ。

 

私は彼の気持に答えられず、申し訳ないと思ったが、あまりの衝撃的な展開に腰が抜けそうな思いだった。

 

一応、ホテルのエントランスまでは一緒に行こうと伝え、彼を見送ることにした。

 

 

エントランスまではお互いに無言。

 

ホテル出口で、「See you.」とだけ、ジェーンは小さく言った。目元はキャップで見えなかったが、とても悲しそうな口元だった。

 

そして、彼は小雨の通りへ消えていった。

 

私はその後ろ姿を痛堪れない想いで見送った。

 

ジェーン、ごめんなさい。私は”女性”が好きなのだ。

 

無理なものは無理だ。

 

私は、部屋に戻り、この日はそのまま休むことにした。

 

[次回あらすじ]
人生で初めての経験に驚いたレンジ。自らの軽率な言動も反省しつつ眠りに就く。そして、マニラ旅行二日目が始まる。

 

[マニラのおすすめホテル紹介]

このエピソードにあるパンパシフィックホテルは、マラテ界隈に滞在するなら最もおすすめの高級ホテル(ホテル予約サイト「アゴダ」にリンクします)

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

2 コメント

    • 匿名様
      コメントありがとうございます! こちらのエピソードは名前こそ仮名ですが、事実なので笑えません。が、笑って頂き光栄です!

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