[レンジブログ 前回のあらすじ]
フィリピーナと二人、ホテルで過ごす。しかし、レンジの初ゴールは生まれず。そのまま朝を迎える。
[前回の記事]
【レンジブログ74】フィリピーナとホテルで試合開始、初代表戦でゴールなるか
クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。
レンジブログを始め(序章)から読んで頂けると幸いですm(__)m
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ
レンジブログ第一章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ
レンジブログ第二章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る
レンジブログ第三章は以下のリンクからどうぞ
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。
また、オノケン(現在の話)とレンジ(過去の話)のブログは交互にストーリー展開します。登場人物も共通する人が出てくるので、始めから読んで頂けるとより記事の内容が分かりやすいと思います。オノケンブログもチェックしていただければ幸いですm(__)m
【レンジブログ75】フィリピーナと一夜明け。翌日遅刻でオフィスにて大説教される
キッチンから聞こえる物音。
気付けば、カーテンから差し込む光が眩しい。
私は、ポニーが朝食を準備してくれているらしい物音で、心地よく目覚めた。最高の目覚まし時計。女性の立てる物音とは本当に心地良いものである。
私「Good morning.」(おはよう)
ポニー「おー、おはよ。」
私「Did you sleep? Are you Okay?」(寝たの? 大丈夫?)
彼女は大丈夫だと言う。
今、朝食を作っているから、顔を洗って歯磨きをして来いという。
小柄で童顔な彼女、しかし、言動はまるで私の母親のようだ。
[部屋からはマラテの街、マニラ湾が見えた]
時計を確認すると、朝の9時を過ぎたところだった。6時間ほど寝たようだ。しかし、まだ眠い。
自分の寝起き口臭の尋常ではない臭さで再び気を失いかけながらも、私は言われたとおり、バスルームへ向かう。
まだ目は半分開いてないが、酔いはほとんど残っておらず、体調は良かった。
バスルームを出ると、彼女の作ってくれた料理がキッチンのカウンターに置かれていた。
ポニー「食べろ。」
メニューは、目玉焼きと薄いパン、焼かれたフニャチンのような小太いソーセージ。
私は起きてすぐだったが、それらを美味しく頂いた。
彼女はすでに簡単に朝食を済ませたらしい。私が食べる様子をニコニコと見ていた。
ポニー「仕事、何時?」
私「10時スタートだけど、スタッフ皆集まるのは11時くらいかな。はは。」
ポニー「それ遅刻だろ。悪いなレンジ。」
彼女は、とりあえず実家に帰って子どもの世話と、仕事に備え昼寝をすると言う。今夜はKTVに出勤するとのこと。
おそらく、昨夜はほとんど寝ていないはずだ。夜の仕事が常のため、彼女の体内リズムはやはり夜型になっているのだろう。
私の食事が終わり、二人でコーヒーを飲む。
そして、お互い外出の準備をする。
10時を過ぎた頃、二人廊下に出て、エレベーターを待つ。
ポニー「今夜、私仕事。だからレンジ会えない。またな。」
私「えっ、時間会ったら、ポニーのKTVに行くよ。」
ポニー「いや、来るな。お金モッタイナイだろ。」
彼女はお店では、客にエゲつないほどドリンクリクエストすることを私は知っている。しかし彼女は、私にはあまりお金を遣わそうとはしない。
お店でもプライベートでも。
ポニー「レンジ、彼氏。だから、店に来なくて良い。いつでも会えるだろ。」
私「はい。ありがとう。」
ポニー「あと、お前太ってるから、いつも Take care な。健康心配。」
私「はい!」
私は、完全にポニーに恋をした。
もちろん、マリーにも恋をしている。ザリともワンチャンしたい。それは間違いない。
間違いないが、今はポニーが最も愛おしく感じていた。
私達はエレベーターに乗り、一階のエントランスへ。そして、バーチタワーの外へ出る。
私は彼女にタクシー代を渡そうとしたが、「いらない。Save しろ。」と言われた。ロビンソンモール付近でジプニーに乗るからと大丈夫だと。
そこまで送ろうか? と伝えたが、「早く行け、日本人なのに仕事遅刻するな。」と怒られてしまった。
見た目は10代だが、何ともしっかりしたフィリピーナである。20代後半ともなると、さすがに幼さは消えるのだろうか。
私達は、ビルの前で、お互いに「See you!」と声をかけ別れた。
私は一応、彼女が通りを曲がるまで、その場で彼女の後姿を見送った。
期待はあまりしていなかったが、やはり彼女は私を振り返らなかった。
この時、少しだけ彼女に違和感を感じた。少しだけだが。
さて、私も職場へ向かうとしよう。約30分の遅刻だ。
でも、スタッフも皆ゆっくりしているに違いない、大丈夫だろう。物事は急がない。ははーっ、社長ではないが、まさに社長出勤だ!
私は朝から上機嫌だった。
バーチタワーから歩いてオフィスまで15分。このウォーキングがほぼ日課になりつつあった。
朝からさっそく臭う通りを進んでいく。
[職場近くは多くの放し飼いの犬たち]
私「朝からお盛んですなっ、元気で何より!」
私は、ノーゴールではあったものの昨夜のことは、大変良い思い出になったと思っており、ポニーの存在に浮かれていた。この後、あるフィリピーナに大説教をされることは全く想像せず…。
そして、気分良く職場のビルに到着。
私は30分ほどの遅刻だが、皆も時間通りに来ているだろうか。
オフィスに入ると、意外にもナオミを始め、スタッフは皆出勤しており、すでに慌ただしく業務を始めていた。また、今日の予定にはないパーリーの姿もあった。
私はとりあえず、皆に「Good morning. How are you?」と挨拶する。
しかし、何だかオフィス内の雰囲気が悪いような気がする。スタッフのこちらへの笑顔もぎこちない。
私「あれ? パーリー、今日はどうしたの?」
パーリー「おはようレンジさん。ちょっといい? こちらへ。」
神妙な面持ちのパーリーに促され、奥のミーティングルームに二人で入る。
ドアを閉めると、突然パーリーが大きな声を上げる。
パーリー「ちょっと、レンジさん! 何で遅刻したの!?」
私はそのいきなりの勢いに驚く。
私「いやっ、いや、寝坊してしまいまして…。」
パーリー「はあぁぁあ!?」
彼女の怒りバロメーターが急上昇したのは明らかだった。
私はここから約30分間、パーリーに全力で大説教を受ける。
彼女が私に言ったことは主に以下のようなことだ。
・時間にルーズなのは絶対にダメだ。
・遅刻する時は事前連絡と理由を知らせろ。
・すでに旅行者ではなくビジネスマンだろ。
・スタッフは上司の行動をよく見ている。そして、真似るぞ。
・ビジネスは遊びではない。フィリピンも日本も関係ない。
などなど。
それは恥ずかしくも、社会人として当たり前のこと。例えば、学生気分が抜けきらない新入社員が、先輩から最初に受ける説教と同じ内容だ。
私はこの時、深く深く反省した。
自身の恥ずかしさと愚かさと不甲斐なさと…全ての負の表現が当てはまる事実を後悔した。
私は、マニラでのビジネスがほぼ順調にスタートしたこと、そして新たな女性の進展に、完全に浮かれていたのだ。
それはもう土下座して、謝罪したいくらいだった。心の中では、でんぐり返ししてしまうほどの勢いのある土下座だ。
おそらく決して説教ではなかった。パーリーは優しくも、愚かなこの日本人に丁寧に親切に知らせてくれたのだ。彼女がコンサルタントとして手がけたこの会社、私のことを本当に心配してくれているのだ。
彼女の厚意を絶対に無駄にはしない。日本同様に、ビジネス上でのミスや信頼を失うような言動は厳に慎むことを誓う。
パーリーに深い謝罪と感謝を伝える。二度とこのようなことがないようにと約束する。
彼女は納得してくれたようで、表情は柔らかくなっていた。そして、話が落ち着いたところでナオミをミーティングルームへ呼んだ。
ナオミは、片手に食べかけのバナナと、もう片方の手にはバナナの大きな房を持って、部屋に入ってきた。
ナオミ「Do you eat?」(食べる?)
私&パーリー「No!」(いらない!)
[マニラでは路上販売のバナナが人気。格安でおいしい。]
おそらく、ビルの前の路上販売で買ったものだろう。ナオミは「何でこんなに美味しいもの食べないの?」 と二本目のバナナを剥いていた。
パーリーはナオミに、タガログ語で「レンジさんは、少し体調が悪かったため遅刻したみたい。」のようなニュアンスのことを伝えてくれているようだった。
ナオミ「Oh, Are you Okay? Sir. I worried little.」(まぁ、大丈夫ですか? ダンナ、少し心配しました。)
ナオミとスタッフは、やはり私の遅刻を良くは思っていなかったようで、何かあったのかと心配してくれていたのだ。
私達は、ミーティングルームを出てデスクスペースへ。
私はスタッフ達に遅刻して申し訳ありませんと伝えた。
また、パーリーとナオミがタガログ語でそれぞれ皆にフォローを入れてくれていた。
とりあえず、その場は落ち着き、スタッフ達に笑顔が戻る。そして、皆で業務に取り掛かる。
今日、パーリーは、彼女経由の新規顧客案件を追加で紹介してくれるようで、そのためにこのオフィスに立ち寄ったようだ。
[パーリーの会社付近の写真。彼女のオフィスはマカティにある。]
彼女は、彼女の会社と付き合いのある企業にいろいろ働きかけてくれているようで、すでに彼女の紹介によって数件の問い合わせが我々の会社に入っており、それらの対応も急がなければならなかった。
私は本当に恥ずかしい。暢気にデレデレとフィリピーナと過ごしたり、路上の犬たちを写真に撮ったりしている場合ではなかった。
その後、午前中の内にパーリーは自分の職場に戻ると言い、我々のオフィスを後にした。
皆、簡単に昼食を済ませた後、午後からはスタッフそれぞれが研修を兼ねて、実案件の整理。彼女たちの仕事の飲み込みは早いようで、もうすでに自ら業務をこなしているようだった。
ナオミもスタッフも大変優秀で、本当に助けられる。
私は顧客への連絡など、同様忙しかったが、彼女たちの仕事ぶりはとても心強かった。
そして、この日も気付けば業務時間が終わりを迎えようとしていた。
私の今回のマニラ滞在はあと三日。できれば、もう少し業務の打ち合わせなどを重ねたいが。
しかし、こちらが遅刻してきた分、残業してもらうのは申し訳なかった。
午後7時過ぎ、皆で労いながらオフィスを後にする。
ナオミとスタッフ達はどこかへ夕食に行くようだった。私も誘われたが、明日の業務に集中したいと伝え、その場を解散した。
私は帰宅の途に着いた。
[オフィスを出て少し歩くと、マニラのローカルな通りが広がる。]
さて、今夜はどうしようか。
ザリに会いに行きたい気もするが、昨夜のこともあり、今は罪悪感満載のため、ちょっと会う気にはなれない。
ポニーにも会いたいが、お店には来るなと言われたし。
[夜のマビーニ通りの様子。多くの飲み屋が並ぶ。]
他のKTVを巡るにしても、私はこの辺りではそろそろ顔なじみの日本人だ。女性たちの間で、パルパロだと噂が立っても困るし。
マリーにもし知られれば、それは命の危険すらある。
どうしようかな、と通りを歩いていると…。
一人のおばさんガイドに声を掛けられた。
おばさんガイド「お兄さんのこと、私知ってるよ。新しいKTV行く?」
私「いやー、もうKTVはちょっと。この辺りは何処も行ったので。」
おばさんガイド「新しいところ。女の子、ぜんぜん違う。大丈夫。」
私「いやー、ちょっと。また今度ね!」
おばさんガイド「ビルの奥。だから、女の子、ぜんぜん違う。今日、新しいばかり!」
私「本当に?」
おばさんガイド「本当だよ! 嘘つかないよ。」
[次回あらすじ]
レンジは仕事帰り、新たなKTVへ向かう。そして、そこである意味運命的な地雷を再び踏む。