後ろ髪を引かれる思いがしながらも、エドコンからまたタクシーで移動し始めた。
私「例の場所とはなんなんです?」
レンジ「まあ、行ってみればわかるけど、少し危ないとこ」
私「す、少し危ないところ?」
レンジ「うん、でもマークいるし、大丈夫だよ」
マーク「ソウデース、私いるから安心デース、ハハッ」
リラックスしたレンジさん、そして陽気なマークの様子からそんなに危険なところではなさそうだと安心していた。
エドコンは大通りに面しており、そこだけではなく、その周りの建物も華やかな光を放ち、全体的にギラギラしていた。
タクシーを走らせて5分ほどすると、そんなギラギラした街からは離れ、静かな住宅地へと移動してきた。
そこから目的の場所につくまでの5分間は進めば進むほど
「スラム、死地、戦場」
という言葉が当てはまりそうな場所に姿を変えていく。
震度3ほどで倒壊しそうなボロボロの家、穴だらけの整備されていない道路、そこらへんで寝転んでいる男たち。
私の本能が告げている。
本能「コンドコソ、イッタラシヌワヨ」
ギラギラした街の様子はとっくに消え去り、ギラギラしているのは道にいる男たちの目だけである。
おそらく私が
私「I love money!! And I have money!!hahaha!!!」
といいながらスキップしてこの街を行こうものなら1分以内に生涯を終わらせられることだろう。
私「れ、レンジさん、やばくないですか?」
レンジ「・・・・・」
マーク「・・・・・」
私「・・・・レンジさん?」
レンジ「・・・・・・もう着くから」
私(心の中)「もう着く!?いや、もう着いたらだめでしょ。こんなところでタクシー降りたくない」
マーク「・・・・着いたよ」
私「うっ・・・・」
嫌々ながらタクシーを降りると、住宅地に薄暗い街頭がぽつぽつとあるだけの非常に寂しい雰囲気である。なにより空気が淀んでいる、そして重い。
こんな経験日本ではまずすることはないだろう。私が呆気にとられていると
マーク「私から離れないで!ここ少し危険!!」
今まで陽気に優しい声で話していたマークの声色が一変したことに驚き、マークの方を振り向くと
私(心の中)「レンジさんちっかっ!!マークとの距離ちかっ!!」
レンジさんは、冬場の寒さを凌ぐサルくらいの近さでマークの近くにしっかりと位置し、安全を確保していた。
急いでマークに近寄り、後をついていった。
辺りには店らしきものはなにもない。あるのはボロボロの家ばかりだ。
マークはタクシーを降りたすぐ先の民家へ進んでいく...
次回 フィリピンでデート!?ついに一日限りの恋人をつくるのか!?