[前回のあらすじ]

フィリピーナ彼女とその家族と共に、フィリピン ダバオ旅行へ。二日目、旅の目的とする「アポ山」を無事に見ることができた。そして、長時間のドライブを経て、ようやくホテルに帰着したのだが、彼女が不穏な空気を出し始める。

【レンジブログ109】フィリピンの最高峰「アポ山」をこの目で見る

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

[レンジブログ第一章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

[レンジ外伝第一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた

 

 

 

【レンジブログ110】ダバオのロハスナイトマーケットでパンティ購入

 

マルコが放った一言。

それは強く耳を疑った。

しかし、彼女は確かに「これからモールに行きたい」と発音した。

 

話を聞くと、「明日履く白パンツに “ 合う色のパンティ ” を忘れた。今から買いに行きたい。」と言うことだった。

 


[フィリピンのモール下着売り場イメージ]

 

私はワラにもすがる思いで父親を見るが、こちらのことは無視。

「お前達だけで行ってこい。」と言わんばかりに、既にTVに集中していた。

 

(私の心の中)「おいマルコ、いいか。まず、ホテルへ戻ってくる前に気付いてほしかった。そして、私の “ もう動きたくありません。” と言う空気を感じろ。仮にも、少しは申し訳なさそうなフリをするのだ。明日は、白パンツに赤パンティでも良いではないか。あるいは、持ってきたパンティをハサミで切ってTバックにするのだ。それが嫌なら、ノーパンで過ごし、一日ゴワつけ。私はもう動けない。」

 

など、言えるはずもなく。

 

私「Okay, let’s go!(わかった、行こう!)」

 

これからマルコと二人で、今夜もモールへ行くことに。

 

しかしそう言えば、そろそろ午後9時だ。

モールはもう閉まるのではないだろうか。

 

私が「やっぱり今日はもう諦めて、明日の午前中にしたら?」と聞くが、彼女は諦めない。

逆に次第に腹が立ってきたようで、「明日の下着がないのはレンジの責任だ!」と言うめちゃくちゃな展開になってきた。

 

どないやねん。

 

それでは ” マーケット ” はどうかと提案する。

 

マルコは多少納得行かない様子であったが、目立たない色の下着を手に入れることが優先のようだった。

彼女の表情が一瞬落ち着いたとき、私のスマホで周辺のマップを彼女に見せる。

 

せっかくなので、ホテルから少し距離があるが、ダバオで最も有名な「ロハスナイトマーケット Roxas Night Market 」へ行ってみるのはどうかと提案した。

そのマーケットは、ホテルから車で15分ほどの場所だ。

 

マルコ「I see. It’s okay. (わかりました。そこでいいよ。)」

 

私とマルコは二人で、車に乗り込み、ホテルを再度出発した。

 

[ロハスナイトマーケット アクセス]

 

 

ダバオの中心部に位置するこのロハスナイトマーケットは、日中はただの道路なのだが、夕方から歩行者天国のマーケットになる。(後に確認すると、路上に露天のスペース目印が数多く描かれていた。)

そして、夜間は多くの買い物客で賑わうとのこと。

 

私たちは夜のダバオ中心部へ向かった。

 

中心部はさすがに交通量が多く、マニラを思い出す。

 

幸い、ナイトマーケットすぐ近くにパーキングが見つかり、そこへ車を止めた。

 

しかし、マーケットへ入ろうとしてから、周辺の「警備の濃さ」に少し驚く。

軍の装甲車が路肩に何台か止められており、銃を備える軍人の姿もあった。

 

ここって、もしかして。

 

去年、「多数の死傷者が出たテロの現場」じゃなかったか? 今思い出してきた。

 


[マーケット入り口にて、軍とダバオ警察のセキュリティチェックを受けた。]

 

おいおい、そう言えば幹線道路では軍が厳しく検問していたし、もしかしてダバオはめちゃくちゃ危険な土地ではないか?

ミンダナオ島でのイスラム過激派のニュースは、日本でも良く聞くところだ。マニラより余程危ないのでは。

確か、激しい戦闘のあったマラウィと言う街はここからかなり離れているはず。最近は落ち着いたと聞くが、大丈夫だろうな。

 

急激に不安になる。

 

しかし、私は「三歩進むと忘れる、メンタルバカ」である。危機管理能力ゼロ、戦地で真っ先に命を落とすタイプである。

ナイトマーケットの盛り上がりと、マルコと久しぶりに二人っきりになれたことで、頭の中はすっかりお花畑であった。

 


[マーケット内は大変な混雑。]

 

このマーケットの雰囲気は、ルソン島のものとよく似ていた。

同じフィリピンなので当然と言えばそうか。

 

例えば、マニラ バクラランのナイトマーケットとほぼ同じ、あるいはそれよりも規模は小さいようだった。

唯一、「飲食露店」の数と魚介類の種類が充実しているかなという印象であった。

 


[腐った色のイカの姿バーベキューが気になった。]

 

マルコが一人で先にマーケットの中を進んでいく。

私は周辺の写真を撮りながら、後ろをついて行く。

 

そしてついでに、あくまでついでにだが「ダバオ美人」を探す。すでに何人か美しい人とすれ違った気がしたからだ。

ダバオ、なかなか美人が多いではないか。

 

マルコが私を振り返る度に彼女へ視線を戻す。「後ろからでも君をずっと見てるよ!」という振りをしながらも、周りの女性をブスな視線で探索する。

 

それにしても人が多い。

年末のディビソリアとまでは行かないが、大変な混雑だった。ダバオもさすがフィリピンと言ったところ。

 

マルコは何軒か下着屋を周り、お気に入りの何着かを選んでいた。

 

一体何泊するつもりだ? と尋ねたい枚数ではあった。

加えて、「明日のマルコのパンティは100ペソくらいのやつか。」と考えてしまうと、興奮も冷めてしまう。考えすぎかもしれないが、本音だった。

 


[大量の衣料品が格安で売られていた。]

 

また彼女は、親戚や親しい友達へのお土産として、「I Love(ハートマーク) Davao」のTシャツも何着か購入していた。

マルコは自分のファッションセンスには厳しいのに、他人のものはどうでも良いらしい。

それを着ても後ろ指差されないのは、ディズニーリゾートかUSJくらいだぞ。

私は「それ良いね!」と心にも無いことを良いながら、彼女の買い物に付き合った。

 

物価はモールよりかなり安いが、マニラのマーケットとはほぼ同じのように感じた。

 


[おなじみ食欲テロリストのバーベキュー]

 


[女性が喜びそうなスイーツも充実]

 


[地元の人も食事を楽しむ]

 

 

そして、買い物が落ち着いたところで彼女に聞いてみる。

 

私「Do you wanna eat some snacks? (何か食べる?)」

 

しかし、彼女は「家族がお腹空かして待っているのに。早く帰らないと。」と言う。

おっ、おう。それはそうだ。

 

何故か急に私が悪者の空気となったところで、そのままマーケットを後にした。

 

それでも助手席のマルコは、明日の下着を手に入れ満足そうだった。

マルコ「Let’s go back our hotel!(ホテルに戻りましょう!)」

 

とりあえず、良かった。

 

 

再び15分ほどかけて、ホテルに帰着。

 

私の疲れはピークを通り越していた。

今度こそ休むぞ。今夜はもう絶対ホテルを出ないぞ!

 

部屋に戻ると、ダイニングにはティラピア料理が用意されていた。

 


[ティラピアの素揚げ]

 

他の家族はすでに夕食を終えていたようで、シャワーを浴びたりTVを見ていたりと既にリラックスムード。

 

私とマルコの二人だけの食卓だった。

 

母親が料理してくれたものは、少し泥臭さが気になったが、味は美味しかった。

このティラピア。それにしても、マルコの釣り上げた魚だと思うと、何だか笑える。

 

彼女は得意げな表情を私に見せ、「美味しいでしょ! 私のおかげで、この夕食よ!」と言わんばかり。

まぁ、可愛いものである。

私は「はいはい、ありがとうございます。」と、お礼を言う。

 

それ以降、特に会話は無かったが、家族旅行二日目の夜ともなれば皆とお互いの理解はさらに進んだように感じていた。

 

この旅行はどちらにしても、人生において何かしら収穫のあるものとなるだろう。

 

 

そして、彼女のゲップが、食事の終わりを告げる。

 

 




 

 

この夜も父親と遅くまで語り合った。

主にはニュース番組について、お互いの意見を述べ合うものだった。

 

私はこの時「お酒」を勧めてみたが、父親は「事故で片足を失って以来、酒は止めた。」とのこと。

体調管理のためか、もしかして、飲酒運転だったのだろうか…。

 

気まずく感じた私は、それ以降この旅でお酒を飲むことはなかった。

 

 

そして、日付が変わったところで、

 

父親「Thank you very much, Range. It was great memories today. Good night. (本当にありがとう、レンジ。今日は素晴らしい思い出になったよ。おやすみ。)」

 

父親は幸せそうな笑顔を浮かべ、部屋に入って行った。

 

私も休もう。

 

この日はきちんとシャワーを浴びてから、ソファに横になった。

 

 

そして、旅行三日目が幕を開ける。

 

あのシーンが近づいていた。

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

4 コメント

  1. レンジ様
    新年早々毎日二連チャンありがとうございます!小説のように毎日楽しく読ませて頂いております。
    家族旅行五人分の出費もさることながら気力体力も相当必要なんだろうなとレンジさんのご苦労を感じます。それにしても本当にパワフルですねレンジさん。
    今後の展開も気になります。
    今年もどうぞよろしくお願いいたします。

  2. 面白いですねここ。
    私もフィリピンに通いもう10年になります。南国に行きだした頃を思い出しますね

  3. かーわんさん、コメントありがとうございます。
    そうですね、年始からずっとブログ作業でしたので今週からは少しペースを落としたいと思います。
    今年もよろしくお願いします。

  4. さださん、コメントありがとうございます。
    私もまだまだ勉強中であります。
    今年もよろしくお願いします。

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