[前回のあらすじ]

フィリピーナ彼女とその家族と共に、フィリピン ダバオ旅行に。二日目の朝、父親が作った朝食を食べる。一行は、フィリピン最高峰の「アポ山」を目指す。

【レンジブログ107】フィリピーナと家族旅行。父親の手料理を食べる

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

[レンジブログ第一章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

[レンジ外伝第一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた

 

 

 

【レンジブログ108】フィリピーナ彼女と旅行。目的のアポ山に到着?

 

 

ダバオの市街地を抜け、次第に周囲は田舎道に変わっていった。

 

そして、ホテルから30分ほど。

エデンパークの麓までやって来た。

これから山道を登る。

 

この先の道のりは長い登り坂ではあるが、グーグルアースで確認する限り全て「舗装」されているようで、車の運転は問題なさそうだった。

事前情報では、「ダバオは舗装されていない道が多い。運転にはSUVが必須。」と言うものがあったが、下調べの段階ではその必要性を感じなかった。

 

予想通り、セダンでも問題なく走れる道路がエデンパークまで続いた。

 


[ダバオ周辺道路は綺麗に舗装されていた。]

 

ただ、山道には現地のトライシクルやジプニーが多く走っており、それらを待つか追い越すかでスピードはかなり制限された。

元々、制限速度がある道路のようだったので、問題はなかったのだが、日本の運転感覚からするとかなりイライラする速度だった。

 

そして、山道を登って一時間後。

我々はエデンパークに到着。相当な山奥だった。

標高が高いために肌寒く、霧が出ており、太陽は隠れていた。

 

入り口の雰囲気から察するに、どうやら地元でも人気の観光場所。

駐車場へ車を止めるための渋滞が出来ていた。人の姿も多く、賑わっている様子だった。

 

私たちは少し待ってから、駐車。

車を降りる。

 

私「We’re here!(着きました!)」

 

マルコ「Near Mt. Apo?(アポ山は近いの?)」

 

私「Yes. We’re here!(はい。アポ山です!)」

 

私は、「もうここがアポ山だよ!」と家族に伝えた。

 

マルコも家族も皆が楽しみにしていたところだ。

私も導けて大変光栄である。

マルコはスマホを仕舞い、嬉しそうにパークのゲートに向かっていった。

 


[エデンパークエントランス]

 

家族はさっそく、ゲート付近で記念写真を撮っているようだった。

 

私がカメラマンを申し出る。

 

1,2,3!

皆、満面の笑みだった。

続けて、何パターンか写真を撮る。

 

「レンジも入れ!」という言葉は期待しない。

期待しないぞ。

 

期待しないが、やはりその言葉は家族から聞くことはできなかった。

 

良い、良いんだ。

この旅はエスコート役に徹しよう。私は家族の後ろを付いていった。

 

そして、近くのスタッフに声をかける父親。

どうやら入園とそれぞれのアトラクションには「チケット」が必要らしい。少し戻ったところで購入しなければならないようだ。

 

マルコと母親は先にアトラクションの方へ歩いて行く。私は、父親と弟とともにチケット販売の場所へ。

 

忙しそうなカウンターに父親が話しかける。スタッフはとてもフレンドリーな印象だった。

彼が園内の説明を聞く。

 


[受付カウンターでチケット購入]

 

しかし、しばらくすると父親の表情が突然曇る。

 

振り向いて、なぜか言い辛そうに私へ話しかける。

 

父親「Range, here isn’t Mt. Apo.(レンジ、ここはアポ山ではない。)」

 

私「What!? (何!?)」

 

私は衝撃の言葉に目眩を覚えた。

 

詳しく聞くと、ここは「エデンパークでアポ山一帯ではある。しかし、ここからはアポ山は見えない。反対側からなら見える。そこへは車で3時間ほどかかるだろう。」と言うことだった。

 

 

ぶふぇっ!

 

こんなにモゲることがあろうか。視力が急に落ちる。視界が狭まっていく。

 

そんな。

 

ダバオ周辺のマップを確認したときには、このパークはアポ山の麓であったはず。

 

何かの間違いだろうと、もう一度グーグルマップを開き、衛星写真を注視する。

 

 

しかし、

しかし!

 

私は頬が引きつり、瞼が浮き、膝が震え始める。

震えはスマホを持つ手に伝わり、ディスプレイが揺れる。

私が感電したと、遠目に人々は思うだろう。

 

 

確かに、

確かに!

 

山脈が見える。

アポ山とエデンパークの間に山々がある。

 

 

そうなのか!!

ここからではアポ山は見えないのか!

 

 

しかし、これは実際に来てみないとさすがに分からないだろう。

 

私「Other side?(反対側へ?)」

父親「I don’t know.(わからない。)」

 

くそぉぅう、誰が悪いのだ!!

私か、私が悪いのか!

 

そうだ。どう考えても私が悪いのだ。

諦めるしかない。

この時、マルコの激怒を覚悟した。

 

父親は「こんなこともあるさ。」と言ってくれる。

弟は苦笑いだった。

 

私たちはそれを伝えに、マルコと母親の元へ。

しかし、彼女たちの姿を見失ってしまったようだ。

しばらく周辺を探してみる。

 

いた。

その時、マルコと母親は「釣り堀アトラクション」の方へ向かっていた。

そういえば、彼女は水族館など「魚」が好きなことを思い出した。

 


[釣り堀、バーべーキューエリア]

 

そして、どうやらそこで「釣り」をするようである。

 

私たちはその様子をとりあえず、上から眺めることにした。

彼女たちに「見てるよ!」と手を振る。

 

私自身未だ、「ここはアポ山ではない。」と彼女に伝える勇気が出てこなかった。

父親がおそらく私に気を利かせてくれたのだ。

ありがたい。心の準備時間だ。

まさか、遠くダバオの地で私の「土下座デンクリ返し」を披露することになろうとは。

 

マルコは竿を持ち、池の近くにいたスタッフに「釣り方」のガイドを受けていた。

針先にミミズを付けてもらい、池に落とすだけ、というシンプルなもののようだった。

池の中にはティラピアやナマズがいるようで、周辺の釣り客は歓声を上げながら釣りを楽しんでいた。

 

そして、マルコの竿にもヒットする。

釣り上げたのは良型のティラピアのようだった。彼女の嬉しそうな様子にこちらも安堵する。

マルコの得意げな姿を写真に撮る母親。

 

二人を眺める私の心境は複雑だ。

 

さらにマルコが、続けて何匹かティラピアを釣り上げる。

なかなかセンスがあるようだった。

 


[これはマルコではない。]

 

しかし、私は賑やかな場所で一人暗い気持ちに支配されていた。

 

この後、「ここは違う。」と伝えなければ。

 

その時、突然マルコの小さな悲鳴が聞こえた。

 

そちらを見ると、マルコが手を押さえて、うずくまっていた。

かなり辛そうだった。

 

父親がその場から「大丈夫か!?」と声を掛けると、

母親が「Bee!(蜂!)」と言う。

 

蜂だと? 刺されたのか?

蜂、ナイス! いやっ、違う。

 

マルコ、大丈夫かっ!?

 

私たちは彼女の元へ急いだ。

 

彼女はかなり痛そうに、刺された患部を見せてくる。すぐに赤く腫れ上がっていた。

父親は「大丈夫、大丈夫!」と笑う。

私は一応、心配している様子を伝え、彼女の手を取る。確かにこれは痛そうだった。

 

ただ大事には至らなかったようで、しばらく様子を見ていると、痛みと腫れは収まってきたようだった。

近くにいたスタッフが、彼女の患部に絆創膏を貼る。

良かった、落ち着いたようだ。

 

と、ここで父親が空気を読まない一言を放つ。

 

父親「Marco, it’s not Mt. Apo here.(マルコ、ここはアポ山ではない。)」

マルコ「Haah!? (はーっ!?)」

 

タイミングがあるでしょうよ、父親。

マルコの目線が私を刺す。

 

私は必死に説明し、「ここがアポ山だと思った。ごめんなさい。間違えました。」と素直に謝った。

 

しかし、彼女は無視。

蜂に刺される、しかも目的地でもない、という不幸続き。

彼女の怒りはMAXだった。

 

相談の結果、皆は「やはりアポ山が見たい。」とのこと。

山の反対側へは片道3時間ほどかかるが、「まだお昼だし、ゆっくり行こう。」となった。

 

私たちはその時点でエデンパークを後にした。

 




 

山を下っていく車内。

助手席、彼女の溜息を聞く度に私の心は崩れていく。

 

もう、日本に帰りたい。

 

父親「Marco, stop. You know he is very considerate. It’s his best. Give him a break.(マルコ、止めるんだ。彼は心優しく、ベストを尽くしているだろう。許してやれ。)」

 

慰められたら余計に泣きたくなるから止めてくれ。

フロントガラスの向こうが潤んで見えない。

 

でも父親よ、ありがとう。

今はマルコより彼に抱きしめられたい。

 

私たちは登ってきた山道を下り、再びダバオの幹線道路に出た。

ここから、ダバオ南部の「ディゴスシティ Digos City 」方面を目指す。ナビの Waze に依ると、ディゴスまで約2時間ほどかかるようだ。

 

途中、マルコの傷のため、ドラッグストアへ立ち寄る。

彼女は塗り薬を手に入れ、少し機嫌が回復したようだ。

 

さらに、海沿いの道は皆の気分をリセットさせた。

美しく気持ちの良い光景だった。

 


[海沿いはまさに南国の雰囲気]

 

私も再びドライブを楽しむことが出来るようになっていた。

 

また、確かにSUVしか通れなさそうな工事現場も通過。

戦地のような光景の中、恐る恐る進む。

私にとってはアドベンチャーだった。

 


[ディゴスシティに向かう途中、戦地のような道を通る。]

 

軍隊による「検問」も二カ所あった。

その都度、国際免許証とパスポートを提示。

しかし、特に咎めはなく、通過することができた。

 

そして、車内で眠る家族を乗せ、午後3時を過ぎた頃。

 

ようやくアポ山が見える「サンタクルーズ Santa Cruz」と言うエリアへ入った。

 

周辺は再び山道であった。

 

しかし、また私を悩ます事案が発生する。

 


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