フィリピーナ彼女とその娘

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

 

[レンジブログ前回のあらすじ]

フィリピーナ彼女と連絡を取り合う。二年間、会えなかったがようやく再会することができた。

[前回記事]
【レンジブログ176】二年ぶりにマニラでフィリピーナ彼女と再会!

 

レンジブログは第三章で完結しています。

そして、それ以降のエピソードが「オノケンブログ」の内容になります。

オノケンブログ

[オノケンブログ第一話]
オノケンブログ第一話「転落と後悔」
オノケンブログ累計400万PV達成 第一話へ

また、レンジ個人のその後のエピソードは「外伝」という形で記述しています。

ここまで三つの外伝がそれぞれ完結しています。

 

 

【レンジブログ177】マニラオーシャンパーク(水族館)で家族デート

 

日曜の昼過ぎ。

マニラのオーシャンパーク(水族館)にて。

 

タクシーを降りたマリーは、私に目で軽く挨拶。

しかし、すぐに入場ゲート付近へ一人で走り出した。

娘のマリアを私の元に残して。

 

「What!? (どうしたの!?)」

「Just wait! (待ってて!)」

 

私はマリアに「Hello. I’m Range. (こんにちは。レンジです。)」と自己紹介した。

彼女は恥ずかしそうに首をかしげ、母親の元へ走って行く。

私もその後を付いて行った。

 

オーシャンパーク チケット売り場
[入場ゲート付近チケット売り場]

 

マリーは一人でチケット売り場に立ち、チケットを購入しているようだった。

そして、私に「何か見たいものある?」と聞いてきた。

特に無かったので「No. How’s Maria? (無いよ。マリアは?)」と聞くと、マリーはおおよそのチケットを定め、三枚購入し始めた。

私は傍に行き、どうぞと3,000ペソを渡そうとした。

 

「No. no need. (いい。いらいないわ。)」

マリーは断った。

私も少し食い下がったが遮られ、ただその様子を見守った。

 

どうしたのだろう。なぜそんなに急いでいるのか。

 

チケットとおつりを手にしたマリーは、再びタクシー乗り場の方へ一人で走って行った。

どうやらタクシーでは「おつり」が足らなかったようで、ちょうどの金額をチケットのおつりから作ったようだ。

タクシー代を払い終えたマリーが階段を上って来る。

ようやく事態が落ち着いたようだ。

 

フィリピーナ彼女とその娘
[マリーと4歳のマリア]

 

「Long time no see, Range. (久しぶり、レンジ。)」

「Yeah, two years. It’s been a long long time! (そうよ、二年ぶり。超久しぶりよ!)」

「How are you? (元気?)」

「I’m fine. I’ll pay tickets and taxi? (チケット代とタクシー代払うよ?)」

「No. It’s okay. Please treat us dinner later. (いい。大丈夫よ。後でディナー代出して。)」

「Haha I understand. (はは。わかりました。)」

「She is my daughter, Maria. (彼女が娘のマリア。)」

「Yeah, I know. Before, we had chat on Video call. Right, Maria? (ええ、知ってる。前にビデオコールしました。でしょ、マリア?)」

 

マリアは実物の私を見て、ニヤーっとした。

 

そして、嬉しそうに私の膝元に抱き付いてきた。

うおっ!

人見知りをしない性格なのだろうか。強めのタックルをかましてきた。

それともオーシャンパークのマスコットだと思っているのか。

もう私に懐いてくれているようだった。

 

ーー私はマリーからチケット用のステッカーを受け取り、彼女とマリアの手首に巻き付けた。そして、マリーが私の手首に付けてくれた。

 

マリーはエントランスの列に並ぶ前に、付近の売店へ。

ミネラルウォーターを買うようだ。

私は「いいから。私が払うから!」と制したが、「これくらいは大丈夫」と言って聞かない。

彼女が購入してくれたペットボトルを二本持ち、ゲートへ向かった。

 

オーシャンパーク エントランスゲート前
[オーシャンパーク 入場ゲート前]

 

お昼過ぎの時間帯。

ゲート前には多くの入場者の姿があった。これから園内は賑わうようだ。

 

ーー10分ほど並んで、パーク内へ入ることができた。

 

マリアは初めて訪れる場所だが、私もマリーも一緒にではないが以前に来たことがある。

この時私たちは、マリアがしっかり水族館を楽しんでくれれば良いなと思っていた。

 

オーシャンパーク 古代魚淡水エリア
[オーシャンパーク 古代魚淡水エリア]

 

それでも、はしゃぐマリアと同じく、マリーも嬉しそうに笑顔で、至る所でカメラを構えていた。

私たちはお互いにカメラを回し、ツーショットやスリーショットを自撮りで撮って行った。

以前、マリーはあまり写真が好きではなかった。自分にコンプレックスを持っているのか、私がツーショットを撮ろうとすると嫌がっていた記憶がある。

こんなところも変化したように感じた。

 

ーーパーク内を先に進むほどお客さんの姿は増えていった。

日曜の午後、フィリピンの理想的な休日の過ごし方のように感じた。

 

オーシャンパーク 海中トンネル
[オーシャンパーク 海中トンネル]

 

「Marry, do you enjoy? I hope Maria also. (マリー、楽しい? マリアも楽しんでたらいいね。)」

「Yeah, I think she likes fishes. Coz her granpa is fisherman, diba? (ええ。彼女も好きだわ。お爺ちゃんは漁師だから、でしょ?)」

「Ah I see. (あー、そうだね。)」

「Oh my! Maria, don’t do that! (大変! マリア、それしちゃダメ!)」

 

マリアがガラスを叩いて魚にアピールしていた。それを見たマリーが躾のために強めに叱る。

おっ、おおー。

マリーが母親やってる。

 

「I’m careful not to spoil Maria. Oh Maria, don’t do that! (マリアを甘やかさないように注意してるわ。マリア、それしちゃダメ!)」

今度はマリアが水槽の端に足を掛け始めた。

それを母親が叱る。

ははっ。子育ては大変だ。まだまだ目が離せない。

 

私もマリーに加勢する。一応、ベーシックな英単語は通じるようで、親子の会話の多くは英語のようだ。

「Maria, please be careful. (マリア、気を付けてね。)」

そう声を掛けると、マリアは私の手を持ってきた。

そして、反対の手でマリーの手を持つ。

 

水族館ではしゃぐ子ども

 

マリアは嬉しそうに、全体重を私たちの腕に預ける。

 

「Range, will you come to our house? (レンジ、私たちの家に来る?」

背の低い目線から私を見上げて、恋しそうに声を掛けてきた。

 

「What? (何?)」

「You come house? (家に来る?)」

 

そのような言葉を掛けられて、私は子どもの本音を感じた。

寂しいのだろう。

父親のような存在がいないため、彼女は常に孤独を感じているのかもしれない。

日中働いているマリーとも週末しか一緒にいられないため、きっといつも寂しさを感じているのだろう。

母性も父性も足りていないはず。

 

オーシャンパーク
[オーシャンパークはマニラ最大の水族館]

 

その後、園内を巡り、途中の「ペンギンコーナー」では有料の記念写真を中で撮ってもらった。

 

オーシャンパーク ペンギンコーナー
[オーシャンパーク ペンギンコーナー]

 

三人でペンギンの餌を持ち、その様子を写真に収めてもらう。

この時撮った写真は普通の一家に見えたかもしれない。

 

オーシャンパーク 爬虫類
[オーシャンパーク 爬虫類コーナー]

 

このオーシャンパークはとても広く、その他にも「鳥類」や「オットセイ」などのコーナーもあった。

大人の足でも半日では全て巡れない。

 

ーー夕刻が近づくと、マリアがぐつつき始めた。朝早く、お昼寝の時間もなかったためだろう。

私に「抱っこ」をせがむようになり、私は彼女を抱き抱えた。

 

最初こそ、私の髪を引っ張り、目を隠し、鼻を舐め、腹を蹴るなどしてきたが、次第に大人しくなっていった。

 

フィリピン 子ども 子連れ

 

もう四歳なので、かなり重たい。しかも、マニラの屋外に出ると子どもの体温もあってとても暑い。

しかし、小さな彼女の寝息が聞こえてきた時は、心地よかった。

マリーは呆れた様子で、「マリア、歩きなさい!」と言っていたが、私が「いいよ、いいよ」と言い、そのまま寝かせた。

 

そして、陽が落ちかけた頃に、三人で「アシカショー」のブースへ。

マリアは完全に寝ていたが、マリーが「見よう!」と言う。

 

マリーはアシカの大ファンだった。

私とマリアをそっちのけで、ひたすらアシカショーを動画に収めていた。

その動画、どうするのだろう。後で見て、一人でニヤニヤするのだろうか。

 

そして、ショーが終わった後オーシャンパークを出た。

 




 

ーー私は、今夜彼女たちが帰る時刻を気にしていた。

パンパンガから午前中出てきた時には、計4時間掛ったと言う。

これから帰るにしても、自宅へ到着する時刻はかなり遅い。同じ時間くらい掛るだろう。

マリーは明日仕事と言っていたし、マリアの学校も心配だ。

 

「Marry. Are you okay? I think it’s evening time. What time is your bus? (マリー。大丈夫? もう夜だけど。バスは何時?)」

「From Qubao bus terminal. Mabye 7 or 8 pm? (クバオバスターミナルから。たぶん7時か8時かな?)」

「I worry Maria. (マリア大丈夫かな。)」

「She’s okay. (大丈夫よ。)」

「So are you hungry? What do you want to eat? (で、お腹空いた? 何食べたい?)」

「Uhmmm. How about you? (うーん。あなたは?)」

 

エルミタの夜の街
[オーシャンパーク付近、エルミタの夜]

 

マリーは時間は未だ大丈夫だと言う。

これから夕食を取るとかなり遅くなってしまうが……。

私たちはオーシャンパークから近くのレストランを提案し合った。

私はすぐ近くの「ハーバービューレストランが良いんじゃない?」と言ったが、マリーは中華料理が食べたいと。

 

「Emerald Restaurant! Ermita! (エメラルドレストラン! エルミタの!)」

「Yeah, good idea! (そうね、イイね!)」

 

そこは以前、マリーと一緒に食事をしたことのある場所だった。

マリーお気に入りの中華料理レストラン。地元の人でいつも賑わう人気のレストラン。

 

エメラルド 中華料理レストラン
[エメラルドガーデンレストラン(中華)]

 

オーシャンパークからは歩いて10分ほどのところ。

この時にはマリアは目を覚まし、自分の足で歩いていた。

 

エメラルド 中華料理レストラン
[エメラルドガーデン店内]

 

店内は多くのお客さんで賑わっていた。

ほとんどは大人数の家族か団体のよう。

約10人ほどが座れる円形テーブルのほとんどが埋まっている。

私たちは空いていた若干小さなテーブルに通された。

 

ーーすっかり元気を取り戻したマリアは「お腹空いた―!」と笑っている。

私はマリーに相談しながら、彼女が食べたいものと、マリアが食べられそうなものを注文していった。

 

エメラルド 中華料理レストラン
[このときのテーブル上]

 

食事を食べながら、オーシャンパークで撮った写真を見せあった。

特にマリーのお気に入りは、アシカショーだった。その動画を嬉しそうに見せてくる。

 

ーー食事が落ち着いてきた時、マリーが思い出したように聞いてきた。

 

「Range, do you have charger? (レンジ、充電器ある?)」

「No. Actually I need too. Mobile also. (ない。実は俺も欲しい。モバイルバッテリーも。)」

 

日中、二人ともスマホで写真を撮りまくっていたため、バッテリーが切れかかっていた。

 

「Do you have that in your hotel? (ホテルにはある?)」

 

「Yes? (あるけど?)」

 

「Your room. (あなたの部屋。)」

 

「What!? (何!?)」

 

「Charger. (充電器)」

 

「What do you mean? (どういうこと?)」

 

「Can I go now? (これから行っても良い?)」

 

 

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

12 コメント

  1. 良い話なんですよねぇ…色んなことに関してつっこむことが私の仕事ですが…次回の展開に期待しています!!

  2. 深いわぁ…
    クレイジーマニラの話はリアルで考えさせられる
    愛情十分で育ったはずの人間が犯罪者になったりするからねぇ
    作者の記述がまた絶妙に考えさせられる
    次話期待!

  3. レンジさん、幸せにしてやってくれ。無責任だとわかってる。マリアの父親に怒りを覚えるわ

  4. マリーもレンジさんにずっと不信感持ってたんじゃないかな。レンジさん、クソほど遊んでる事分かってて今まで。ようやく本来の気持ちに彼女も気付き始めた??
    ワクワク!
    あれっでも娘さん居るよ??どうなんの??

  5. いつもモゲてるエピソードより、こんなの待ってたんですよ!
    不幸話より、たまには登場人物の幸せを読者は読みたい!

  6. レンジさんの執筆に感動し、感謝です。マリーさんや娘さんの心情の変化もよく描かれてます。
    いつも引き込まれますね。
    上の方も言ってますが、小説やドラマ以上の脚本です。
    見てみたい…

  7. レンジさんの人柄の良さが文章にしっかりと現れてます。
    普段ブスの振りをしているようですが隠せてませんね。中身、ポギでカインドなナイスなガイでしょう、きっと。だから、女性が心を開きます。お金目的の場合はご愁傷様ですね笑

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