フィリピン マニラ 旅行

 

ーー昼過ぎに目が覚めた。

 

さて今日の午後は忙しいぞ。これから大使館へ行って書類を提出。その後は私のPCR検査の結果を確認しなければならない。

 

爆睡しているマリーの顔面付近におしり探偵並みの放屁を炸裂させた。

「What!? Oh god! What a fxxkin gas! (何!? 臭っ! ヤバっ!)」

「Good morning! (おはよう!)」

「You are killing me! It smells terrible..(おはようじゃねぇよ! 毒ガスじゃねぇか)」

 

ーールームサービスを頼み二人で昼食をとり外出準備。私たちは大使館へ向けて出発した。

 

 

【レンジブログ211】フィリピン人と結婚手続き開始もPCR陽性!?

 

 

ーー行きのタクシーの中でお互いの書類を確認する。

「Family register, passport and other official documents.. How about you? (戸籍謄本、パスポートその他公文書…… マリーは?)」

彼女はカバンから数枚の書類を取り出す。

「IDs, birth certificate.. (身分証明、出生証明……)」

 

ーー大使館に到着し館内の担当窓口へ二人で向かう。

ここで取得したいのは婚姻要件具備証明書(独身証明書)だ。それをもって現地役所にて婚姻許可証の取得、婚姻証明書の取得という流れになる。

その後日本の役所で上記書類一式とともに婚姻届を提出すれば晴れて正式な夫婦となる。届け出はフィリピンの日本大使館でも良いらしいが彼女の希望もあり結婚とともに日本へ移住する予定だ。

 

ーー1時間ほど待っていると私たちの名が呼ばれた。

担当者がマリーの書類をチェックし始める。

私も自身の提出書類を手にまとめ後ろから観察する。

 

しばらくすると何だか様子が変だ。何か揉め始めた?

マリーが何度か質問していたが担当者が首を横に振っている。

どうやら彼女の書類に不足があるらしい。『日付がダメ』とか『この出生証明書だけではダメ』のようなことが聞こえてきた。

マリーは「出直さなきゃならないみたい。でも大丈夫すぐ準備出来るから。また改めましょう」

……今日のことにはならないのか。

 

私たちは大使館を出た。

 

ーーマリーは「今夜も太客が来るから仕事は休めない。同伴は出来るから。そろそろ戻って準備するわ」と言う。

私もこの後PCR検査の結果を待たなければならない。

後の合流を約束しここで一度解散することにした。

 

別れ際マリーに私の書類を預けた。「マリーが持ってて。書類がちゃんと揃ったら一緒にまた行こう」彼女への絶対的な信頼と忠誠を示すつもりもあった。

彼女は「本当ごめんなさい。私の書類に問題があったらしくて」と残念そうだ。

私にとっては急ぐ話でもない。今回が難しければ来月でも良い。海外渡航は今後緩和される見込みなのでいつでも渡比出来る。

マリーに「いいよ。愛しているよ」とキスをした。

 

「See you later. (また後でね)」

それぞれタクシーに乗り私はマラテへ。彼女はマカティへ向かった。

 

ーータクシーを降りてコンビニに立ち寄る。

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ビールとおやつ、ホットフードをいくつか買った。

 

ーーバーチタワーに戻りスナックを食べていると、一件のメールに気付いた。

PCR検査の結果だ。

緊張しながら開封する。まるで合格発表のような感覚だ。

 

その中に赤い文字を発見。

『Positive(陽性)』

私は目を擦りもう一度見た。

『Positive(陽性)』

一文字もスペルは変化していなかった。

私は衝撃のあまり数秒視力を失った。

くそおぉぉう! どういうことやねん!

いや怒り狂っている場合ではない。ケンさんへ連絡しなければ。今後私は予定を大きく変更しなければならない。その煽りを食らう彼にはただただ申し訳ない。

ってか何で陽性やねん! くそがぁぁあ!

 

「ケンさん、ごめん」

「どうかしたんですか?」

「俺『Positive』だった」

「『前向きな』ってことですか」

「違うよ。陽性ってこと」

「うえっ!? マジっすか。どうするんですか?」

「困ったな……」

 

ーー私はケンさんとの通話を終えて今後の指示を仰ごうとクリニックへ電話した。

私が「陽性を知らせるメールを受け取った」と説明すると「はい? いや『陰性』ですよ。書類を取りに来てください」と。

「えっ?」

事情はよく分からないがクリニックにある書類には『Negative(陰性)』とあるらしい。

どういうことやねん…… 頼むわもう。

 

ーークリニックにて確認。渡された書類の一枚目にしっかりと『Negative(陰性)』とあった。

スタッフの話では「送信先のメールアドレスに他の患者との行き違いがあったのかもしれない」と。落ち着いて読むと確かにメールの中にある名前が異なっている。

なるほど。マニラらしいっちゃそうだが勘弁してくれ。こちらは冷や汗で豚汁が出来るほど体液が出た。

 

私はお礼を言ってクリニックを出た。

 

夕刻のマニラ

 

ーーまぁ良かった。無事に陰性証明書を手に入れて機嫌が良い。この旅で最も危惧していたことの一つが解決した。

怖いものは消え去った。これはもう奇人のように飲み遊べということだ。何処へでも行くぜ。

まずケンさんに歓喜の電話をした。

「我は武神レンジなり。天に愛され民を導くものなり」

「何ですか。気でも触れましたか」

「陰性だった」

「は? どういうことですか」

「なんかよく分からんが陰性証明は今手元にある」

「えっ、良かったですね!」

「うむ。つまりようやく本気で戦えるということだ。ブルゴス行く?」

「いやもう勘弁してくださいよ……」

 

後の合流はお互いの状況次第で検討しようとなった。

 

私はマリーに電話を入れた。「陰性だったよ。この後どうする?」と聞くと「ダシュタニホテルで待ち合わせでどう?」と提案があった。

私は了解してマカティへ向かった。

 

ーーホテルに着くとマリーともう一人の姿があった。娘のマリアだ。

 

「Tito! (豚のおっさん!)」

どぅわっ! 彼女は勢いよく私に飛びついてきた。ってか背伸びすぎだろ。この二年間でどんだけ成長したんだ。もう中学生くらいあるぞ。

「You are very tall. (背が高いね)」

マリアは誇らしげに笑っていた。

 

ーー私たちはホテルの中に入りラウンジで夕食をとった。

マリーは「今夜はマリアの世話をする人が居なくて。明日からは叔母さんにお願いしてるんだけど」と。私は「この後どうする? マリアが一緒だとお店に入れないんじゃないかな」と心配になった。

マリーはスマホを取り何処かへ電話をかけ始めた。おそらくお店のスタッフだろう。マリアと私のことを説明しているようだった。

 

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彼女は感謝を述べ笑顔で電話を切った。

「Come with me. I told I’m going to take my family. They said Okay. (一緒に来て。家族を連れていくって伝えたわ。オーケーだって)」

「Really? (本当に?)」

「Yeah, but child no alcohol, only juice and karaoke. (ええ、でもアルコールはダメ、ジュースとカラオケだけね)」

「Yeah, of cource. (もちろん)」

 

夕食を終えエントランスでハイヤーに乗った。

 

ーーマリーに先導されお店に入る。

周囲の女性たちはマリアに興味津々。彼女は嬉しそうに「My mom and step dad, fat! (私のお母さんと豚のお義父さんです」と私たちの手を取る。

 

一階のVIPルームへ。

マリーはマリアに「良い子にしてるのよ」とスマホを渡した。マリアは私の横ですぐにスマホゲームを始めた。

 

ーードレスアップしたマリーが入ってきた。

彼女は「たぶん太客は9時くらいに来るから。その後はマリアを連れてマラテに戻って。私も仕事が終わり次第向かうから」と。

 

私とマリアは一緒にスマホゲームをしながら時を過ごした。

 

マリーは忙しそうに部屋を出入りし始めた。予定より早くお客が来たようだ。しかも複数組。

何だかんだ人気嬢じゃん。小さくない嫉妬を覚えながら私はカラオケを一曲入れた。

マリアも私に続き曲を入れる。二人でカラオケ合戦が始まった。

 




 

マリーと一人の女性が入ってきた。その女性とマリアは面識があるようで親しそうに話している。どうやらマリーたちの遠い親戚らしい。

私も紹介を受け「結婚おめでとうございます」と言われた。まあまあの美人にそう言われてちょっと照れた。

マリーは彼女に何か指示をして部屋を出ていった。私へのヘルプだが同時にマリアの相手を頼まれたらしい。

二人は姉妹のようにゲームで遊び始めた。

 

ーー時刻は午後9時を過ぎていた。

私はそろそろ出ようかなとチェックを入れようとした。

マリーを呼び出すと「さっき延長入ったわよ。このセットで終わりにすれば」と言う。

手持ち無沙汰が続いていたので早く出たかったのだが。

 

私はケンさんに電話を掛けた。「マカティに来ないか」と。彼は頑なに断ってきたが私が押し通した。

「お店の前に来たら連絡して。そのタイミングで店出るから」

「分かりました。10時前くらいですね」

 

ーーケンさんから「もうすぐ着きます」と連絡が入った。

マリーにその旨を伝えるとなぜか部屋を出ていった。

 

しばらくするとケンさんを部屋に連れてきた。

 

何だ? 何故だ?

 

マリーはケンさんに尋問を始めた。

 

「What happened the night, first day? You must explain. (初日の夜の出来事を詳しく教えろ)」

 

ゴリラは「ウホッ?」とキョトンとしている。

 

これはあかーん!

 

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

6 コメント

  1. ランキング1位ですね✨おめでとうございます🎉

    イヤイヤ、結婚までの流れが早いですね😅まぁ、書類不備はよくあることみたいですけど💦いよいよ身を固めますか⁉️
    さて、その前に修羅場ですね🤣

    • ありがとうございます!さて今週も始まってしまいました。自らの傷を舐め直すような複雑な気持ちで頑張りますw

  2. 陰性かどうかはともかく、あなたはポジティブです。それだけは確かです。あなたほどのポジティブ人間はそうそうにいません。

  3. うううん、、
    どこまでがリアルでどこまでが小説なんだろう?
    と推測しながら楽しめる読み物な感じです。
    やっぱりレンジさん、すげー(笑

    しかーし!
    こうもサラっと書かれてしまうと、読み手としては
    どう受け止めて良いやら悪いやら・・・
    (・・・結婚パート・・・)

    な〜んか最後まで明かされないであろう種明かしに
    ドキドキ・ワクワク?

    いやはや参りました。。(まだ終わってないですけどねw)

    • コメントありがとうございます。登場人物の名前とお店の名前は架空のものです。ストーリーはノンフィクションです。記事の至るところに伏線入れております。ぜひ最終話のオチを予想してみてくださいm(_ _)m

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