朝食を食べた後、少し部屋でトレーニングをしたり、タブレットで動画を見たりしていた。
レンジさんは昼ごろに起床したようだ。
実はレンジさんはマニラで会社を経営している。私たちが泊まっているホテルから近いとのことなので、その会社を見せてもらいに行くことになった。
レンジ「さて、歩いていけない距離でもないけどどうする?タクシー使う?」
私「どちらでもいいですよ。僕は非常に元気です」
レンジ「どうしようかな…じゃあ、トライシクル乗ってみる?」
私「トライシクル?」
トライシクルとは、バイクの横に人用の荷台をつけたフィリピン流バイクタクシーである。
マラテ内を歩くと、そこら中にトライシクルがあり、その運転手の男の人から全く聞き取れない言葉で勧誘される。
きっと
運転手「お前たち、俺と一緒に風をきって走ってみないか?」
のようなことを言っているのだろう。
私もこの乗り物には興味があったので、2人してトライシクルでレンジさんの会社まで行くことにした。
レンジさんが近くにいたトライシクルのお兄さんに値段を聞き、いざ乗り込んだ。
私は友人から“凶器の肩幅”と言われるくらい肩幅が広い。レンジさんは細身ではない。太い。
そんな男二人が乗るとさすがに窮屈で側面から落ちないように気を付けなければならなかった。
運転手はこちらの合図を確認することなく、急発進しはじめた。
レンジ&私「うおっ!?」
ものすごいスピードである。レンジさん、私、そして運転手の合計体重はおそらく200kg程度はあるのにもかかわらず、バイクの排気量は125ccといったところだろうか。
バイク「いやいや、お前ら重すぎるやん?それに重すぎるのに、いきなりフルスロットルってなかなか無理させるやん?」
と言っているようなバイクのエンジン音。
そんなバイクの声は聞こえないのだろうか、運転手はさらにスピードを上げる。
バイク「いやいや、無理やって。俺、爆発するって」
断末魔のようなバイクの悲鳴(エンジン音)がさらに大きくなっていく。
大きくなるバイクの悲鳴と加速するスピード。しかも2人が乗っている荷台からは前方が全く確認することができず、確認できるのはバイク横をものすごい勢いでギリギリを通り過ぎていく人や車たち。
挙句の果てには時間短縮のためか、反対車線に飛び出し、逆走をし始める始末。早く目的地に到着させてあげたいという運転手なりのサービスだろうか、こんなにもいらないサービスは今まであっただろうか、いや、ない。
私が今まで乗ったどんな絶叫マシンよりも絶叫ものだった。
マニラにいるだけでも十分なスリルを味わうことができるが、昼にスリルを味わいたい方にはおすすめである。
ぜひ運転手に
「目的地までできるだけ早く行ってくれ。早く到着したら、運賃を倍出すよ」
と伝えてほしい。日本では体験できないリアルな恐怖体験ができることだろう。
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