マニラ マカティ 街の写真

 

[前回のあらすじ]

フィリピーナ彼女とその母親とともに、日本入国のためのビザを申請する。申請に必要な書類をお互い準備して、場所はマカティの旅行代理店へ。その後は、日本の冬に備えて、彼女のショッピングが始まる。

[前回記事]
【レンジブログ141】フィリピーナ彼女の来日ビザを一緒に申請する

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

 

[序章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

[第一章第一話]
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ

[第二章第一話]
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る

[第三章第一話]
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。

 

レンジブログは第三章で完結しています。

それ以降のエピソードが「オノケンブログ」の内容になります。

[オノケンブログ第一話]
オノケンブログ第一話「転落と後悔」

 

また、レンジ個人のその後のエピソードは「外伝」という形で記述しています。今まで二つの外伝がそれぞれ完結しています。

[外伝一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた

[外伝二章第一話]
【レンジブログ121】フィリピンから帰国、その日にフィリピンパブへ

 

 

【レンジブログ142】来日前のフィリピーナのショッピングに付き合う

 

ビザの申請を終えた私達。

時刻は昼過ぎ、帰宅には未だ早い。

三人で、近くの『アヤラセンターマカティ Ayala Center Makati』と言うモールへ向かった。

 

マカティのモール Ayala Center Makati
[アヤラセンターマカティは現地の高級モール]

 

この付近には『グリーンベルト公園』を囲むようにモールがいくつか集まっている。

マニラでは所謂『物価の高いエリア』である。日本と同等かそれ以上のこともある。

 

ーー嫌な予感しかしない。

私はただの『財布』だとしても、これから始まる彼女の買い物に付き合うのは恐ろしい。

この一帯で買うなら、日本のネットショッピングを利用した方がはるかにお得だ。

 

そして、その予感は当たる。

 

ーーまずはスーツケースが欲しいと言うことで、モール内を歩く。

マルコにはお目当てのものがあるようで、さっそくその店舗へ。

 

マニラのモールにて スーツケースショップ「サムソナイト」
[アヤラセンター スーツケースショップ]

 

さっ、サムソナイト……。

色んな意味で寒気がしてきた。マジか。

ドラクエで言えばいきなり『メタルキング鎧』だ。

 

私のスーツケースなどノーブランドの安物、大きめサイズのやつでも一万円程度のもの。

しかし、現代のスーツケースは安物でも十分に頑丈。世界何処へ行こうが、それで十分なのだ。

 

私はマルコに軽くジャブを打った。

「This brand is expensive.(このブランド、高いでしょ。)」

「Yeah, I know. It’s famous. Luxury and high quality. I need that. Diba?(ええ、知ってるわ。有名だもの。高級で高品質。私には必要だわ。でしょ?)」

 

……必要ねぇし、「ディバ?」じゃねぇ。

それを持っていいのはエリートサラリーマンか準セレブ以上の人だろうに。

ただのスーツケースならマーケット品で十分だ。

一体何処に行く気だ? 目的地は日本だぞ。

 

しかしマルコは私の制止を無視し、店内へ。私も苦笑いの母親とともに続く。

そして、彼女はさっそくお気に入りのモデルを見つけたようで、店員と話を始めた。

 

私が気になるのは、その値札。

頼む、見せてくれ。まず、値段を教えてくれ。

 

スーツケースの値札

 

ぶふぇえっ!

さっ、36,000ペソ!?

日本円で約8万円、ノーブランド品なら8個も買える値段ではないか。

それは高すぎる。

いきなりこの買い物が続くのなら今日の総支払はいくらになるのか。

……膝が震えてくる。

 

私は平常を保ちながら「ちょっと良いヤツ過ぎるんじゃない?」とオブラートに伝えた。

さらに母親に同意を求めると、「そうね、これは良い製品だわ!」とだけ。母親から助けは出ず、ほぼ知らん顔。

私はもう少し食い下がった。

 

しかし、こだわりの強いマルコは全く譲らず。

私に「はぁ? 何でよ。今後もあなたと海外旅行を重ねるんだから一番良いのにしないと!」と言う。

 

ぐううぅ。

それを言われると何も言い返せない。

 

「And I like fashion. I’ll bring many clothes for Japan. So I need the biggest size. (あと私はファッションが好きだから。日本にたくさん服を持って行かなきゃ。だから一番大きなのが必要ね。)」

 

軽く殺意を覚える。

 

しかし、既に交渉に負けた私は、財布からカードを出していた。

今さら店を変えようなど言えば『Anymore』が飛んでくるだろう。それは避けたい。

一応、店員に小声で「Discount?(割引ある?)」と聞いてみる。

苦笑いとともに「No, sir. Sorry.(いいえ、ダンナ。申し訳ありません。)」と返事が返ってきた。

 

定価か……。

私は身を斬られる思いで支払いを済ませた。

 

ーー新品の大きなスーツケースを私が運び、次のショッピングへ。

 

続いては、衣料品。

彼女から『ヒートテック』と言う単語が出てきたので、『ユニクロ』に行くものと思っていた。

 

しかし、

 

マニラのショッピングモール「ZARA ザラ」

 

くそおおうっ!

何でまた1.5倍ほどの物価の店に……。

 

「You know I like ZARA. It’s popular in Japan also. Diba? (私がZARA好きなの知ってるでしょ。日本でも人気。でしょ?)」

「..Yeah, nice brand!(……そうだね、良いブランドさ!)」

 

私は諦めた。「またどこかで節約すれば良い。今はただ彼女に最高の笑顔を」と前向きに考えることにした。

また確かに、彼女には高級ブランド品とは言わずともそこそこの物を着てほしいし、持っていてほしい。先進国で外を一緒に歩くのだから、後ろ指を指されるような格好は絶対にさせられない。

普通の日本女性が着るような一般的なクオリティの服であってほしい。

もちろん、それらは自分で用意してもらいたいものだが……。

 

ーーショッピング時、マルコに妥協はない。

おそらく前もって新作を調べていたのだろう。

一直線に彼女の目当てのコーナーへ。

 

彼女は色違いのジャケットを手に取り、試着室へ向かう。

私と母親は店内で時間を潰す。このとき、彼女との会話は全然頭に入って来なかった。

 




 

しばらくすると、マルコから「どっちがいい?」と写真が送られてきた。試着した様子を写したものだった。

私が「黒の方が良いんじゃない?」と言うと、「そう? あなたがそう言うなら黒もほしいわ。でも、白も気に入ったから」と返事が来た。

 

私は言われるがままだった。

ここでは白のダウンジャケットと黒のウールジャケットを購入した。

支払いは18,000ペソ。

 

ーー続いて、インナー類。

 

「今度こそユニクロか?」と期待した。

しかし、違った。

 

マニラのショッピングモール「Forever21」

 

レジに置かれたこの量。

しかも、冬服だけではなく、フィリピン用の薄手のワンピースやTシャツも入っていた。

そして、この経緯には理由がある。

 

マルコが店員に声を掛けられたのが発端だった。

 

マニラのショッピングモール「ディスカウントチケット」

 

『ディスカウントチケット』である。

2,500ペソ以上買い物すると500ペソOFFになると言う。

 

それを手にしたマルコが言ってきた。

「Range, I don’t want you to waste your money. Please use this. (レンジ、あなたのお金を無駄にしたくない。これ使ってね。)」

 

あー、マルコが優しい。嬉しかった。

スーツケース購入により私の懐はすでに悲惨なことになっているが、彼女の気遣いは伝わって来る。

ありがとう。ここでは2,000ペソほどの支払いで済むんだな。よかった。

 

しかし、マルコにはあるアイディアが浮かんだようだった。

「You and Mom can get this ticket. So we can get total 1,500peso discount. I’m genius. Diba? (あなたとお母さんもこのチケット貰えるはずよ。だから、全部で1,500ペソ節約。私天才かも。でしょ?)」

 

は?

……は?

 

それは『2,500ペソ×3=7,500ペソ以上』を購入した上での1,500ペソ割引きだろう。

ジーニアスよ、私の支払いが増えているではないか。

……そうだった。

マルコは算数が苦手なのである。

 

そして案の定、元々の目的だった冬服に加え、フィリピン用の普段着が追加された。

結局、フォーエバー21での支払いも10,000ペソを軽く超えたのだった。

 

ーー私はもう理解した。

今日はツイてない日だったと思おう。事故にでも遭ったのだ。命が残っただけありがたい。

今はただ静かな水面のごとく心を澄ませるのだ。

 

そして支払いを済ませ、次の店に向かおうとしたところ、

 

マニラのショッピングモール「冬用ブーツ」

 

ロングブーツを色違いで二足追加。これがまた高い。

さらにこのどさくさに紛れて、母親もショート丈のブーツを一足選んでいた。

 

もちろん一緒にレジに提出された。

トドメを刺された気分だった。

 

ーー続いて向かったのは、ようやくユニクロ。

 

店内はセール中とのことで大変混雑していた。

ここでは、お目当ての『ヒートテック』の他、手袋や靴下などを探す。

 

そして、ユニクロ店内で親子ケンカが始まった。

マルコの選択と母親のお勧めが異なったからだ。

 

マルコは薄着を好むが、母親が「日本の冬を舐めるんじゃねぇ」と言っている。

母親は北欧旅行の経験があるので、ある程度日本の冬をイメージできているようだった。

マルコはしぶしぶそのアドバイスを受け入れていた。

 

その他、マフラーやパーカー、スウェットなどを追加してレジへ。

 

マニラのショッピングモール「ユニクロ UNIQLO」

 

レジを待つ列は長く、1時間ほど並ぶことに。

この間、店員の掛け声「Welcome to UNIQLO~♪」が虚しく耳に残る。

 

全然ウェルカムじゃねぇ。

店員よ、服を畳む暇があるならレジに立つんだ。この人々の渋滞に気付け。

 

ユニクロでの支払いも10,000ペソを超えた。

 

ーーようやくショッピングが落ち着き、そろそろ家に帰ろうかとなっていた。

私は両手に荷物を持ちながらスーツケースを押し、二人の後を付いて行く。

 

そして、別の売り場を横切った時。

私は足が止まった。

 

マニラのショッピングモール「スーツケース売り場」

 

同じサムソナイトが割引されて売られていた。30%OFFのタグも見える。

 

……いや、もう諦めるんだ。

これから返品して、カード決済をキャンセルして、新たに購入するのは難しい。

諦めろ。見なかったことにするんだ。

これで良いのだ。

 

私達はモールを出た。

 

マニラ マカティ 街の写真

 

外は薄暗くなっていた。

 

マルコは明日から仕事で忙しく、しばらく朝早い日が続くとのこと。

今日はここで解散することに。

次回二人に会うのは関西国際空港だ。

私達はGrabを呼んだ。

 

このときはもう帰宅ラッシュが始まりつつあり、なかなかGrabが捕まらなかった。

 

30分後にようやくドライバーがヒット。

買い込んだ大量の装備品をトランクに詰める。

 

私は車のドアを閉めながら、「二人を日本で待っているよ、無事に到着してね!」と伝える。

よしっ。

私はマカティの交差点で彼女らを見送った。

 

ーーそして私もマラテへ戻る。滞在していたホテルへ。

 

よっし、今夜はケンさんと合流できるな。

私は彼にメッセージを送った。

 

「さっき解散した。ケンさんどこ?」

 

「お疲れ様です。僕は今ロビンソン付近です」

 

「OK。今夜こそミユキに会えるぜ!」

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

6 コメント

  1. 今日の更新ないのかなと思ってたので…読めて嬉しい嬉しいっす?
    それにしてもレンジさん買い物大変ですね。人事ですいません!

  2. 多くの台風は、フィリピン付近で発生して
    発達しながら日本へやって来る・・・Diba?
    私はマルコさんのキャラが好きです♪
    レンジさん、応援しています!

  3. 寝る前に開いて良かった…一笑いして寝られます…
    フィリピンでは何かしら遅い。「人々の渋滞」に敏感なのは世界でも日本人くらいでしょうね。あとジーニアスで噴きましたw

  4. んー、何だかんだブスブログになってきてますよね???笑
    どこまでモゲるのかなレンジさん、日本襲来楽しみだー

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