[前回のあらすじ]
フィリピーナ彼女とその母親が初来日。空港まで車で迎えに行くが、途中の渋滞で遅刻。さっそく不機嫌になる彼女。しかし、日本の冬の寒さを体験して機嫌が直る。
[前回記事]
【レンジブログ144】フィリピーナ彼女が初めて日本にやって来た
[序章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ
[第一章第一話]
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ
[第二章第一話]
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る
[第三章第一話]
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。
レンジブログは第三章で完結しています。
それ以降のエピソードが「オノケンブログ」の内容になります。
[オノケンブログ第一話]
オノケンブログ第一話「転落と後悔」
また、レンジ個人のその後のエピソードは「外伝」という形で記述しています。今まで二つの外伝がそれぞれ完結しています。
[外伝一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた
[外伝二章第一話]
【レンジブログ121】フィリピンから帰国、その日にフィリピンパブへ
【レンジブログ145】日本の夜をフィリピーナ彼女と初めて過ごす
ーー部屋のある階に到着。37階、高層階だった。
スーツケースとともに、エレベーターを降りる。
通路を歩くとすぐに部屋は見つかった。
ドアを開け、中に入る。
二人はすぐに歓声を上げた。
「Wow, very nice! (ワオ、とても素敵!)」
「Yeah, I like here. So cute! (ええ、気に入ったわ。とても可愛い!)」
[アートホテル大阪ベイタワーのトリプルルーム]
今回、予約した部屋は『トリプルルーム』。
三つのセミダブルベッドと、窓際にソファベッド一つ。
脱衣所兼洗面所、風呂トイレ別。
三人分のスーツケースを広げても余裕があり、十分な広さだった。
内装は清潔感があり、何処かクリスマスを感じさせるデザイン。
決して子どもっぽい雰囲気はなく、落ち着いた配色の部屋。
私もマルコ達同様に「良かった。良い部屋のようだ」と安心した。
ーー私達は荷を解き、少しリラックス。
大きな窓からは大阪の夜景を一望でき、マルコは興味深そうに眺めていた。
母親はスマホを部屋のWiFiに接続し、フィリピンに残した夫と息子に連絡を取っていた。
テレビ電話越しに私も挨拶する。
ーーしばらくして、もう一度外出する準備を整える。
マルコ達は機内食を食べたはずだが、量は少なかったのだろう。「お腹空いた」と言うので、これから外へ食べに行くことになった。
マルコは日本の街を歩けることに興奮している様子で、夕食のためだけに着替えをしていた。
彼女は自分の服のコーディネートに相当なこだわりがある。
スタイルが抜群なので、何を着ても似合うのだが。私はいつも「そこまでこだわらなくても良いのに」と言うが、彼女は無視だ。
この時、母親もコーディネートを変えていた。着ていたコートを別のものに変更するようだ。
そして、私は目を疑った。
上着を変えた二人に愕然とする。
二人ともアニマル柄のジャケットだったのである。それは思いっきり『ヒョウ柄』だった。
……マルコはまだ似合っているにしても、母親はそのおばちゃん体型のため、正直もう『アニマル』にしか見えない。
私が呆気に取られていると、ハイテンションの親子は念を押してきた。
「Look this! We’re Leopard! Very popular in Japan, especially Osaka. Right!? (これ見て! 私達はヒョウよ! 日本ではとても人気、特に大阪ではね。そうでしょ!?)」
「Yeah, Japan Japan!(そうよ、ジャパン、ジャパン!)」
おっ、おう。
今の流行は知らないが、偏見にもほどがあるだろう。
確かに『大阪のおばちゃん、女性はヒョウ柄が好き』と言う固定概念はある。しかし、それは『日本男子はチョンマゲだろう』と言うに等しいほどの勘違いだ。
ヒョウ柄のペアルックが人気だと? フィリピンでは、英語の記事でそのようなことが書かれていたのだろうか。
そこまで柄を強調した衣服を纏っている人は、現代の日本では珍しい。しかも、親子でなんて。
しかし、私はもちろんそのようなツッコミはできず。
浮足立っている二人を連れて、ホテルの外へ出た。
ーーホテルの向かいには駅が見えた。
『弁天町駅』
駅の階段からは学生や社会人が疲れた様子で家路に向かっている。
その中を、黒いコートを着た日本人とヒョウ柄のジャケットを着た外国人二人が歩く。
幸いにも人々は忙しく、他人に目を向けるようなことはなかった。
私は二人に「あまり離れないようにしてね」と伝え、飲食店のある方へ向かった。
駅前の公園を過ぎるとすぐに何軒か飲食店が目に入った。
二人に確認を取ると、『居酒屋』で良いとのこと。さっそくその中の一つに入る。
店内にはもう一組、サラリーマンのグループが盛り上がっていた。
私達は少し離れたところに席を取った。
お酒は飲まず、二人はオレンジジュース、私はウーロン茶をオーダー。
そして、刺身盛り合わせ、おでん盛り合わせ、天ぷら盛り合わせなど一通り頼む。
マニラに居る時、私達はよくモールで食事を取る。このような日本料理を提供する場所にも連れて行ったことがあるので、おおよその日本食というものはわかっているはず。
しかし、日本と言う場所で日本食を食べることに意味があるようで、見たことのあるメニューでも二人はその都度感動していた。
私も、その喜ぶ姿がやはり大変嬉しい。
二人とも『箸』の使い方は上手く、日本人と比べても遜色ない。
「どれも美味しい」と喜んでいた。特に母親は『おでん』を気に入ったようで、こんにゃく以外は全て食べていた。
マルコは『刺身』がお気に入り。「やっぱりフィリピンとは鮮度が違うわね!」と知った風に食べていた。
しかし、彼女は長袖の服に慣れていない様子。時々食べ辛そうにしており、気付くと刺身の醤油皿に袖をつけて汚していた。
私が「気を付けて。袖は刺身じゃないよ、食べるの?」と指摘する。
すると、急に不機嫌マックスに。
そのお返しとばかりに、マルコが豪快な『ゲップ』をする。
私は常々、『ゲップ』は人前ではダメだと教えている。人に依ってはオナラより失礼に感じるのだと。しかし、私の上げ足取りにムカついたのだろう、知っていてなおゲップを放ってくるのだ。
ゲップを放つ口を私が抑える。「ダメだって! ほら見て……」と、他の客から見られていることを伝える。
マルコは悪ガキのように、頭で会釈する。
ーー板前さんたちは皆高齢で、60~70歳前後だと思われた。
母親がそのことに気づき、「日本人は歳を取っても、働くのね」と感心していた。
私は心の中で「あなたたちは歳を取っていなくても、働かないよね」と思った。そんなことは口が裂けても言えないが。
そして、女将さんと大将に話しかけられた。
「外国の方ですよね?」
「はい、明日皆でUSJに行くんです」
直近で大将がUSJに行ったらしく、おすすめのアトラクションを教えてくれた。「明日はこれを乗ってみて」と。その他、日本や大阪の文化のことで盛り上がった。
この会話を聞いて、マルコは「日本人は親切でフレンドリーね!」とまたご機嫌に戻っていた。
ーー私達は食事を終え、居酒屋を出た。
そして、駅に隣接していたコンビニへ。飲料水と明日の朝食を買う。
一点、マルコが少し不機嫌そうだったのが、明日着る『ヒートテック』がなかったこと。
私は、マニラのユニクロにて「日本ならそのような温感下着はどこでも手に入るから」と伝えていた。それを信じていたマルコはコンビニにも『ヒートテック』が置いてあるものだと思っていたようだ。
「まぁ、ユニクロであればどこのモールでも入っているから、また見つけたら買おうよ」とその場は落ち着いた。
ーーホテルの部屋に戻ると、マルコが何やらスーツケースの中から紙袋を出してきた。
私へのお土産兼クリスマスプレゼントだと言う。
そして、それは……
まさかの『黒いコート』だった。
何処で買ったものだろう。折り畳まれ、しわくちゃになっている薄い生地のコートだった。
……そう、私が今日着ていたのも黒いコート。
謎の空気が流れる中、「ありがとう!」と伝える。
これでも彼女なりの厚意、謝意なのだ。私は有り難く受け取った。
ーー部屋で落ち着いたところで、マルコ、母親、私の順番で風呂に入ることに。
そして、マルコが風呂から出てきたところで、私は彼女に『日本でのSIMカード』を渡した。
「この午前0時から8日間使えるからね」と。
AISアジア16カ国 周遊プリペイドSIM 4GB 8日間 4G・3Gデータ通信使い放題 / 韓国 台湾 香港 シンガポール マカオ マレーシア フィリピン インド カンボジア ラオス ミャンマー オーストラリア ネパール ※日本でも利用可能
彼女のスマホを預かり、添付されていた説明書を読みながら設定を行う。
すぐに回線は繋がった。
日本でのキャリアはソフトバンク。これで、これから日本を発つまでネットに困ることはないだろう。
ーーそして、しばらくマルコと部屋で過ごしていると、母親がお風呂を終えて、頭にタオルを巻いて出てきた。
その姿を見た私とマルコは悲鳴を上げた。
「おっ、おか、お母さん!」
「Na, Nay! What’s that!? (おっ、お母さん! 何それ!?)」
私達は唖然とした。
母親の服装がボンデージ手前のセクシーランジェリーだったのだ。
これはネグリジェと言うのだろうか。セクシーすぎる衣装。私にはむしろ何も着ていない方が有り難い。
「何が?」と母親は涼しい顔。「日本の寝間着はこうじゃないの?」と言ってくる。
私とマルコは二人で「No!(違うわっ!)」と注意する。「早く上を着て」と。
いったいどこのネット情報でそのような寝間着がジャパニーズスタイルだと知ったのだろう。
ポルノサイトか?
そもそも何処で買ったのだろう。マラテのエログッズショップか?
母親をなだめ、部屋のアメニティのガウンを着せる。
母親は「何で? ダメなの?」とふてくされた表情だった。
悪気はないのだろう。なんだか、こちらも申し訳ない。
……寝間着にまで指示を出していなかった私が悪いのだ。
ーー続いて、私がお風呂へ。
湯船でしっかり足を延ばす。
ふうっ。ようやく落ち着いて、リラックスできる。
今日は広島から車を走らせ、大阪へ来たのだ。
マルコ達も同様に疲れているだろう。
今夜はすぐに休もう。
明日はUSJだ、さらに大変な一日になるぞ。
と、その時、
『ブンッ!』
謎の電子音と共に、暗闇が広がる。
停電だっ、なぜにっ!?
そして部屋の方から、タガログ語の言い争いが聞こえてきた。
私は手探りで風呂を出て、バスタオルを腰に巻き、部屋へ。
スマホライトを照らしたマルコが何やら不満を漏らしていた。
「I used two hair iron. And mom used blower while boiling water..(私がヘアアイロン二台使って。お母さんがお湯を沸かしている間にドライアー使ったら……)」
めちゃくちゃである。
ヘアアイロン二台、ドライアー、瞬間湯沸し器の同時使用。それはブレーカーも落ちるだろう。
私はマルコからスマホライトを預かり、ブレーカーを探す。
洗面所の天井付近にそれを見つけ、パネルを開ける。
しかし、スイッチが降りている様子はない。
……ヒューズが飛んだようだ。
部屋に戻り、マルコのヘアアイロンを見ると、カーリー用とストレート用の二種類を使っていたようだ。特に一つは古いタイプのもので、もしかすると日本の電気配線には無理があったのかもしれない。
私は上半身裸のまま、フロントに電話を掛ける。
「申し訳ありません。室内のブレーカーが落ちてしまいまして。しかもヒューズが飛んだみたいで。……はい。はい、そうですね。本当に申し訳ありません」
フロントの対応は優しく、すぐに替えのものを持ってきてくれるとのこと。
私はそれを二人に説明し、「以後、熱を発する家電を一度にたくさん使わないでね」と伝えた。
そして、マルコから返って来た言葉は、
「日本のホテル、ダメね」
私は脳みそが沸騰しそうになったが、彼女たちは日本へのお客様。
まだ初日。まだ初日の夜。
あと7日間も残っているのだ。
歯を喰いしばりながら「ごめんね」と伝えた。
ーーしばらくしてホテルスタッフが部屋へ。
ヒューズを入れ替えると、電気はすぐ元に戻った。
私は風呂に入り直した。
そして風呂を出ると、部屋はもう暗くなっていた。マルコと母親は先に布団に入り就寝するようだ。
みんな、お疲れ様。
私はもう少しパソコン仕事をしてから、眠りにつくとしよう。
さて、明日はUSJだ。
どうなる事か。
日本って凄いって言われたいですもんね…レンジさんのお気持ち察します。
にしてもお母さんテンション高すぎでしょw
お母さん好きだわー
LAカフェにてこの夕方
女の子のドリンクがその子は250ペソ、店員は350ペソと言う
これって店員にボラれてんの?と思いながら、ちょっと口論になりかけたのでしぶしぶ払った
一つ勉強か…
オノケンブログが終わる頃にこのサイト知りました!
友達から教えてもらったんですけど、レンジブログが面白くて面白くて!こんなに面白いブログ読むの初めてです。
時間を見つけては今読んでいて、先週から寝不足です笑
今夜もどこまで読めるかわかりませんが頑張って読みます。
クレイジーマニラ最高です!
お母さんのネグリジェのくだりオモロイです
ゲスブログも良いけど、こういうほのぼのしたストーリーも好きだなぁ
あっ、本人は大変なのかw
日本のホテル、ダメね!・・・笑える