[ウメブログ 前回のあらすじ]

クレマニのホレ担当ウメ。現在50代後半。約30年前からフィリピンへ通う超ベテラン。
ウメの後輩、安川氏。彼の伝説エピソードその2です。エルミタで野宿するほどの強者!?
【ウメブログ19】フィリピンパブ通いで借金まみれ、でも家庭円満!?

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

 

※クレイジーマニラでは、オノケンブログ、レンジブログ、ポットブログの三つのブログがメインコンテンツでした。そして、この度新たに『ウメブログ』の新連載がスタートしました。

 

 

ウメブログは約30年前のストーリーから展開しています。

 

前回は、安川伝説のその2エピソード。

フィリピン妻を家に残して、フィリピンパブ通い。

夜遊び資金はオーバーローン、親からのサポートで工面。

さらにはマニラでも破天荒な彼。

 

しかし、それをさらに超える、『超強者たっちゃん』と言う人のエピソードが。

 

それでは、ウメブログ20(第一章第18話)をスタートさせていただきます。

 

 

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【ウメブログ20】フィリピンパブの女性とフィリピンへ駆け落ち!?

 

 

ーー今回は、仕事現場で知り合った方のエピソードを紹介したい。

彼は、安川を超える強者である。

そして彼を知る事で、今までの自分を考え直す切っ掛けにもなった。

 

名は『たっちゃん』。

 

彼のちょっと素敵なお話です。

 

 

 

[読者の方々へ。今回のエピソードを読む前に、ティッシュをご用意ください。ご自身の穴から何か出るかもしれません。]

 

 

 

ーーこの当時私たちは、『環八井荻立体工事』に勤しんでいた。

 

 

そして、やはりこのエピソードも、安川が「あの人、フィリピンの匂いがする」から始まる。

建設業界はどこも『フィリピーナのハマり率』がすごく高かったのだ。

 

ーー彼は他の工区の職人なのだが、昼食と一服をする休憩所が同じだった。

「匂いがする」と言った安川が話しかけると、すぐ仲良くなった。

名は、たっちゃん。

 

このとき、彼はまだ26歳。

フィリピンにハマって強者になるにはまだあまりにも若年で、この時は単なるフィリピン好きだと思っていた。

ところが、仲良くなるに連れて、彼がフィリピンで途轍もなく重いものを背負っていることを知る。

そして、たっちゃんの生き方と考えさせられ、私の考えまで変えるとんでもない話が出て来るのである。

 

困窮法人
[たっちゃんの似顔絵]

 

ーー話を聞くと、フィリピンにハマる切っ掛けになるのは19歳の時。

例外にもれず、先輩に連れられて行ったフィリンピンパブ。

そこで本人曰く、「運命の出会いが有った」のだと。

 

しかし相手の子は18歳。

彼女も当然日本でお金を稼ぐ事を一番の目的で日本に来ている。

そんな彼女はほぼ同い年のたっちゃんに初めは興味は無かったようだ。

フィリピーナは、多少年上で経済的に余裕のある人がお付き合いする条件の重要部分であることは否めない。

 

ーーでもたっちゃんは諦めなかった。

そこからフィリンピンパブ通いが始まった。

しばらくして、彼のアプローチは見事に実った。

 

しかし、残ったのは多額の借金。

ここまでは当時ハマった人であれば通る道だろう。

たっちゃんも裏では、親族や友人などあらゆる人に迷惑をかけ、借金をお願いし、さらにサラ金も摘み、絵を描いたような転落人生だった。

 

ただ他の人とは違っていたのは、その時に出会ったフィリピーナが『永遠の伴侶』となる事だった。

 

ーー借金にまみれながらも将来を誓い合った彼女と、日本で一緒に暮らし始めた。

しかし、たっちゃんの親族は彼を落ちこぼれの様な目で見て、勘当同然になっていった。

そこで彼は、フィリピーナとの愛を信じ、お金を貯め(借金は踏み倒し)て、初渡比を果たした。

 

ーー現地で彼女の親族に温かく迎え入れられ、更にフィリピンが好きになった。

日本ではだれも相手にしてくれない。

しかし彼女の家族は、たっちゃんのことを「娘が好きになった人だから」という理由だけで、家族の一員として迎え入れてくれた。

彼は嬉しく、彼女の親族に感謝すると共に、本当の家族になりたいと思った。

そして現地で結婚をして、日本ではなくフィリピンで彼女と暮らして行く事を願い始めた。

 

ーー今と違い、当時のフィリピン。

私は、彼女の田舎でこれからの人生を送ろうと考える二十歳そこそこの若者がいる事に、凄い衝撃を受けた。

私も当時かなりの回数を渡比していたが、フィリピンで暮らす事など露の先ほども考えていなかった。

安全な日本と言う場所からたまに行って、何かあっても高みの見物気分で逃げ場所を保って遊んでいるだけの私。

彼の考えと行動を聞く度に衝撃を受けた。

 

ーーしかし、フィリピンでたっちゃんくらいの青年が生きて行く事は、想像に容易く、そんなに簡単なものではなかった。

フィリピンの片田舎で義父は漁師をしていた。

とてもお粗末な船。

走りながらも水が入って来るので、缶でその水を掻き出しながら進むようなものだった。

 

フィリピン 船

 

たっちゃんはその仕事を手伝うも、家族一人増えた負担は大きなものだった。

生活費は底をつき、食べ物にも困るようになった。

でも彼女の親族は何も言わず優しく受け入れてくれる。

たっちゃんは自分が負担になっている事は判っていた。

でも彼女の親族は何を言っても「オッケーラン、オッケーラン」しか言わない。

 

ーーそして、たっちゃんは日本に戻る決心をする。

そこから逃げる為ではなく、『家族を救う為に日本に戻ること』を。

 

まず、日本の親族や友人たちに「日本に帰るお金を貸して欲しい」と連絡をした。

「借金から逃げてフィリピンに来たけれど、無理だった。申し訳ない。今度こそは日本で真面目に働いて返済するので助けて欲しい」

と。

しかし、親族も友人も首を縦に振る事は無かった。

過去にたっちゃんに裏切られた思いがあったのだろう。

 

それでも彼の気持ちは変わらない。

日本でお金を稼いでまたフィリピンに戻り、商売(嫁さんが料理上手なので田舎で小さな食堂)を始めて、彼女の親族を幸せにしたいと。

彼は笑顔で、

「娘が連れて来た、訳の分からない若造の自分を何も言わずに家においてくれて、同じ家族として迎え入れてくれた事に報いたかった」

のだと言う。

 

ーーこの時点で私は、初めは面白おかしく聞いていた話も真剣に聴くようになっていた。

彼女の親族を幸せにしたいと熱く語るたっちゃんの眼差しに、私はうっすらと涙を浮かべていた。

ババエを口説いて、いかにやる事しか考えていなかった私に雷のような稲妻が走ったのだ。

 

ーーたっちゃんの話は続く。

実際は、日本に帰るお金も無く、日本の親族・友人も誰も助けてくれない。

 

そして翌日から、現地の土方の仕事を始めたのだ。

 

フィリピン 道路舗装 工事
[現地の道路修復の作業]

 

砂利道の道路の整備。

朝仕事に出て、昼食は嫁さんが届けてくれる。

そして夕方まで作業は続く。

すべて人力でスコップだけ。

轍と穴が開いた所に砂利を入れていくだけの単純だが、暑さも手伝ってとても過酷な仕事である。

それで貰える日当は150ペソ。

普通の日本人なら日当300円で働けないだろう。

 

でも彼には高いモチベーションが有った。

ただひたすら、

『日本に帰って金を稼ぎ、嫁の家族を幸せにしたい』

と、それは強い強い思いが有ったのだ。

 

ーー毎日毎日、炎天下の下、道路整備に精を出す。

 

月3,500ペソ。

しかし、いつかは貯まる。

腐らず日々仕事を続けた。

 

ーーしかし、流石に半年もした頃、心が折れかかった時があったそうだ。

たっちゃんは言う。

「ウメさん、その時、神様と嫁さんに救われたんです」

と。

 

そう。二人の間に子どもが出来たのだ。

 

そこからまたやる気を取り戻し、気が付けば1年半。

 

やっと日本に帰るチケットが買えるお金が貯まったのだと。

 

チケットを買った日は余りにも嬉しくて、声を出して泣きじゃくったそうだ。

すると、嫁も親族も一緒になって泣いてくれた。

さらに、たっちゃんの戻る日を楽しみにしていると言ってくれたそうだ。

 




 

ーーそれから、たっちゃんは日本に戻り、こうして現場で働きながら、親族や友人に借りたお金を返済していると。

 

帰国して5年目、今はフィリピーナ嫁も日本に居て近所の八百屋で働いているそうだ。

そしてこの5年の頑張りを見たたっちゃんの親族も、今は彼女との結婚やいずれフィリピンに渡り向こうで暮らす事を応援してくれているのだと。

 

そして今はほぼ借金を返済して、二人で貯めたお金が400万になるそうだ。

 

「ウメさん、500万になったらフィリピンに帰るんです!」

 

と笑ったたっちゃん。

 

とても眩しく見えた。

 

ーーたっちゃんの話は、私の心を洗い流してくれた。

 

そして、あれからたっちゃんには会っていない。

 

もし会えるのであればぜひフィリピンで。

 

ピールセンで乾杯したいと願う……。

 

後にも先にも、10歳以上も年下を尊敬出来たのは初めての事だった。

 

 

[ウメブログ20 終わり]

 

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次話、ウメブログ21「マリアの涙、そして別れ」

 

オノケン
クレイジーマニラ ライター オノケン
ウメさん、お疲れ様です! たっちゃん、凄い方ですね。その日当で働く感覚は無償の愛と言っても良いレベルでしょう。クレイジーマニラの僧侶担当をお願いしたいですね。

 

レンジ
クレイジーマニラ ライター レンジ
ウメさん、お疲れ様です! いやー、感動しました。その若さもあったのでしょうが、勇気のいる行動だったと思います。安川さんともに殿堂入りですね。

 

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ウメ
ウメは元経営者で、30年前からフィリピンへ通う超ベテラン。早期リタイア、二度の離婚、ネトゲ廃人も経験。クレマニのホレ担当。とにかく人に惚れやすい。都合が悪くなると逃げる、姑息な手段を使うなどゲスな一面も。

20 コメント

  1. テーキーラでなんでも解決するミカエルさん。
    たっちゃんを見習って改心しなさい。

      • 私は、名前もひと笑加えます。

        ガチで私じゃございません。

        IPアドレスチェックお願い致します🥺🤲

        今日は、何故か疑われる事の多い私ですw

    • 梅さん、自分の記事にこんな斬新な
      コメントのつけ方ってありあすか??w

  2. ‘たっちゃん’惚れてまうやろ
    自分にも言いたい、’もっと頑張れる’やろと。
    ウメさん、素敵な話ありがとう😊

    • 匿名さん
      コメントありがとうございます。
      本当に今でも彼女の田舎で頑張っているたっちゃんを想像できます。
      そして頑張って欲しいです。

      引き続きよろしくお願いします。

  3. こんにちは

    たっちゃん、、、
    目標を持って生きられてます。
    本当の幸せとは何かを考えさせられます。
    お金だけでない思いやりと信頼、、、
    戦後までの昭和とかも皆で助けあったりお金がなくても楽しく笑顔があったのでしょうね。

    私もたっちゃんを尊敬します。

    そしてまたフィリピン情報を検索します😅

    • 鳩麦茶さん
      いつもありがとうございます。
      たっちゃんは日本で誰も相手をしてくれない自分を無条件で受け入れてくれたことがとても嬉しかったみたいです。

      本当ですね、人生を半分もとうに過ぎ本当の幸せを考えされられます。

      引き続きよろしくお願いします。

  4. たっちゃんすごいですね。
    フィリピンとの関わりは、遊びと考えている私には絶対無理です。

    • Ninaさん
      いつもありがとうございます。
      希望ですが、今もあの笑顔でフィリピンで頑張っていて欲しいです。

      引き続きよろしくお願いします。

  5. たっちゃん男ですね。ドラマを見ているようで心が熱くなりました。私も大事にしよう。
    ウメさん毎度読み切りのストーリー良いですね!
    明日も楽しみ!って思ったら、今日金曜日でした😅また来週よろしくお願いします!

    • かーわんさん
      こんにちは。
      ありがとうございます。
      楽しみに思っていただけているとこちらも執筆の励みになります。

      引き続きよろしくお願いします。

  6. たっちゃん、若いのにすごいですね。私なんか20前半なんて学生時代ですからねぇ(^-^;お小遣いぐらい自分で稼いでましたけどそれで生きてませんからねぇw 「すごいです!」この一言です!

    なんなんですかねぇ、掃き溜めに鶴、でしたっけ?どこが掃き溜めかで物議を醸しだしそうですけどwウメさんラジオに集まっている私を含む大勢の人たちにはいないタイプかもしれませんね。別にラジオの面々がどうということではないとはっきり言っておきますけどね🤣

    実は、私にもそういう感動的な話がないわけではない、気がする、とだけ言っておきましょうw いや、思い出せないというか記憶が・・・あるかぁ?wなんか事故案件ばっかり思い出してしまって💦

    あ、ミカエルさんもお嫁さんの実家に行くとか行かないとか?皆さん、大恋愛ですなぁヾ(≧▽≦)ノ

    ホントにマニラでオフ会やりたくなってきましたね。ぜひ、登場人物総出で開催したいですね。あとはミカエルご夫妻とウメさんご夫妻のスケジュール次第ですね。披露宴、一緒にやっちゃえばいいんですよ!

    決まりですね!(^^♪

    • Ackieさん
      いつもありがとうございます。
      ラジオに来てくれている方は私も足元にも及ばないほどのベテランさんばっかりなので戦々恐々です。
      Ackieさんなら勘当ネタも沢山持っているように思います。

      ミカエルさんはミンダナオから親族をマニラに呼んで100万かけて披露宴をやっていますからねw

      コロナ明けにみんなで呑める日が来るといいですね^^

      引き続きよろしくお願いします。

  7. ウメさんこんばんは。クレマニ初の良い話しですね。さすがウメさん。上手く書かれていると思います。私は、なんとなくわかります。彼の気持ちがわかります。良い話しでしたよ。

    • 小虎さん
      ありがとうございます。
      たまにはエロ抜きの話もいいかと思い書いてみました。
      日本で全否定された彼を受け入れてくれたフィリンピン家族。
      私も彼の気持ちが痛いほどわかりました。

      引き続きよろしくお願いします。

  8. ウメさん、こんばんは。
    立派ですね、1日300円で1年半働く本当に素敵です!
    目標を持った人間は凄いですね! 私には絶対できないです。

    • ボンさん
      こんばんわ^^
      ですよね。
      私もできません、電話をかけまくりお金の無心をひたすらすると思います。

      引き続きよろしくお願いします。

  9. ウメさんお疲れ様です。
    たっちゃんさんは偉い人ですね!目標達成するひとは、一握りの人だと思います。
    ほのぼのとしたお話し素敵ですね。

    • toshidesuさん
      コメントありがとうございます。
      たっちゃんは純粋で本当に嫁を愛しそして本当に嫁の家族になりたかったのだと思います。

      引き続きよろしくお願いします。

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