関西国際空港 第一ターミナル

 

[前回のあらすじ]

フィリピーナ彼女を日本に招く準備を整えた後、夜遊びに繰り出すレンジ。翌日、その秘密の日程が彼女にバレそうになる。

[前回記事]
【レンジブログ143】フィリピーナ彼女にマニラ夜遊びがバレる?

 

クレイジーマニラの記事は、実際の旅行や取材を元に記述しています。小説風のストーリ仕立てで記述していますので、過去の記事を参照頂けると話の内容が理解しやすいかと思います。また、登場人物の名前等は仮名を用いているところがあります。

 

[序章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ

[第一章第一話]
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ

[第二章第一話]
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る

[第三章第一話]
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。

 

レンジブログは第三章で完結しています。

それ以降のエピソードが「オノケンブログ」の内容になります。

[オノケンブログ第一話]
オノケンブログ第一話「転落と後悔」

 

また、レンジ個人のその後のエピソードは「外伝」という形で記述しています。今まで二つの外伝がそれぞれ完結しています。

[外伝一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた

[外伝二章第一話]
【レンジブログ121】フィリピンから帰国、その日にフィリピンパブへ

 

 

【レンジブログ144】フィリピーナ彼女が初めて日本にやって来た

 

ーー昼過ぎ、私は広島での出張を終え、自家用車で大阪に向かう。

5時間後にマルコと彼女の母親が関西国際空港に到着する。それを迎えに行くためだ。

 

車のナビゲーションでは関空まで4時間。渋滞を加味しても間に合うだろう。

私は山陽自動車道を東へ向かっていた。

 

山陽高速道路 ジャンクション

 

ーー大阪に向かう途中、兵庫県三田市あたりからナビが狂う。

私の運転する車が、道路ではなく山の中を進んでいるようなのだ。

 

……どうやら新しく出来た高速道だ。

看板を見ると、

『新名神高速道路』

を走っていることに気付いた。

ヤバい。このままでは京都方面に向かってしまう。

 

少し嫌な予感がしながら、それらしいインターで一旦一般道へ降りることに。

 

『箕面IC』

 

山の中だった。

地図を確認すると、大阪の北。

これからもう一度高速に乗ったところで、新名神を戻るだけだ。

私は一般道で山を下り、大阪市内へ入ってから再び高速に乗ることを選択した。

 

しかし、ここから予定が遅れ始める。

夕刻、大阪の大渋滞。

下の一般道も上の高速道路も、どこも赤表示が点滅し、ゆっくりとしか車が進まない。

 

やっとの思いで阪神高速に乗るも、ここも渋滞。

湾岸線へ入るまでに1時間以上のロスだった。

 

ここから空港まではあと30分くらいか。

ようやく渋滞が緩和され、車がスムーズに走り出した頃。

 

LINEにて、メッセージが入る。マルコからだった。

 

「I arrived airport just now. (さっき空港についたよ。)」

 

とうとう彼女は着いた。日本に。

 

焦る私は、「今向かっているよ。もうすぐ着きます!」と返信する。

日本初日にして、彼女の怒りを買うことは絶対に避けなければ。

マルコは時間に厳しく、特に私の遅刻魔ぶりが大っ嫌いなのである。

 

彼女に今の状況を聞くと、前もって教えておいた空港内の無料WiFiを使ってコンタクトしてきたようだ。

そして、これから入国審査と荷物の受け取りを待つとのこと。

 

ギリギリ間に合うか……。私は車を急いだ。

 

この時、空港への連絡橋は交通規制が敷かれていた。

この秋の台風の際、タンカーが衝突して橋の一部が破損した事故。その修繕工事が未だ行われているためだった。

私はそこで最後の渋滞を待ち、ようやく関西国際空港へ。

 

第一ターミナル、国際線の到着口側の駐車場に車を留めた。

 

すぐに車を降りて、到着口へ向かう。

 

空港内に入ると、多くの旅行者、出迎えの人々で混雑していた。

 

関西国際空港 第一ターミナル
[関西国際空港構内イメージ]

 

ーーマルコに、LINE電話を掛ける。

「Where are you? What can you see?(何処にいる? 何が見える?)」

「I’m here. Just front exit. (ここよ。出口前。)」

 

マズい。彼女を待たせてしまっている。

 

私は、到着口から関空に入ることが初めてだったので、どこに出口があるのかすぐにはわからなかった。

そして、一人の人物が手を振っているのを見つけた。

母親だった。

 

彼女に近づき、ハグをする。

私達は久しぶりの再会を喜び合う。

「How was your flight? Turbulence?(フライトはどうでした? 揺れた?)」

「No. Very nice. I’m so happy. ..Range, your coat is very nice!(いいえ。とても快適だったわ。とても嬉しい。……レンジ、あなたのコート素敵ね!)」

 

よかった。母親の機嫌は良いようだった。私のコート姿を褒めてくれる。

彼女もコート姿。お互い、冬の装いで会うのは初めてなので新鮮だった。

 

そして、マルコはすぐ後ろのソファに座って、スマホを触っている。

服装はデニムにニット。マニラで購入した冬用のアウターを膝に持っていた。

 

私と目が合うと、少し舌打ちするような口元。

……怒っている。

 

私はまず謝罪した。

「I’m so sorry to be late. Heavy traffic. (遅れて申し訳ない。すごい渋滞で。)」

「It’s okay. But here Japan.(大丈夫よ。でも、ここ日本なのに。)」

 

私にとっては痛烈な皮肉だった。

「マニラでさえ遅刻するあなたは日本でも同じなのね」と。

私はそのやりとりだけで何本もの髪の毛が抜け落ちそうになる恐怖を感じた。

 

マルコは「せっかく初めての日本なのに」と呆れている様子を隠そうともしていない。

母親が「まぁまぁ。レンジも忙しいんだから」と慰めてくれた。

泣きそうになるから止めてほしかった。

 

ーー私はとにかく深く謝罪。

そして、彼女たちのスーツケースを押しながら、空港出口へと誘導する。

 

関西国際空港 第一ターミナル

 

「It’s not cold so much.(あんまり寒くないじゃん。)」

 

マルコは『日本の冬の寒さ』を期待していたらしい。

しかし、まだ空港の建物内。

私は「いやいや、ここは空調が効いてるからさ。外は寒いよ」と説明した。

 

そして、外へ出ると冷たい夜風が吹いていた。日本人には当たり前の冬の空気だった。

 

「Oh gosh! Wow, very cold! Wow!(神様! ワオ、超寒いっ! ワオっ!)」

マルコが抱きついてくる。とても喜んでいる様子だった。

どうやら一気にご機嫌が戻ったようだ。

 

「Welcome to Japan. Mabuhay!(ようこそ、日本へ。マブハイ!)」

「Yes! Thank you so much!(ええ! 本当にありがとう!)」

彼女は大変感激していた。

このように可愛いところもある。素直にしていれば良い子なのだ。

 

マルコのテンションはマックスだった。彼女は「オーマイガー、超寒い! 最高、日本! 冬、最高!」と言いながら、スキップしていた。

その姿にこちらも嬉しい。

すれ違う中国人団体客から不思議そうな視線をもらいながら、私はスーツケースを押して二人を先導した。

 

ーー駐車場へ。

二人の大きなスーツケースをトランクに入れる。

 

レンジの自家用車

そして、母親のために後部座席のドアを開ける。

するとマルコは迷わず、右前方のドライバー席へ。自らドアを開け、座席に座る。

 

ん? 何かのジョークか?

しばらく様子をうかがっていると、運転席でスマホをつついて前のハンドルには気付いてない様子。

 

私は運転席のドアを外から叩きながら、前を指さす。

「Do you drive?(運転するの?)」

と聞くと、そこでようやくマルコは気付いたらしい。

フィリピンとは違い、日本は右ハンドルであることを。

 

彼女は恥ずかしそうに笑いながら、席を私に譲る。

ははっ。こう言うこともあるだろう。

 

ーー空港を出て、湾岸線へ。

これから宿泊先のホテルへ向かう。

時刻は夜の8時を過ぎた頃。

 

車内の会話は皆楽しそうだった。

特にマルコは、自分のパスポートに初めてスタンプが押されたことを喜んでいる様子だった。

私に、嬉しそうにパスポートのそのページを見せてくる。「これからもっとたくさんのスタンプを押してもらおうね。俺と一緒に」とブスな笑顔で答える。

 

そして、私は気付いた。

……私がプレゼントしたものではない。

 

今年、彼女の誕生日にプレゼントとして『パスポートケース』を渡した。

マルコに「これから色んな国を君と旅したいから」と。プロポーズに近い文言で渡したケース、会心の一撃のつもりだった。

 

今回そのケースを使ってくれていると思っていたのだが、全く別のケースに収まっていた。

 

「The passport case..(そのパスポートケース……)」

「Ah Nay!(あー、お母さん!)」

 

マルコが思い出したように、助手席から後ろの母親を呼ぶ。

何かを指示された母親が見せてきたのは……。

 

私がマルコにプレゼントしたケースだった。

母親が使っていた。

 

おっ、おう。

「何故?」とも聞けず、スルーしかない。私は平静を保った。

 




 

ーー30分ほどのドライブ後、夜の湾岸線を降りた。

住宅街を通り過ぎ、私達はホテルへと到着した。

 

今回の宿泊先は『アートホテル大阪ベイタワー』。

[アクセス]

 

今回このホテルを選択した理由としては、

・USJに近い

・そこそこのホテル

の二点。

 

安ホテルでも彼女たちは文句を言わないだろう。

しかし、恋人だろうが友人だろうが相手が初めての日本であれば、高級ホテルとは言わないまでも普通以上のホテルにまずは招待したかった。

 

アートホテル大阪ベイタワー, 大阪, 日本
[アートホテル大阪ベイタワーのエントランス]

 

私自身は普段、もう少しグレードの低いビジネスホテルを利用するが、今回彼女たちのために少しだけ良いホテルを用意しておいた。

マニラで言えば、『パンパシフィックホテル』くらいのグレードだろうか。

 

[アートホテル大阪ベイタワーの予約はこちら]

 

ホテル外観を見た二人は、その雰囲気がすでに高級そうであったため、テンションが再びマックスに。さっそく気に入ってくれたようだ。

 

「さすが日本はリッチね!」と言う。そのリアクションに私も嬉しかった。

 

ーーまず彼女二人とスーツケースをエントランス前で降ろし、私は地下の駐車場へと車を駐車しに行った。

 

そして、エントランスに戻り、三人でホテル内へ。

私が受付カウンターにてチェックインをする間、二人はソファに座り、珍しそうに周辺をキョロキョロ見ていた。

 

アートホテル大阪ベイタワー クリスマスシーズン

 

12月下旬、クリスマス前。

他にも外国人らしい旅行客でカウンターは忙しそうだった。

 

チェックインを済ませ、ホテルの部屋に向かう。

 

エレベーター乗り場の前には、他の団体客が列を作って待っていた。

それぞれの到達階の表示を確認すると、私達の階へはそのエレベーターではないようだ。

 

私が戸惑っている様子を見たホテルスタッフが声を掛けてきた。

「お客様のお部屋へはこちらのエレベーターをご利用ください」

なるほど。どうやら私が予約した部屋は、一般客とは違うエレベーターを使うらしい。

 

その奥の別のエレベーターを利用するらしく、中に入って、カードキーを差し込むと反応した。

 

「I booked special room for you. (君のために特別な部屋を用意したよ。)」

「Wow, Range you’re so sweet! (ワオ、レンジとても優しいのね!)」

 

ふっふっふ……。

まぁ私も良くわからない。なぜ違うエレベーターを使わなければならないのか知らないのだが。

結果OKである。

とりあえず、そう言っておけばマルコも気分は悪くないだろう。

 

こうして私達は三人、部屋のある階に到着した。

 

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レンジ
オノケンと同じ会社の先輩であったレンジ。数年前からマニラを訪れるようになり、やがて現地法人を持つまでに。趣味は海外サッカーTV観戦。 実体験に基づいたフィリピンにおけるマニラの闇、貧困と格差、現地ビジネスなどオノケンとは違う視点の記事をアップしていきたいと思います。

5 コメント

  1. レンジさん、カローラフィールダーに乗ってるんですかー?それが妙にツボに入って可笑しいですw
    宿泊は弁天町ですか。土地勘あるんで話に出てきて嬉しいです?

  2. 登場人物が日本人一人とフィリピン人二人だと、なんかフィリピンの話みたい
    日本にいるのにアウエーですね笑

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