[前回のあらすじ]
フィリピーナ彼女とその母親が来日して6日目。名古屋から京都へ。旅の疲れと空腹から彼女は不機嫌に。翌日の伏見稲荷神社への観光からご機嫌モードになる。
[前回記事]
【レンジブログ154】フィリピーナ彼女と京都観光『伏見稲荷神社』へ
[序章第一話]
【レンジブログ1】日本人経営者と私、フィリピンでの入国審査へ
[第一章第一話]
【レンジブログ33】プライベートフィリピン女性との深夜デート。マラテのディスコ EXKLUSIVE へ
[第二章第一話]
【レンジブログ51】マニラのフィリピーナが初めて日本の地方都市に来る
[第三章第一話]
【レンジブログ71】マニラでビジネス開始。フィリピーナのコンサルティングで法人設立。
レンジブログは第三章で完結しています。
それ以降のエピソードが「オノケンブログ」の内容になります。
[オノケンブログ第一話]
オノケンブログ第一話「転落と後悔」
また、レンジ個人のその後のエピソードは「外伝」という形で記述しています。今まで二つの外伝がそれぞれ完結しています。
[外伝一章第一話]
【レンジブログ101】フィリピーナをフィリピン国内旅行に誘ってみた
[外伝二章第一話]
【レンジブログ121】フィリピンから帰国、その日にフィリピンパブへ
【レンジブログ155】日本のスキー場にてフィリピン彼女にプロポーズ
ーーナビに従うと、京都市内から『奥伊吹スキー場』まで110km、約2時間。
時刻は未だ午前中。
スキー場へはお昼過ぎには到着できるだろう。
クリスマスイブの昼間、私たちはスキー場へと向かった。
ーー途中、大津SAでトイレ休憩を入れる。
マルコたちは琵琶湖をバックに、何枚か写真を撮っていた。
そして、名神高速道路から北陸自動車道方面へ。
そして、滋賀県の米原ICで高速を降りた。
国道21号。一般道に出ると、そこには田舎風景が広がっていた。
田園地帯の向こう側には山地。
この時点では未だ雪らしいものは見えない。
県道に入ると、周囲の景色は山に囲まれたものに変わった。
木々の葉の色はコントラストが薄く、間もなく来る厳しい季節に備えているよう。
ーー山道を進む途中、母親が珍しそうに聞いてきた。「ここの人達はどのようにして暮らしているの?」と。
日本の山奥に住む人々に興味があるようだ。
確かに私たち日本人でも「ここの人達、どうやって生活しているのだろう」と感じる風景は日本の各地にある。
私は「おそらく林業や農業ですかね。国や自治体で働いている人もいるでしょう」と説明した。
そして、奥伊吹スキー場まであと1km。
私は気付いた。やった!
「Look! Snow! (見て! 雪!)」
路肩に、砂利の混ざった汚い解けかけの雪があった。除雪で堆積していたものだろう。
良く見ると、山肌にも少し白いものが。
雪だ!
そして、上に向かうほど徐々にその残雪は多くなっていった。
道路上は濡れているだけで雪が積っているわけではない。
しかし、とうとう雪の存在を目視出来たことで私は大きく安堵した。
マルコは「あの汚いのが?」と言うが、この辺りで雪が確認できたと言うことは、スキー場にはかなり残っているはずだ。
良かった!
ーーそして、駐車場に到着。
広いスペースに車はなく、客は私たちだけのようだ。
オープンしていないスキー場なので当たり前か。
しかし、駐車場の脇には除雪後の雪の塊を発見。さらに大きなものだった。
これは期待できるぞ!
車を降りると、息は白く、ポツポツと小雨が降っていた。山頂の方は霧が掛っておりよく見えない。
マルコはニット姿の上にダウンジャケットを羽織る。靴もハイヒールから防水性のあるショートブーツへと履きかえていた。
母親は懐かしそうに周囲を見渡していた。おそらく北欧のスキー場を思い出したのだろうか。
「Let’s go!! (行きましょう!!)」
駐車場からゲレンデの方へ向かう。ここからは大きなロッジで隠れているが、その向こうには雪原が広がっているはずだ。
傘を二人に預け、小走りに先導する。
さぁ、雪!
雪が一面に広がって……
広がって……
ない。
雪はあるにはあるが、イメージとは程遠い。
リフト乗り場付近にサッカー場ほど白く広がっているが、これでは……
全く雪原ではない。
ちょっと厳しいか。
その時、マルコが走り出した。
「SNOW! Kyaahh!!(雪だわ! キャー!!)」
彼女は積っている部分へ乗り、ジャンプしたり手に取ったりして喜んでいる。
「Oh my god! My life is complete! I’m so happy I could cry! Range, you made me soooo happy. Thank you soooooo much! I couldn’t be happier! (何てこと! もうやり残したことはないわ! 泣きそうなほど幸せ! レンジ、幸せにしてくれて本当にありがとう! 最高に幸せだわ!)」
めちゃくちゃ楽しそうだ。
「No. I just try. (いいえ。ちょっと頑張っただけ。)」
へへ。こんなに喜んでくれるとは。
私と母親は「あんまり雪ないけどね」と苦笑いでその様子に付き合う。
周囲に人の姿は全くなく、ゲレンデには私たちのみ。静かだった。
ロッジに灯りが確認出来たが、中にはスタッフの姿が少しあっただけ。
彼女はジルジルに湿気た雪の上へ寝そべって、自分の写真を撮りまくっていた。
日本人が想像する雪山とはかなり異なるが、彼女が喜んでくれているのなら良かった。
マルコのテンションは最高潮で「あなたの写真も撮ってあげるわ! ほらこっち向いて!」と、私も何枚かピースサインをして写った。
また、角度を変えれば雪原の中に居るような絵も撮影することができた。
母親はマルコの『はしゃぎっぷり』が続くと判断したのか、「先に車に戻っておくから。後は二人でごゆっくり」と私の肩を叩いてきた。
傘を私に預け、代わりに車のキーを渡した。
ーーマルコは依然、雪と戯れている。
小雨と湿った雪で、髪もダウンジャケットも濡れていた。
その姿を見て、私は彼女の頭の上に傘を向ける。
「I’m so so happy! Thank you Range!(超ハッピー! ありがとうレンジ!)」
はは、良かった。
マルコがこんなに嬉しそうにしてくれるのは初めて。私もその笑顔が見れて嬉しい。
ただ、一点だけ気になることが。それは『雪』がほとんど『人工雪』であったこと。
おそらく本物の雪も混ざっているのだろうが、降雪機の麓により多くの雪が溜まっていた。ゲレンデに点在している雪はそれを重機で均したものだろう。
これはマルコには伝えなくていいか。もし彼女に「This snow maybe fake. (この雪は本物ではないかも。)」など言っても何もプラスにはならない。今は黙っておこう。
私はもうしばらく彼女の撮影に付き合った。
ーー山頂の方には濃い白色が見え、雪が積もっているようだった。
マルコに聞くと「行ってみたい」と言う。
私たちはゲレンデの坂を登り、上を目指すことに。
普通はスキーで降りてくるコース。
ハイキングには急勾配過ぎる。舗装された登山道と言っても良いだろう。
雪のない冬の山に人の姿はない。
私は「何だかホラームービーみたいだね!」と、興奮気味のマルコをからかう。
周囲は林で囲まれており、私たちの話声が反響してきた。
ーー次第に息が上がってきて、体も温まる。
着ている上着が不要になるほど、少し汗ばむ。
運よく小雨も止んできた。
私たちはダウンジャケットを脱ぎ、その先を目指した。
そして、次第に雪の量は多くなり。
ちょうどリフトの降車場所付近へ辿りつくと……
霧も晴れ、地面は一面、白い世界となった。
「What a beautiful place! My life is complete. (何て綺麗なところなの! もう死んでもいいくらい。)」
再びマルコは感激していた。
飛び跳ねて喜ぶ姿は、ウレションするのではと心配するほど。
私も「この光景なら満足かな。天然雪のようだし」と、この雪見観光に手ごたえを感じた。
再び、しばらく彼女の写真撮影に付き合う。
ーー周囲は人の気配も音も全く無い。
静かな山の空気の中、マルコの「So nice!」とはしゃぐ声が短く響く。
そしてこの時、私は突拍子もないことを思いついてしまった。
マルコに今、『プロポーズ』したらどうなるのだろう……。
私は未だその段階にないと思っていた。彼女ともその話を以前したことがあるが、「結婚は25歳を過ぎてから」と一蹴されたことがある。
しかし今、今後これ以上のシチュエーションはもうないかもしれない。
もうすぐマルコたちはマニラへ帰る。そうすればまた彼女の相手をしながら、夜遊びに明け暮れる日々。再び彼女を日本に招くのはいつになるかわからない。
今日はしかも、クリスマスイブ。
これ以上はない。今しかない。
準備などない、思い付きだった。
「Marco. Can I ask you? (マルコ。聞いても良い?)」
「Yes?(何?)」
「I love you so much. (とても愛してます。)」
「I love you too! (私も愛してるわ!)」
「I love you more more. So I wanna get married to you.(私の方がもっと愛しています。あなたと結婚したいです。)」
「Haah!? (はぁ!?)」
いきなりの話に驚いている様子。それはそうだろう。
前振りも何もなかった。サプライズにも程がある。
しかし、私は続けた。
「I think my effort for this is the best and you realize my feelings. (この私の努力は最大限のもので、あなたは私の想いに気付いてるはず。)」
さらに戸惑っている。マルコがここまで慌てた様子は初めてだった。
私は少し間を置き、足元の雪で小さな『雪だるま』を作る。
それを彼女にプレゼントした。
「Now I don’t have a ring. Instead, Snowman! (今は指輪を持っていません。その代わり、雪だるま!)」
はい、どうぞ!
彼女は「キャッ!」と言いながら受け取る。嬉しそうにその頭を撫でていた。
「I can’t do more effort for you. I took you Japan and snow mountain. This is my best. I can’t do something.. (これ以上のことは出来ません。あなたを日本に招いて、雪山も見せた。これが私のベストです。私はもう出来ません……)」
そして、私は最強魔法を唱えた。
「Anymore! I can’t do anymore! (無理です! これ以上は出来ません!)」
正直、マルコにフラれても良いと思っていた。
これ以上、彼女にお金も時間も掛けたくない。
私も一人の人間。
今回の旅で結婚かどうか、将来性があるのかどうか、白黒はっきりさせたかった。
「Will you marry me?(結婚してくれますか?)」
「Wait, I’m just so surprised.. You need answer now? (待ってよ、とても驚いたわ……。今答えがいるの?)」
「Not now okay. But I want soon. But I can wait. (今ではなくていいよ。でもすぐに欲しい。でも待てるよ。)」
彼女はこの時「I see. (わかったわ。)」とだけ。
私は返事を急がせることは出来なかった。
西日が照り始め、少し眩しかった。
またこのタイミングでプロポーズとは…
振り回してるのはレンジさんの方かもしれませんね笑
仕事終わりにラーメン屋でラーメン食べながら、クレマニ読むのが日課!
さー来た!明日は、どっちだー♪
何だかロマンティックなお話ですね。OKもらえると良いですね。
私の今の奥さんの時は、マニラのちょっと良いホテルのレストランでプロポーズしました。翌日から親戚増え、焦りましたが…
ご注意ください。
やや早計では!? レンジ殿…
そんなバカな。レンジさんが結婚?? 大きなネタ振りでしょうー
絶対やめたほうがいい。今までの内容からして彼女は家庭的ではない。結婚生活に笑いは必要ないですよ。
例えば日本女性にとっても、彼氏に外国連れて行ってもらって、何処かステキなところでプロポーズされたら、そりゃ心が動きますよね。
それを実行するレンジさん、、、素でやってたらさすが天然ブスですね笑