このフィリピン旅での最大の汚点。自分でも理解できない行動を取り出す

3時過ぎにハナは帰って行った。
今日はもう満足だ。
寝よう…

いや、まだだ。
サナも誘って臨界点を突破しよう。
なんと言っても今日は初日。クレイジーにいこう。
さっそくメッセージを送る。

「こんばんは」
「こんばんは」

「働いてる？」
「うん、もうすぐ終わる」

「仕事終わったら家に帰る？」
「うん。なんで？」

「今夜サナと一緒にいたいなって思って」
「ごめんなさい、今家庭がゴタついてて、家に帰らないと大変なことになるから」

サナは家庭内がなかなか大変そうで、お金はこちらにねだってくることはなかったものの、愚痴はよく聞いていた。
よくある怠惰なう○こ家族がいるようだ。

普段の私ならそんなすぐに部屋に呼ぶようなことは口にしないが、なぜかこの時はハナで十分に目的は果たしていたため、賢者モードだったのか、慎重さと配慮に欠けるメッセージを送ってしまった。

「そうなんだ。あなたは来てくれると思っていたのに」
「私たちはまだ２回会っただけ。私はそんな簡単に男の人の部屋に行くような女じゃない」

「じゃあ何度も何度も店に会いに行かないといけないってことね。都合の良いゲストになればいいってことね」
「違う、あなたはゲストではない。だから店には来なくていい」

「じゃあどこであなたと会えと？仕事以外は家にいないといけないんでしょ」
「仕事終わったらご飯に行こうよ。それくらいの時間は大丈夫だから」

「もう今日はいいや、疲れたし」
「わかった」

「バイバイ」
「…なんでバイバイ？」

「デートもろくにできない人と関係続けても無駄でしょ。会えるのも仕事終わりの飯だけって、それも俺にとっては自分がゲストのように扱われているのと大差ない」
「あなたはゲストじゃない。なんでわかってくれないの？家族が大変なことは話しているでしょ？」

「そうね、大変だよね。もう疲れたから寝るよ。じゃーね」

…端折っているところもあるが、大体はこんな感じだ。
なんでこんなにイライラしていたのか、なんでこんなに関係を急いでいたのか私にもわからない。

以前の私であれば慎重にことを運び、行けない・行かないと言われても苛立ったりするようなことはなかったのだが。

多分、2時間で3連発というアラフォーな年齢も考えない暴挙で思考回路が死んでいたのと、まだこの時は、この旅が最後のフィリピン旅だと位置付けており、自分が掲げた目標に到達できないのなら不必要なものだと分類したのか…
どちらにしてもこの対応は自分のことながらクソ対応だと思う。クソ対応というかクソだ俺。

向こうは別におかしなことは言っていない。そしてお店で働いている嬢はなかなか言わないことだ。
家族の関係で家に帰らないとまずい。別に店に来なくてもいいからご飯だけでも食べに行こうと言ってくれているのだ。

店に来なくていいからご飯だけでも…なんて、店で働いている嬢の一体何%が言えることだろうか。

大体が

店に来て〜LD奢って〜そして飯奢って〜焼肉焼肉〜♪

の流れるようなねだりが普通だ。
少なくとも店には来なくていいと言われたのは私にとっては初めての経験だ。

別に焦る必要はなかったのに…
この時の私は全くの後悔する気もなく、なんならハナと目的をしっかりはたし、幸せな気持ちでねむりについたのであった。