【ウメブログ21】フィリピーナの涙の訳は家族の金銭問題、そして破局

 

 [ウメブログ 前回のあらすじ]

クレマニのホレ担当ウメ。現在50代後半。約30年前からフィリピンへ通う超ベテラン。
日本の現場仕事中に出会った『たっちゃん』。彼のフィリピンエピソードに心洗われたウメ。
【ウメブログ20】フィリピンパブの女性とフィリピンへ駆け落ち!?

 

 

※クレイジーマニラでは、オノケンブログ、レンジブログ、ポットブログの三つのブログがメインコンテンツでした。そして、この度新たに『ウメブログ』の新連載がスタートしました。

 

 

ウメブログは約30年前のストーリーから展開しています。

 

前回は、『超強者たっちゃん』と言う人のエピソード。

ウメさんよりかなり年下にも関わらず、彼のフィリピン経験値は凄かった。

フィリピンで土方、日給300円。ようやく帰国のチケットを購入し、日本に戻る。

全ては、フィリピンに残した一家のために。

クレイジーマニラでは初めての感動エピソードでしたね……。

 

それでは、再びゲスい話に戻る！？

ウメブログ21（第一章第19話）をスタートさせていただきます。

 

 

 

 

【ウメブログ21】フィリピーナの涙の訳は家族の金銭問題、そして破局

 

 

ーー前回、『たっちゃん』の話を紹介した。

その事と今回話をするマリア。

彼女と別れる前に見せた涙の意味。

その二つが有ってから、私のフィリピンでの考え方が少し変わってくるのだ。

 

ーーフィリピンと言う国は、貧しいがためのバイタリティだったり、結果ババエに騙されたりすることも多い。

全て彼女達の生活の為だったり、家族の為だったり。

フィリピーナが背負う家庭の事情とかを知ると、其の度に騙されてもフィリピーナを憎めなくなっていたのである。

 

マリアはフィリピンでは珍しく一人っ子である。

しかし彼女も例外にもれず、日本に来るためのお金などを親族に出してもらい日本に来ていたのだ。

 

［マリア似顔絵］

 

ーーマリアがまだ私の愛人であった頃。

ある日の深夜。

彼女の家に行くといつも温厚なマリアが大きな声で何かに怒っていた。

フィリピンと電話で話しているようだ。

その前にも散らばる手紙が何かを物語っていた。

 

そして電話を切ったマリアは、堰を切ったように私の胸で泣き出すのである。

 

少し落ち着きを取り戻した彼女は言葉を選ぶようにゆっくりと話し出した。

 

来日する時、自分の両親にはお金が無く、叔父さんと叔母さんからお金を借りて日本に来た。

この頃、既に初めて来てから日本で働いて7年は経っていた。

先ほどの電話の相手は叔母さんでお金の無心だったそうだ。

 

この時既に日本に来るために借りたお金はとうに返済が終わっていた。

ところが何かにつけてお金の無心の連絡が来るのだと。

 

目の前に散らばる手紙もその叔母さんからお金を送って欲しいとの内容の手紙らしい。

その叔母さんの言い分は、

「今あなたが在るのも日本で稼いでいるのもフィリピンで家を持てたのも、『全てあの時私がお金を出したから』だ」

と言う。

 

それについてはもちろんマリアも感謝していて、今までも借りたお金のほかに、かなり多額を無心されては渡してきたのだと言う。

先週も、叔母が「従妹が学校に行く為の資金が必要だ」と言って、10万円を送ったばっかりだという。

 

当然、親族なので叔母さんの家の暮らしも耳に入ってくる。

マリアのお金を当てにして結構贅沢に暮らしているらしい。

 

ーーそしてマリアは泣くのだ。

「私は叔母さん達の奴隷じゃない」

「私はいつまでこんな生活を続ければいいの？」

「私だって幸せになりたい」

「私にはその権利も無いの？」

 

彼女の心の悲鳴はまだまだ底を就くことは無い。

 

マリアも納得している事とは言え、愛人関係にある私の心にもチクッとくる話だ。

当時も今も、『家族の為に働いている』という言葉は普通にフィリピーナから聞こえてくる。

 

それを聞く度にこの華やかな仕事の裏で、人に言えない苦労もあるのだろうと考えると、無条件で応援したくなる。

 

 

 

ーーマリアはとても真面目で大人しい性格。

物を欲しがる事も派手な服を着る事もなく、本当に何にお金を使っているか解らないほど倹約家。

出かける事もあまり好きではなく、家で料理をしたり家事などをして過ごす事を好む。

そんな純朴な女性であった。

 

私も愛人とは言えそんな彼女に甘え、住む家の家賃を払い提供しているだけで、生活費などは全部自分で賄わさせていた。

 

ーー以前、こんな事が有った。

当時私は若い頃からの趣味でバイク5台持っていた。

それ専用の倉庫を借りガレージとして使い、元々整備士の学校を出て整備の資格を持っていたのでバイクをカスタムする事を趣味としていた。

そして、関東にライコランドというバイクのパーツ屋があるが、丁度オートバックスのバイク版みたいなところへ行った時のこと。

そこのセール品の目玉は抽選であった。

私が気になっていたのは、定価65万するSHOWAのレース用の倒立サスであった。

まぁ当たらないだろうと思っていたが、これが当たったのだ。

セール価格30万円。

その時は手持ちが無く、考えた挙句、

店員に、

「夕方まで購入するか考えたいので待ってくれ」

と頼み、マリアの家に。

日曜日で家に居たマリアに「趣味のバイクの部品を買いたいんだけど今手持ちがないから貸して」って言うと、30万円をポンと貸してくれた。

金銭感覚はまとも、貯金をきちんとする珍しいフィリピーナであった。

 

ーーそんなマリアも私と結婚して、結婚ビザで来日してはや3年が経とうとしていた。

 

束縛も無くマリアの家に行くのも週1回程度で、実に都合のいい愛人と言ってしまえばそれまでなんだが。

そんな付き合い方でも初めてのフィリピーナの恋人で、別れていた時期もあるが10年近い付き合いで当然家族に近い愛情は芽生えていた。

そんな彼女に叔母さんからの金の無心や、彼女自身幸せになりたいとの思いがあるのは当然知っていた私は、今後の二人の関係をどうするか悩み始めていた。

 

このままを続ける事を彼女は「No」とは言わないだろうが、それは彼女にとって幸せな事だろうかと考えていた。

 

18で出会って10年間。

彼女の『女性として一番輝ける時間』を私によって奪われたのだから、申し訳ない気持ちも当然あった。

 

そして、別れ話を二人でした。

結論、「マリアが幸せになる為に別れよう」ということになった。

 

 

ーー最近もよくKTV嬢にたかられたり騙されたりしている。

しかし、どんなに卑劣悪列なやり方でお金を毟り取られても、今一本気でフィリピーナを憎めない。

基本フィリピーナは、「亭主が居ない、恋人が居ない」と男の存在を隠すが、子どもの事は比較的オープンにしている。

彼女たちは、子どもだけは可愛がっているのが判るので、それも憎めない要因である事は解かっている。

 

そんな私もマリアと別れる事となってから、負の連鎖が始まるのをこの時はまだ何も知らなかったのだ。

 

ーーこの年。

この後の半年の間に、カーラとの悲しい別れが有り、シンディは日本人の金持ちに寝取られ、どん底を味わうのだ。

 

しかし、今改めて思うのは、当時はまだ子持ちのタレントは凄く少なく、付き合うか付き合わないかの判断をする時に子持ちだからと言う選択肢はまだなかった。

そして今現在も、KTVで子持ちと付き合い始めるも結局うまくいかず、その子どもと会うまでには至らず。疑似子関係は全くないのだ。

この辺の話は今後のフィリピンライフに影響するのだが、その話はまた機会があれば書きたいと思う。

 

しかし、いつまでも落ち込んでは居られない。

ゲス神降臨の日は近い……。

 

 

[ウメブログ21　終わり]

 

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次話、ウメブログ22「ハリソンプラザ周辺にてホールドアップ!?」

 

 

 

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